
私たちの100%、MAXのパワーを観ていただきたい!
春を告げる恒例の公演となったOSK日本歌劇団「レビュー 春のおどり」が今年も京都・南座、東京・新橋演舞場で上演される。今回は実に25年ぶりの上演となる、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を万葉の世界に置き換えて綴る北林佐和子によるミュージカル『たまきはる 命の雫』と、平澤智の新作洋舞レビュー『Silenphony』という、豪華な二本立て演目が揃った。そんな舞台で主演を務めるOSK日本歌劇団トップスターの翼和希と、娘役トップスター千咲えみが、2026年の「春のおどり」に向けた熱い想いを語り合ってくれた。
心に響き、ずっと残り続ける舞台に
──今回の「レビュー春のおどり」の第一部『たまきはる 命の雫』は、万葉の時代を舞台に描いた「ロミオとジュリエット」の物語ということですが、まずビジュアル撮影の様子から教えていただけますか?
翼 作・演出の北林佐和子先生も立ち会ってくださり、視線や手の動きひとつにもお言葉をいただきました。動きながらの撮影で、とても新しい感じで撮っていただけました。
千咲 私もてっきりカメラを見てポーズしながら撮影するものだと思っていたので、カメラマンさんから「カメラを意識せずに自然に動いて」と言っていただいたことに驚きました。でも動いているなかどんどん撮ってくださって、まるでお芝居の途中のような感覚がありましたし、完成したものを見ると、こんな表情をしていたんだなという、その一瞬を切り取ってくださったので、今までにない素敵な写真だなと嬉しいです。
──本当に想像力をかきたてられますが、実に25年ぶりの上演ということで、北林さんからはどんなお話が?
翼 先生は前回をなぞるのではなく、今の時代に合わせたものにブラッシュアップしていいとおっしゃっていましたし、私もこのメンバーでしか作ることができない作品にしたいと思っています。原作自体があまりにも有名なので、ある意味そこにとらわれすぎずに、あくまでも北林先生が書かれた『たまきはる 命の雫』の台本を読み解いて、万葉の世界のロミオに向き合っていきたいです。私の中でのロミオのイメージってすごく純粋に恋をする青年なので、ジュリエットに対する愛をひとつの芯として貫き通して、そのまっすぐな気持ちと、若さ故の脆さを大切に根底に置いて演じたいです。
千咲 ジュリエットという役名ですが、翼も言ったように、あまり原作のジュリエットにこだわりすぎずに、北林先生が創ってくださった世界にマッチする一人の女性を創っていければ、それが結果としてロミオとジュリエットになれるのではないかなと思うので、ひとりの恋する女性をひたすら生きるのみです。お芝居をしている時間としては1時間ほどなのですが、観ていただく方の心に響き、ずっと残るようなものが創れたら、と先生もおっしゃっていますので、そうできるように精一杯頑張ります。
──そこから、第二部の洋物レビュー『Silenphony』は「silence(静寂)」に「Symphony(交響曲)」をプラスしたタイトルとのことですが、作者の平澤智さんのレビューの魅力についてはどうですか?
翼 私はこれまで二作品に出演させていただいているのですが、平澤先生の作品はレビューの概念を良い意味で壊し、可能性をぐっと広げて新たな発見をさせてくださるんです。先生の考えていらっしゃることが具現化した時の、こんな活力があるのか! という、一表現者、一舞台人として目を開かれる感覚がすごく印象深いです。お客様のなかにも翼はこういう場面が多いよね、というイメージがおありだと思うのですが、先生はいつもそこを突破できる新しい挑戦の場をくださるので、私自身もワクワクしています。特に今回は場面、場面のつなぎを大切にしたいとおっしゃっていたので、そこにも注目していただきたいです。
千咲 私も先生から構成や曲の雰囲気を伺って、すごく現代的だなと感じました。もちろん旧き良きレビューも大好きなのですが、先生が提示してくださる場面や、ダンスのジャンルをお聞きして、より多くの方に楽しんでいただけるものになるのではないかと期待しています。いま流行っているものと「歌劇」がコラボすることによって、全く新しいレビューが生まれると思います。
何にも代えがたい絶対的な安心感がある
─豪華な二本立てになりそうですが、上演が南座と新橋演舞場ということで、それぞれの劇場の個性はどうですか?
翼 空間の印象として南座さんは縦にぐっと高くて、演舞場さんはとにかく横に広いです。どの劇場でも自分の視界にすべてをちゃんと入れることを意識していて、箱が変われば見えるものも感覚も変わります。同じ作品でも全く印象が変わると思いますので、是非両方をご覧いただきたいです。
千咲 南座さんは二階席もとても近くて、二階のお客様ともたくさん目が合いますし、近い距離で全体が見える感覚があります。一方演舞場さんでは、全員がズラッと並んで踊ることの多いOSKのインパクト、迫力を存分に感じてもらえると思います。舞台袖まで距離があるので、私たちも全力で走りますから、その疾走感も楽しんでいただきたいです。
──それは是非見比べたい気持ちになりますが、翼さんと千咲さんがトップスターとしてコンビを組まれてこの「春のおどり」で1年半が経ちます。改めてお互いに感じている魅力を教えてください。
翼 千咲には絶対的な安心感があります。それはもう何にも代えがたくて、千咲がどんなことがあっても大丈夫と思わせてくれるからこそ、私は舞台に挑戦し続けていられるんだなと思っています。
千咲 翼は舞台に対してとことんまっすぐなんです。もちろん皆そうですけど、常にブレずにまっすぐでいることって意外と難しくて。でも翼は稽古中から本番、最後に「桜咲く国」でパラソルを回すところまで、もっと言えばその後のトークなどでも、お客様にずっとまっすぐに向き合っている、それを私は一番尊敬していますし、翼の何よりの魅力だなと思っています。
翼 えぇ、ありがとう。私より長く話してくれた。
千咲 長さじゃないよ、伝わってるから!
──同期生のお二人ならではの絆を感じて、「春のおどり」がますます楽しみになりました。最後に公演を待たれている方たちにメッセージをお願いします。
翼 私たちの100%MAXを皆様に観ていただきたいです。舞台は回を重ねることで新しい発見がありますし、常に全力100%MAXで限界突破した進化を含めて観てもらえるのがOSKであり、「歌劇」の魅力でもあると思うので、是非南座の初日から新橋演舞場の大千穐楽まで何度でも足をお運びください。
千咲 初舞台の102期生も登場しますので、この時にしかないメンバーでの公演を楽しみにしていてください!
(このインタビューは「えんぶ4月号」より転載)
インタビュー◇橘涼香 撮影◇永石勝
プロフィール
つばさかずき〇大阪府出身。2013年89期生としてOSK日本歌劇団に入団。卓越した歌唱力とダンス力、アイドル性のある甘いマスクと持ち味で頭角を現し、男役スターとして躍進。23年NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」の橘アオイ役で好評を博し、全国的な高い人気を得る。24年トップスターに就任。レビュー、ミュージカル、ライブと精力的な活躍でOSK日本歌劇団を牽引している。
ちさきえみ〇東京都出身。2013年89期生としてOSK日本歌劇団に入団。可憐な持ち味と豊かな歌、ダンス、芝居と三拍子揃った実力で注目を集め、次々に大役を演じ21年楊琳のトップスター就任と同時に、舞美りらと共に娘役トップスターに就任。24年楊、舞美の退団を受け新トップスターとなった翼和希とは同期生ならではの息のあったコンビとして、躍進を続けている。






