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いよいよ開幕間近!『ピーターとアリス』に出演! 麻実れいインタビュー

世界が愛した永遠の少年と少女ピーター・パンと不思議の国のアリス。
本作は、トニー賞やオリヴィエ賞で数々の受賞歴を持つマイケル・グランデージの演出、世界を熱狂させた『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』や映画「ラストサムライ」「007 スカイフォール」など多数の名作を生み出したジョン・ローガンが脚本を書き下ろし、2013年にロンドンウエストエンドで初演された作品だ。

世界中で愛される名作「ピーター・パン」と「不思議の国のアリス」。そのモデルとなった2人が、奇しくも数十年後に出会い、現実と幻想を交錯させながらそれぞれの辿った人生を赤裸々に語り始めるという、斬新な視点で、大人になった二人が辿ってきた人生が描かれていく。

そんな作品の演出を担当するのは『夜への長い旅路』『MISHIMA~班女~』『陽気な幽霊』ほか、数々の戯曲を元に唯一無二の世界観を作り上げる熊林弘高。そして80歳となったアリスのモデル、アリス・リデル・ハーグリーヴスを演じるのが、熊林と多くのタッグを組んできた名優・麻実れい。現実と幻想が重なり合いながら人生という航路の紆余曲折や機微を描きだす舞台に臨む麻実に、作品への思い、熊林演出の魅力、そして汲めども尽きぬ演じることへの情熱を語ってもらった。

「不思議の国のアリス」のモデルになった人物に光を当てた

──作品についての情報を聞けば聞くほど、どんな世界が広がるのだろうとワクワクしている状態ですが、いま感じている作品の魅力からお話いただけますか?

児童書から飛び出してきたアリスのモデルになった女性、それが今回私が演じるアリス・リデルですが、彼女の生の人生の部分がとても面白いです。児童書のなかに描かれた少女から現在に至る時の流れ、人生の流れ、時代の空気、色々なことを感じられるお話なので、きっと楽しんでいただけると思います。

──少女期にこれだけ後世に残る作品の主人公のモデルになる、と考えただけですごいことですよね。

そうでしょう?本当にすごいですよね。「不思議の国のアリス」のモデルになったアリス・リデル、「ピーター・パン」のモデルになったピーター・ルウェリン・デイヴィス、いずれも世界中の子供達の愛読書じゃないですか。でもまずそのピーターとアリスにモデルになった少年と少女がいるとは、きっとご存じない方も多いと思います。

──それがまず大きな驚きでした。完全に創作の人物だと思い込んでいたので。

ですから今回は、そのモデルになった人に光を当てたという点が、まず非常に興味深いと思います。児童書を読んでいる子供たちは、ご本を開いて、読んで、閉じる。ご本が大好きな少年少女は何回か同じ本を開くでしょうけれども、大体は物語の終わりと共に主人公たちの人生もそこで終わって、そのあとどうなったんだろう?とは考えませんよね。でもこの舞台では、そのご本を閉じたあとのピーターとアリスの人生模様が描かれていくので、大変込み入った話ではあるのですが、やりがいのある作品だと思います。

──そうした世界的に有名な、皆がこういう少女だと思っている人が、人生を重ねたところを演じられるにあたって、ご自身が大事にしたいなと思っているところはありますか?

子供の頃のアリスと、80歳になった私が演じるアリスとは、長い年月を経ています。でもアリスは常に、決してか弱くはなかった。人生というのは、最後の最後まで試練があるわけじゃないですか。そこを、あのアリスが成長してここまで強くなって、まだまだ続く人生を頑張って気丈に歩いていく、というところが今回のアリスの良さだと思います。

──そう考えると、等しくみんな少年少女だった時代があり、その後の人生があって、一見平凡に見えたとしても、誰しも人生には色々なことがありますから、観る方によってきっとそれぞれに刺さるところがあることでしょうね。

本当にそうだと思います。子供には子供なりの子供模様があって、徐々に歳とともに人生模様も変わっていく、そこにこそ面白さがあります。子供のくせにちょっと色っぽくておませなアリス、そういう子っていますよね。その子が大人になって試練を重ねて、それでも、それでも、それでもと強く生きていく様を、表現できたらなと思っています。

熊林さんにしかできない演出がある

──演出の熊林弘高さんとは、本当に長く作品創りを共にされていらっしゃいますが、これだけ長くご一緒したいと思われる熊林さんの演出の魅力についてはいかがですか?

彼に関しては“仲間”であって、普通の演出家とは思っていないところがあります。彼の凄さというと、色々なものを無意識のうちに見ているんですよ。見て、聞いて、また見て、そしてどんどん取り込んでいくわけですが、その取り込み方がまるで異常で、決して忘れないんです。「あの人の脳はどうなっているんだろう」と思うくらい、ものすごく色々なことを知っているんです。それを少しずつ、少しずつ出していく熊林さんは本当にすごいなと思います。演出家としても、人としてもどんどん成長なさっていますので、これから先がとても楽しみな、稀有な演出家だと思います。熊林さんにしかできない演出というものが絶対にあると思いますし、まさに熊林さんの世界に変えてしまうんですね。それがとても魅力的だと思います。

──この作品に関しても、その感覚がおありですか?

やっぱり台詞に動きがついてくると「あぁ、くまちゃんね」という感覚がありますね。そして、同じところに収まっている演出家ではないですから、気が付いたら瞬時に変えていくと言うのかな。いまのお稽古の段階でも「くまちゃんらしいよね、くまちゃんの要求していることにはちゃんと応えられるように頑張ろう」と思っています。やっぱり私の場合は、特に“仲間”からスタートしているので、くまちゃんの要求に対して「イヤよ」とも言えるんだけれども(笑)、やっぱり良い意味で大変な物知りさんだから、彼の感覚の中に身を置くというのも新鮮なことですし、簡単ではないんです。ただ単純に身体を動かすのではなくて、彼の心が肉体のなかで動いて、動きながら創っているので、熊林さんの演出を受けるということには結構パワーがいりますが、仕上がったものが楽しみな演出家でもあると思います。

──とても楽しみですが、共演者の方々も多彩な顔触れですね。

すごく多才な方々ばかりで、皆さん演技者として成り立っている方達ですから、私はその中で自分をどういうふうに置くか、遅れを取らずになんとかついていかなくちゃと思っています。なんせ台詞の量が多い。だから特に今一番欲しいのは、時間です。自分でお役を創っていくような時間と、会話形式で進めていく時間と、今とっても時間に対して神経質になっています。でも初日までには、と期限が決まっているわけですから、フルに時間を使ってなんとか自分で納得いくところまで持っていきたいと思っています。実は、私は今回ほぼ通しで舞台に出ているので。

──そうなんですね?

舞台上にずっと出ているから、誰が中心となるシーンでも、ずっとその場にいなくてはいけない。自分だけの時間を確保するのが大変です。でも素敵な作品に仕上がるように頑張りたいと思います。

創り上げることが好きなのかな

──いち観客として、とても能天気なことを申し上げると、麻実さんをずっと拝見できるんだ!嬉しい!と思ってしまいました。

では、より一層頑張らないとね(笑)。

──個人的には、麻実さんをはじめて拝見したのが宝塚歌劇団時代の雪組公演『フィレンツェに燃える』で、オテロ・ダミーコというお役を観て子供心にすごくドキドキしてしまって。

おませね(笑)。

──はい(笑)。宝塚時代からこれだけの長い年月、演じることへの情熱がたゆまない、次々に新しいものに挑まれる麻実さんのその原動力はどこから生まれているのでしょうか。

なんでしょうね。やっぱり創り上げることが好きなのかもしれません。面倒な方に手を出しちゃう面もありますが、ここまでやってこられたのは、やっぱり作品と、スタッフと、共演のキャストの皆さんのおかげだと思いますね。今回も頑張りたいなと思っています。そうね、『フィレンツェ』か……「お~フィレンツェ」(微かに歌って)面白かったですよね、あの作品も。

──2022年の花組での再演も、とても嬉しかったです。

良い作品はどんどん再演するべきだと思いますね。脚本がきちんとしていれば失敗するわけがないし、新しいものを模索していくことももちろん大切ですけれど、過去の良いものを掘り起こすことも大事ですね。

──そういった過去作品の記憶が残るのも、麻実さんはじめ皆様の素敵な演技のおかげですね。最後に改めて、また新しい作品として『ピーターとアリス』を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

きっと忘れられない作品になると思います。世界中の子供たちにとって「アリス」と「ピーター・パン」はすでに頭に入っていますよね。でも子供時代を卒業して、今度は大人の目線で「アリス」と「ピーター」を感じていただきたいなと思います。時と共に進んでいく残酷さももちろんありますけれど、喜びもある、そんなふうにありのまま感じていただけたらいいんじゃないかと思います。ぜひ楽しみになさってください。

【プロフィール】
あさみれい〇3月11日生まれ、東京都出身。1970年宝塚歌劇団に入団。雪組トップスターとして活躍し、85年退団。以降、ミュージカル、古典、翻訳劇など多くの話題作に出演、『オイディプス王』『AOI/KOMACHI』など海外公演も多数。読売演劇大賞最優秀女優賞(96、11)、松尾芸能賞演劇優秀賞(97)、紀伊國屋演劇賞個人賞(01)、毎日芸術賞(02)芸術選奨文部科学大臣賞(04)、、朝日舞台芸術賞(06)、紫綬褒章受章(06)、、菊田一夫演劇賞大賞受章(17)、、旭日小綬章受賞(20)など受章多数。主な出演作に、『ハムレット』『二十世紀』『サラ』『トップ・ガールズ』『サド侯爵夫人』『夏の夜の夢』『おそるべき親たち』『炎・アンサンディ』『8月の家族たち August Osage County』『罪と罰』『森・フォレ』『ガラスの動物園』『みんな鳥になって』などがある。日本芸術院会員を務める。
思います。神田明神の宮司さんが私の名付け親だということもあるかもしれません。

【公演情報】
『ピーターとアリス』
作◇ジョン・ローガン
翻訳◇早船歌江子
演出◇熊林弘高
出演◇古川琴音 青木 柚/飯田基祐 岡田義徳/簡 秀吉 山森大輔/佐藤寛太 麻実れい
●2/9~23◎東京・東京芸術劇場 プレイハウス
〈料金〉S席:12,000円 A席(2階サイド席) :9,500円
●2/28~3/2◎大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉全席指定12,000円
〈公式サイト〉https://www.umegei.com/peteralice2026/

 
【取材・文/橘涼香 撮影/中村嘉昭 ヘアメイク/田中エミ】