
西尾まり 鈴木裕美
演出家の鈴木裕美が主宰する鈴木製作所の、素描シリーズ01『ガラスの動物園』が、12月9日〜20日、新宿シアタートップスにて上演されることが決まった。
『ガラスの動物園』は1944年にテネシー・ウィリアムズによって執筆され、彼の出世作であり、国や時代を超えて愛され続けている、近代アメリカ演劇を代表する名作の一つ。海外や日本でも何度も上演されている作品で、訳・演出・美術・衣裳を担当する鈴木裕美が長年演出したいと熱望していた作品となる。
鈴木裕美は、「この戯曲に描かれている残酷な瞬間、滑稽な瞬間、愛おしい瞬間、心がざわつくさまざまな瞬間が、俳優たちの中で、俳優たちの間で、立ち上がる様を、どうしても実際にこの目で見たかった」という。「俳優」と「役」という『人』に焦点を当てて、演劇を上演する「素描シリーズ」の第一弾として、本作品から始めたいと心に決め、翻訳や舞台美術、衣裳、演出も担い作品作りに邁進している。
トム役に舞台『かもめ』『エクウス』、連続テレビ小説「カーネーション」「おむすび」、大河ドラマ「麒麟がくる」「仮面ライダー龍騎」などに出演の須賀貴匡。
トムの同僚・ジム役に舞台『たとえば野に咲く花のように』、連続テレビ小説「風のハルカ」「まれ」、ドラマ「不機嫌なジーン」「家政夫のミタゾノ」などに出演の黄川田雅哉。
トムの母・アマンダ役に舞台『小さな神たちの祭り』『リア王』『グッバイ、レーニン!』、ドラマ「ザ・トラベルナース」「元科捜研の主婦」「GIFT」、映画『望み』などに出演の西尾まり、と鈴木が心より信頼している俳優がそろった。
また、素描シリーズでは積極的にオーディションをしたいと考えていた鈴木はトムの姉・ローラ役のオーディションを実施。演劇とダンスへの愛に溢れ、真摯で、可憐で、みずみずしい感受性が決め手となり、村井友映の出演が決まった。オーディションエントリー数は257名、内107名の方と4次審査まで行い「1名」に決定した。
現在、一文一文丁寧に翻訳している鈴木は「テネシー・ウィリアムズが細かなユーモアをふんだんに散りばめていることに、初めて気づき、驚きながら非常に愉快に訳しております」と語っている。
【コメント】
訳・演出・美術・衣裳:鈴木裕美
稽古の過程で、「ああ、今、馬が走りだした!」と思う瞬間があります。
俳優が自分の「役」を自在に乗りこなしだしたと感じた時、そう思います。私の中では、大草原を、陽の光を浴びながら、鞍もつけずにイキイキと自由に馬を走らせている人、そんな姿がイメージされています。馬が勝手に走っていて、俳優が落ちないようにしがみついているのではなく、俳優が鞭で無理に馬を走らせているわけでもなく、まさに人馬一体となって草原を駆け抜けていく様、私の理想の演技はそんなイメージです。
よく演技に対して、「成り切る」とか、「乗り移る」という言葉を褒め言葉として使うことがありますが、私には少し違和感があります。自我を失くして役になることより、馬と人のように、あくまで別々の生命でありながら、共に生きていることを謳歌していること、それが私が美しいと感じる「役」と俳優の関係です。
俳優の最も大事な仕事とは、舞台の上で、今その「役」に何が起こっているのかを深く考え、想像し、感じることだと思います。そして相手役を感じ、受け入れ、やり取りをすること。私が劇場に行く最も大きな理由は、それを見たいからです。
俳優の仕事は、その俳優独自の芸術性、創造性、感受性が必要な大変な仕事です。それでいて実際に行うことは、紛れもなく非常に具体的な肉体労働。そんな変な仕事を望んでやっている俳優という変な生き物を、私はとても尊敬していますし、愛してやみません。
そんなわけで、俳優+彼らが創造する「役」=「人」を見たい気持ちから、「素描シリーズ」を始動します。
私はもちろん豪華な装置や衣裳や音楽のある舞台も大好物ですが、「素描シリーズ」はそれらを極力排して、「人」に焦点を絞った芝居を創りたいと思います。また、積極的にオーディションを行なって、出演者を決定していこうと思ってもいます。
舞台上を颯爽と自由に駆けていく、馬と人をお目にかけられたらと思います。どうぞご期待ください。。
【公演情報】
鈴木製作所 素描シリーズ01『ガラスの動物園』
作:テネシー・ウィリアムズ
訳・演出・美術・衣裳:鈴木裕美
出演:須賀貴匡 黄川田雅哉 村井友映/西尾まり
●12/9〜20◎新宿シアタートップス
〈公式サイト〉https://suzukiworks.net/glassmenagerie/



