る・ひまわり×明治座「祭シリーズ」まもなく開幕!相葉裕樹・広井雄士・伊藤裕一インタビュー
晴れやかな気持ちで年越しを迎えられる作品に!
年末の風物詩として親しまれている、る・ひまわり×明治座による、あらゆるエンターテイメントを盛り込んだ「祭シリーズ」が12月28日~31日明治座で上演される。
今年のテーマは日本の歴史上、作品化難易度が最も高いと言われる「南北朝時代」を、世界一わかりやすいミュージカルで描く第一部シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』と、室町時代の音楽番組として贈る第二部 ショー『猿楽の日1338 ~近頃都で流行るものフェスティバル~』となっていて、4年ぶりに舞台上で年越しのカウントダウンも実現する。
そんなまさに「お祭り」の舞台で、主人公・足利尊氏を演じる相葉裕樹、尊氏の正室登子のお目付け役・風清を演じる広井雄士、登子の兄・赤橋守時と後醍醐天皇の側近・万里小路宣房を二役で演じる伊藤裕一が、「祭シリーズ」に臨む意気込みを語り合ってくれた「えんぶ12月号」のインタビューをご紹介する。
主人公の足利尊氏にボケの要素がある
──それぞれ「祭シリーズ」への関わり方が違うお三方に集まっていただきましたが、今回出演が決まった時の気持ちはいかがでしたか?
相葉 12年ぶりの「祭シリーズ」への参加なのですが、12年前にも初座長として呼んでいただいてまた座長として戻ってくることができ、本当に感慨深く感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんが積み上げてきたものを壊さないように、かつ新しいものをお届けできたらと思っています。
伊藤 ありがたいことに、4年連続で出させていただいていますが、呼んでいただく度に1年頑張ってきて良かったなと思います。参加できることがすごく嬉しい反面、この記録を途絶えさせてはいけないとのプレッシャーも感じます。
広井 「祭シリーズ」には今回が初参加になりますので、嬉しさと同時に緊張もしています。シリーズ自体に多くのファンがいらっしゃいますし、今年は「南北朝時代」が描かれるということで、この時代が好きだという方もご覧になると思うので、精一杯役と向き合っていきたいです。
──その「南北朝時代」が舞台ということで、ある意味難しい時代でもありますが、作品について、またご自身が演じる役柄についてはどんな印象を?
相葉 池田テツヒロさんの脚本ということもあって、足利尊氏が主人公でありながらもどこかヌケていて(笑)、ボケの要素が強かったり、優柔不断なほど繊細で心優しい人物として描かれているんですね。内藤大希くんが演じる弟の足利直義をはじめとした周りの人たちの方がよほどしっかりしている。そういう意味では、時代劇の主人公としては結構特殊ですし、その分ミュージカルナンバーでバシッと決めていく形になっているので、双方のバランスを大事にしたいです。
伊藤 ミュージカルと打ち出したのが2度目で、「祭シリーズ」が更に進化していくのだなと思ってきました。なかでも前回徳川家康の長い人生に挑戦してとても大変だったのに、今回「太平記」という歴史文学の中でも最長と呼ばれるものを作品にする無茶なところ(笑)、そのフロンティア精神がすごく好きですね。役に関しては、今までで一番プレーンな役をいただいたなと思っていて。本の段階でこういう話し方で、こういう見た目ですという説明が一切書かれていない役柄はほぼ初めてなので、僕の味付けを信用していただいていると思い込んで(笑)どんどん味をつけていかないと、これだけのキャストの中で埋もれてしまいますから。でも二役いただけているということは、倍チャンスがあるので追い上げていきたいです。
相葉 伊藤さんが埋もれるなんてありえないですよ!
伊藤 いやいや、毎回怖いですよ、もうなんとかギリギリ生きてます(笑)。
広井 まだ台本を読んだ段階なので、全体像が全て掴めてはいないと思うんですが、僕は戦を扱った作品に出ること自体が初めてですし、日本人同士が南北に分かれて戦った時代なので、やはり今とは価値観や、考え方、決断の仕方が全く違うんだなと感じました。その中で僕の役は尊氏の正室・登子のお目付け役の忍びで、密かに登子に恋心を抱いているのが、人物相関図のなかに唯一ピンクの線で書かれているので(笑)、丁寧な言葉遣いのなかでその気持ちをどう出せるかを、稽古の中でちゃんと創っていきたいです。
「祭シリーズ」っていいネーミングだな
──更に今年は、大晦日に舞台上でカウントダウンをして、明治座で観客の皆さん全員とのカウントダウンが復活ということで、楽しみにされている方も多いと思います。
相葉 明治座さんでみんなと年末を過ごせるって、本当に貴重な経験ですし、もうその場になったら変なテンションになっているんじゃないかなと思いますが(笑)、是非皆さんと楽しみたいです。
伊藤 僕も「祭シリーズ」に参加して初めてのカウントダウンです。ただ3回やってきて思うのは、この舞台はどんどん上演時間が延びていくし、中でもカオスになるのが千穐楽なので(笑)、ちゃんと時間通りにカウントダウンできるかが、ちょっと不安ではあります。でも、そこに向かっていくみんなの熱量はすごく楽しみです。
──いざとなれば、演出も兼ねる原田優一さんが力技で収めるのでは?
伊藤 あー、確かに!(笑)
広井 僕も「祭シリーズ」を客席から拝見したときには、大晦日のカウントダウンは参加できていなかったのですが、それでも2部の盛り上がりはすごいものだったので、自分が舞台上で年越しできることがまだ想像もつかないのですが、お客様と一緒に盛り上がれるのが、楽しみでしかたないです。もちろんカウントダウンだけでなく、他の日も観た方全員に笑顔で帰ってもらえる、素敵な作品になるように頑張っていきたいです。
伊藤 「祭シリーズ」って本当にいいネーミングだなと思っていて。昔からお祭りって邪気を払うという意味がありますよね。ですからこの1年間の皆さんの大変だったことを「祭シリーズ」で全て晴らして、晴れやかな気持ちで新しい年を皆で迎えられるように頑張ります。
相葉 12月28日から31日まで、年末の本当にお忙しい時期かと思うのですが、これだけのキャストが集まってオリジナルミュージカルを創るので、骨太なものをお届けできたらなと思っています。一緒に年末を楽しく過ごして、年を越していただきたいので、是非遊びに来て下さい。
■PROFILE■
あいばひろき〇千葉県出身。2004年映画デビュー。05年ミュージカル『テニスの王子様』不二周助役で初舞台。09年『侍戦隊シンケンジャー』池波流ノ介/シンケンブルー役で人気を博す。以後ミュージカルを中心に様々な舞台に出演するほか、アニメ『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』ゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』等声の仕事でも幅広く活躍している。主な出演舞台作品に『アナスタシア』『ダ・ポンテ』『Ordinary Days』『CROSS ROAD』『レ・ミゼラブル』『タイタニック』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『HEADS UP!』などがある。
いとうゆういち〇神奈川県出身。俳優、MC、脚本など多彩な才能を活かし幅広く活動している。主な出演作品に映画『シン・ゴジラ』『進撃の巨人』『東京喰種トーキョーグール【S】』舞台『~崩壊シリーズ~』『黄昏』音楽劇『モンテ・クリスト伯』ミュージカル『僕とナターシャと白いロバ』ミュージカル『SMOKE』『楽屋~流れさるものはやがてなつかしき~』『本日も休診』『アーモンド』『象』ミュージカル『ピエタ』などがある。
ひろいゆうと〇新潟県出身。2020年デビュー。主な出演作品に『アマネ ギムナジウム オンステージ』minish*『パニックカフェ』『リバースヒストリカ』ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン青学vs氷帝(宍戸亮役) 舞台『Collar×Malice─柳愛時編─』『マッシュル─MASHLE─』THE STAGE(フィン役)夏休み!オンステージ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』『苦闘のラブリーロバー』(シンタ役)などがある。
【公演情報】
シンる・ひま オリジナ・ る ミュージカ・る
『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』
脚本:池田テツヒロ
演出:原田優一
音楽:かみむら周平
出演:相葉裕樹/内藤大希/
石川凌雅 松田岳 前川優希 井澤巧麻 広井雄士 井深克彦/
丘山晴己/井澤勇貴 伊藤裕一 加藤啓/
大山真志 辻本祐樹/原田優一/
上口耕平/ROLLY/水夏希
第一部 オリジナ・るミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
第二部 ショー「猿楽の日1338 ~近頃都で流行るものフェスティバル~」
総合司会/鯨井康介 日替わりゲスト◇平野良 藤田玲 蒼木陣 安西慎太郎
●12/28~31◎明治座
〈チケットに関する問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10時~17時)
〈公演に関する問い合わせ〉る・ひまわり info_2023taihenki@le-himawari.co.jp
〈公式サイト〉https://taihenki.com/
【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】