『西遊記』東京公演いよいよ開幕! 田村心・曽田陵介インタビュー
カッコよくて爽快で感動がある物語!
豪華キャストで描く令和版『西遊記』が、日本テレビ開局70年記念舞台として、本年11月から大阪、福岡、名古屋で公演、2024年1月6日からいよいよ東京・明治座で上演される。
孫悟空役に片岡愛之助、三蔵法師役には小池徹平、猪八戒役は戸次重幸、沙悟浄役には加藤和樹、玉竜役は村井良大が扮する。そんな三蔵一行と彼らの前に立ちはだかるさまざまな妖怪たちとの闘いを、演出を手掛ける堤幸彦ならではのLEDや映像技術、フライング、特殊効果などを駆使して魅せる大型アクションスペクタクル作品だ。
その舞台で、万寿山に住む仙人の鎮元子を演じる田村心と、天上界を支配している玉帝と三蔵一行に関わる高伯欽という二役を演じる曽田陵介に、この作品への抱負を聞いた「えんぶ12月号」のインタビューをご紹介する。
飄々としてるヤツが熱いことを言って敵を倒す
──まず『西遊記』という物語との出会いを伺いたいのですが。
田村 僕はこの物語が大好きで、当時のドラマとか映画を観て、小学生だったんですけど、悟空の頭の輪を紙で作ったり、段ボールで筋斗雲を作ったり、それくらい好きでした。だから今回、『西遊記』に関われるのがすごくうれしいです。
曽田 僕も同じで大好きでした。やっぱりカッコいいんですよね。シンプルに悪いヤツを倒すのがすごく爽快で、なんか感動した記憶があって。
田村 わかる! 俺も感動したから。ふだん飄々としているヤツが、いざというときに熱いことを言って敵を倒すというのが。
曽田 すごく胸にきますよね。
──そんな物語でおふたりが演じる役柄ですが、田村さんは鎮元子という役です。
田村 鎮元子は作品ごとにいろいろな解釈で描かれる人で、今回もとても面白い役どころになっていると思います。三蔵一行と対決する場面もあるので、一応、風格みたいなものを見せられたらと。
──曽田さんは二役で、まず天上界を支配する玉帝で登場します。すごい権力者なのですね。
曽田 権限を持ち過ぎていてなんでも出来てしまうので、わがままをバーッとぶつけたりするのですが、そこから物語が始まっていくので、インパクトを与えられたらと思っています。もう一つの役は高伯欽で、こちらの役はそこまでのテンポいい流れが急にゆったりするような(笑)、ちょっとホンワカしたキャラです。
──田村さんは日本テレビの大型時代劇は、『魔界転生』と『巌流島』に続いて3作目ですね。
田村 毎回吐血する役です(笑)。『巌流島』なんて、演出の堤(幸彦)さんがわざわざそういう設定を付け加えたんじゃないかと思いました(笑)。さすがに今回はないかなと思っていますが。
曽田 でも入れようと思ったらできるよね。
田村 入れようとするなよ(笑)。
──おふたりは今回が初共演だとか。
田村 そうなんです。でもこの大型時代劇は長期公演ということもあって、カンパニーがめちゃめちゃ仲良くなるんです。今回も来年1月まで一緒ですからね。
曽田 すごい先輩方がいっぱいいるので、とにかく付いていきます! しかも田村さんとは誕生日も一緒で。
田村 そう! その日は稽古がオフになっていたので、「祝ってもらえないんですか?」ってプロデューサーさんに言ったら、「他の日にちゃんとお祝いするから」って。
曽田 よかった!(笑)
若手は何か1つ武器を持たないと
──何度も出演している田村さんから見て、堤演出の魅力は?
田村 『魔界転生』と『巌流島』はかなりテイストが違っていて、今回は『魔界転生』寄りの演出になると思うんですけど、堤さんの遊び心というか、いきなり新しい演出が入ったり、稽古でずっと作ってきた場面でも一から作り直したり、けっこうバクバクさせられて(笑)。対応力が求められるんです。
曽田 やだなぁ(笑)、マジでそういうの弱いので(笑)。
田村 わかるよ、俺もそうだから(笑)。
曽田 映像なら撮り直しができるけど、舞台はトチってもどんどん進んでいくし。
田村 大丈夫! どうなっても拾ってくださる先輩方が沢山いるから。それに堤さんが演出を変えるのはそれなりに理由があって。僕も『魔界転生』で、ずっと作っていたキャラクターで通し稽古に入ろうとしたら、堤さんから「ちょっとオネエキャラ入れてみて」と言われて。そこから語尾とか変えて役を作り直して。でもそれが結果的にはよかったんです。なにしろ上川隆也さんをはじめとするすごい俳優さんたちと一緒に出るので、若手は何か1つ武器を持ってないと舞台で際立たないので。
──1人1人を生かしたいという堤さんの思いなのですね。それにしても毎回、派手な殺陣やアクションで魅せる舞台で、演者さんはたいへんそうですね。
田村 とくに今回は刀が違うんです。直刀というか反りのない刀で、殺陣も日本の時代劇とは違う動きになるので見せ方が難しいかなと。
曽田 僕は現代劇の舞台しか出ていなくて、ちゃんとした殺陣とか初めてなんです。とにかく猛練習しないと。稽古場に残ってというか泊まって(笑)。
田村 泊まり込みだね(笑)。
曽田 それぐらいの覚悟でやります!
──堤さんの舞台は映像と合わせる技術も必要ですね。
田村 ふつうは稽古場では映像が確認できないことが多くて、劇場に入って映像を確かめながら動きを調整したりするんですけど、堤さんは稽古の早い段階から映像を用意してくださるんです。そこはすごくやりやすいですね。
曽田 僕は映像のある舞台も初めてですから、最初はすごく戸惑いがあったんです。ただプレ稽古を見学させてもらったとき、堤さんの奇想天外な発想とか、その面白さとか、場面の見え方も綺麗で、これにLDEとか加わったらどれだけすごくなるんだろうなと。
──そんな公演を楽しみにしている方たちに、改めてメッセージをいただけますか。
曽田 僕はまだまだ舞台に関しては経験が少ないので、この作品で先輩方のすごいところを少しでも自分のものにしたいし、この作品の面白さや楽しさを皆さんに届けられたらと思っています。ぜひ観にきてください。
田村 11月から来年1月まで上演しています。年内最後の観劇として観てくださる方、新年最初の舞台として観てくださる方、どの方にも観てよかったなと思っていただける作品にしたいと思っています。がんばります!
■PROFILE■
たむらしん○1995年生まれ、東京都出身。2016年、サンリオピューロランド「ちっちゃな英雄(ヒーロー)」にて俳優本格デビュー。「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stageで主演の緑谷出久役を演じる。以来、映像や舞台で活躍中。最近の出演作は、【ドラマ】『聖徳太子のレストラン』『ナイルパーチの女子会』、『絶対BLになる世界vs絶対BLになりたくない男』、【舞台】『巌流島』『-4D-imetor』『魔界転生』など。
そたりょうすけ○1997年生まれ、島根県出身。最近の出演作は、【映画】『なのに、千輝くんが甘すぎる。』『交換ウソ日記』、【ドラマ】『ショジョ恋。』『unknown』『around1/4 アラウンドクォーター』『トリリオンゲーム』、【舞台】『青空ハイライト from 主役の椅子はオレの椅子』、『パレード』など。WOWOWオリジナルドラマ『アオハライド season1』に出演中。
【公演情報】
日本テレビ開局70年記念舞台『西遊記』
脚本:マキノノゾミ
演出:堤 幸彦
出演:片岡愛之助 小池徹平 戸次重幸 加藤和樹 村井良大
藤岡真威人 田村心 曽田陵介 小宮璃央 柳美稀 押田岳 桜庭大翔
山口馬木也 藤本隆宏 中山美穂 松平健
●2024/1/6~28◎東京公演 明治座
〈お問い合わせ〉東京公演 明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)
〈公式サイト〉https://saiyuki-ntv.jp/
【構成・文/宮田華子 撮影/中村嘉昭】