ついに堂本光一が単独主演記録1位を達成する『Endless SHOCK』2024製作発表会見レポート!
「2000年からはじまって、2005年から自分で構成・演出もやらせていただくようになり、こうして2024年もまた上演させていただくことになりました。皆さんご存じのように2025年に帝国劇場が休館になります。この作品『SHOCK』は帝国劇場と共に歩んできたところが大きく、帝国劇場建て替えということで、この4月~5月、そして11月の公演で自分としては『SHOCK』の幕を閉めようかなと思っております。そういった意味でも今年はすごく豪華な、これまで『SHOCK』に関わってくれたたくさんのキャストに集まっていただいて、盛大に最後の花火を打ち上げるというイメージでやらせていただこうと思っております」
2025年春、建て替えの為の休館に入る帝国劇場のクロージングラインナップのなかで、2024年4月~5月、更に11月の上演が発表された堂本光一作・構成・演出・主演舞台『Endless SHOCK』の製作発表会見の冒頭、その堂本本人からこの言葉が出た時、会場に走った衝撃には大きなものがあった。その場がざわついたということではなく、さりとて凍り付いたのとも違う、おそらくは多くの報道陣も虚を突かれたという感覚があったのだろう。それほど“SHOW MUST GO ON!”の意味を問い続けながら、歩んできた『SHOCK』の歴史は、その名の通り『Endless』なものだと思われてきたからだ。
『SHOCK』シリーズは2000年11月に帝国劇場で『MILLENNIUM SHOCK』として初演された。その年主演の堂本光一は21歳。それは当時の帝劇主演の史上最年少記録で、以来上演を重ねた作品は、コロナ禍の直撃を受けて中止を余儀なくされた公演も多くありつつ、そのコロナ禍の制約をある意味逆手にとり、本編の3年後を描いたスピンオフ作品『Endless SHOCK Eternal』(※以下『Eternal』)を生み出して上演を続け、代役なしの単独主演記録は現在1986回まで積み上がっている。
しかも今回の2024年の4~5月の帝国劇場公演4月22日昼の部の本編公演で、その記録は2000回の大台に到達。更に、5月9日夜の部の本編上演で、前人未到の単独主演記録第1位を塗り替える2018回の上演に達成する見込みとなっている。2024年上演全体としても、4月~5月の帝国劇場では本編と『Eternal』の同時上演。そこから本編のみの上演として、7月半ばから8月半ばにかけての大阪・梅田芸術劇場メインホール公演。9月の福岡・博多座公演。そして11月に再び帝国劇場での1ヶ月公演という、大規模な公演予定が組まれた。
もちろん『SHOCK』と言えば誰もが思い浮かべるだろう、ダンス、歌、殺陣、フライング等々、これぞエンターティメントの要素が詰め込まれたステージは、どこでもできるというものではないが、コロナ禍で即座に『Eternal』を生み出した堂本光一のことだから、帝国劇場建て替えの間には、謂わばツアーバージョンと言えるような新たな『SHOCK』をまた創作し、来るべき未来の新帝国劇場のオープニングラインナップに、再び『Endless SHOCK』のタイトルが燦然と輝くだろうと疑いもなく信じていた。そうした思いは、その場にいた多くの人に共通するものだったのだろう。
勢い質疑応答の質問は、「幕を閉めるというのは、ご自身が主演をする『SHOCK』を終えられるという意味合いでしょうか?だとしたら23年半続けてこられた舞台の幕を閉めると決められたのはいつ頃で、どんな理由なのでしょうか」からはじまった。
それに答えた堂本は「自分のなかでは2、3年前から心のなかでは決めていたところがありました」と切り出し「大きな理由としてはこの帝国劇場以外ではやれる劇場がない。あとは、梅田芸術劇場と博多座の二つだけで。もちろんやろうと思えばやれないことはないのですが、この作品『Endless SHOCK』を作ったのが26歳の時です。それがいま45歳になって、帝国劇場と共に歩んできた作品でもありますから、その劇場が建て替えになるということで、自分が出る『SHOCK』というのは幕を閉めてもいいかなと思いました」と、胸のうちを明かした。
この決断は共演者にも衝撃をもたらしていた。
主人公コウイチのライバル役を4月~5月の帝劇公演と、福岡博多座で演じる佐藤勝利は「光一くんからなんとなくはお話を伺っていたのですが、“いつ”ということは聞いていませんでしたから、いま衝撃を受けました。やっぱりずっとあるものだと思っていましたし、ずっと階段落ちをしてくださるんだと思っていたので。僕のエンタメの原点は『Endless SHOCK』で、それを僕ら世代は生で観られたこと。しかも自分としては一緒に作品に携わらせていただき、最後の『Endless SHOCK』に参加させていただけることを心から光栄に思います。その思いの強さに乗せて、僕らしいライバル役を一生懸命務めて、最高のゴールをみんなと一緒に迎えられるように努力します」。
大阪・梅田芸術劇場公演でライバル役を演じる中山優馬は「本当に衝撃で、寂しく思います。でも参加させていただいたからわかることがあって、この舞台は本当に過酷なんですよね。こんなにも過酷なものを、何故こんな回数できるんだろう、と何度も光一くんを見ていて思いました。まだ『SHOCK』が終わるということの覚悟ができた訳ではないのですし、今まで続けてこられた『Endless SHOCK』というものをずっと観させていただいてきましたから寂しくもありますが、そのぶん身が引き締まる思いです。本当に大変な作品ですので、覚悟を持って臨みたいと思います。僕は大阪出身なので、慣れ親しんだ大阪の地でこの『Endless SHOCK』に参加させていただけることはありがたく嬉しいです。光一くんの元で、全力で頑張りたいと思います」。
大千穐楽を迎える11月の帝国劇場公演でライバル役を演じる上田竜也は「直接本人から最後にするとお聞きした時には『なんでよ』とは言いました。シンプルにお客様や、ファンの方々と同じ気持ちとして、映像を観て、音楽を聴いただけでワクワクするほどこの作品が好きなので。でも色々なお話を聞いて、本人が決めたことならば、そこに向かってもっと自分たちがクオリティを高めて、光一くんが完全燃焼して終われるようにしっかり取り組んで行きたいなという気持ちに変わりました。20年前ぐらいですが、光一くんに『お前は「SHOCK」に出るな』と言われた僕が、まさか最後になる11月公演のライバル役をやらせてもらうことなるとは夢にも思いませんでしたが、自分なりにしっかり役作りをして、観に来てくださるお客様方に『素晴らしい公演だった』と思ってもらえるようしっかり務めていきたいと思っています」と、三者三様の思いで、いまこの時『SHOCK』に携わる思いを語った。
2013年からオーナー役を演じ、今回は4月~5月と11月の帝国劇場公演と福岡博多座で同役を務める前田美波里は「とても残念ですね。2013年に初めてステージに立った時に、この客席の興奮状態というのは、もしかしたら光一さんのファンの方が客席の多くを占めているから、こんなにも盛り上がるのかと思いました。でも1年、2年と出させていただいているうちに、本当にこの作品が多くの方に愛されていることを感じていました。ですからこんな作品を手放していいものなのか、と私は光一さんに言ったのですが、『帝劇で創った作品は帝劇で閉めるんです』とおっしゃって。素晴らしいなあ、私だったらこの作品を絶対に離さないな、と思ったりしておりましたし、作品のファンとして本当に残念です。でも今年は2000回という素晴らしい上演回数、更に大きな記録も作られるという公演に出させていただけることを光栄に思っていますし、たくさんの人に愛された素晴らしい作品が終わってしまうのは非常に辛いですが、新しい方たちとの組み合わせからは必ず新しいことが起こるんです。新鮮な形で演じられるように最後まで精一杯やらせていただきます。それに光一さんは演出家になられているので、いつかまたこうした素晴らしい作品を創って演じられることを祈っております。その時には是非私もおばあさん役で出してください」と、寂しさと共にエールを贈った。
同じくオーナー役を4月~5月の帝国劇場、大阪・梅田芸術劇場で演じる島田歌穂は、「今日の資料にもこのことは明記されていなかったので、先ほど光一さんが『ここで』とおっしゃったひと言で『あぁ、本当に終わってしまうんだ』と感じました。私は2022年から参加の新参者ですが、毎回、毎回、本当に命を削るように公演を重ねていらっしゃる光一さんの姿に、感動と驚きと大きな力をいただいてきました。始まりがあれば、いつかは終わりがくるんだなと思いながら、いつまでも続けていただきたいという思いと、やはり公演を重ねるごとに、身体の色々なところがきつかったり痛かったりして、見えないところでテーピングをされたりもしているはずなので、いつまでも続けられるものではないんだという思いがせめぎあっています。でも光一さんが決断されたことをしっかりと受け止めさせていただいて、私も1回、1回、光一さんの姿を目に焼き付けながら務めさせていただきたいと思います」と、堂本とは唯一『ナイツテイル』での共演もある、別の意味で縁の深い堂本への気遣いを見せた。
オーナーの娘で主人公のコウイチに思いを寄せるリカ役を大阪、博多、11月帝国劇場公演で演じる綺咲愛里は「歌穂さんがおっしゃったように、いまここで光一さんが言葉にされたことで、すごく実感がわいてきて、寂しい気持があります。私は2年ぶりの参加で、昨年客席から『Endless SHOCK』と『Eternal』を両方観させていただいて、改めてこの歴史ある作品に携わらせていただけたこと、そしてまた今年参加させていただけることを、本当に光栄だと思っています。光一さんがここと決められた舞台にほんの少しでもお力添えできるように、悲しい気持ちになりすぎず学びながら皆さんに楽しんでいただけるように、最後の日まで駆け抜けてリカ役として全うできればいいなと思っております」。
同じくリカ役を帝国劇場公演で演じる乃木坂46の中村麗乃は「私は昨年からカンパニーの皆さんに仲間入りさせていただいた立場ですが、やはりこのお話を伺った時には、作品のファンとして悲しいなという気持ちがすごく大きかったんです。でもやっぱりこの最後の1年たくさんの公演数がありますので、この大切な節目でまたリカ役ができて本当に嬉しいですし、皆様の心の中に刻まれるように、私も精一杯この作品を全うしたいなという気持ちです」とそれぞれ素直な気持ちを語った。
そこから質問はシングルキャストで全ての公演が全日程完売という、世界でも例を見ない舞台である『SHOCK』という作品の魅力を、島田、前田、堂本に問うものに。
島田は「初めて拝見させていただいたときに、ミュージカルですから歌あり、ダンスあり、起伏のあるストーリーにプラスして、殺陣もあり、フライングもあり、マジック的なものもある。エンターティメントの全てがぎゅっと詰め込まれていて、なんてすごい舞台なんだろうと本当にびっくりして、大感動したんです。しかも最近は、ダブル、トリプルのキャストを組む公演形態が多くなっているなかで、お一人でずっと続けられてきた光一さんが、作品の全ての核になっている、それが作品の魅力の根源なのかなと思います」。
前田「この作品はショーという意味でも皆さんが満足できるものになっています。特に日本の太鼓であるとか、日舞もあって、日本の要素もあるんですね。そこに人間としての絆、コウイチが亡くなったあと、私たちが生きていくなかでの人間と人間との心のつながりがきちんと描かれているので、たくさんの皆様に感動していただけと思っています。ここ最近は4月~5月ですが、ずっと2月~3月に上演していた時期が長いので、『SHOCK』を観ないと年が明けないとおっしゃる方もいらっしゃるほどの作品なんです。私は日本が誇るミュージカルを光一さんが創られた、日本が創った最高のミュージカルだと思っております」。
堂本「残念なことに、一度もこの舞台を外から観たことがないので(笑)、客観的な目で観た感想というのが僕からは言えないので、取材をしてくださっている皆様にお訊きしたいくらいなのですが、舞台に立っている自分から言えるのは、ずっと命を燃やしてきたということはあります。素晴らしい技術を持った役者さんがたくさんいらっしゃるなかで、自分はどうなんだと考えた時に、たいした技術があるわけではない僕ができることは、命を燃やそう、嘘がないものにしよう、そう思ってずっと舞台に立ってきた、それが一番にあることなのかなと思っています。やっぱり舞台というのは映像とはまた違って、お客様が観たい視点で、色々な角度で観られるものなので、帝国劇場だったら約二千人のお客様、それぞれが違う感想を持ちつつ、観ているのはひとつの作品なんですよね。そういう部分が共有できる空間というのが舞台の醍醐味だと思いますので、『SHOCK』は、どのポイントでもお客様に楽しんでいただけるように、を意識しながら演出してきたつもりなので、その一つひとつの場面の積み重ねが魅力なのかなということがあります。何よりもお客様と共に歩いてきたものなので、その声に応える、というよりもその先を目指してやってきました。自分としてはそれくらいしか言えないです。ただ命を燃やしてきたなということです」と、それぞれの目から見た『SHOCK』の魅力が語られる。
更に堂本に「これだけの回数一公演も嘘をつかなかったという自負はありますか?」との問いが重ねられると「ちょっと違う意味で嘘をついたことはあります。いまの時代は体調を崩したら休まなきゃいけないのですが、昔は自分に嘘をつきながら『大丈夫です』と言いながらやってきたこともあります」と、舞台に穴を開けないことが舞台人の美徳とされていた、コロナ禍前の時代を思い起こさせる発言も。そこに加えて「使い古された言葉ですが、最終的に2100何回かになると思いますが、役者にとっては2100何回中のひとつの公演かもしれませんが、お客様にとってはその1回が一期一会なので、そこにいかに熱を注げるかというのは、やっぱり大事なことじゃないかなと。当たり前のことなのですが、その当たり前のことを、当たり前のようにやろうとして、やってきたということなんだと思います」と、これだけの年月と公演回数で、“当たり前”を貫く超人的な意思の強さを感じさせた。
またライバル役の三人に、『SHOCK』に出会ったことで自身に起きた変化は?という質問が飛び、上田は、『SHOCK』のエンターティメントが凄すぎて、次の舞台で様々に大丈夫なのか?と不安になるのは一種の『SHOCK病』ではないかと語りながら「すごく不思議なんですが、心にしみついていて、プライベートでも『SHOCK』の曲を鼻歌で歌っています」と『SHOCK』愛の強さを。
佐藤は、エンタメをやるからには、光一くんのところまでたどり着かないといけないんだとの思いがあり、目標が高すぎるなと自分でも思うところがあると吐露しつつ、「色々素晴らしい作品はたくさんありますが、僕にとっては『SHOCK』が最高のエンターティメントです」ときっぱり。
中山は、劇場でずっと観てきた『SHOCK』に出たい、出たいと何度も言い、遂にそれが実現した時、観ていた間はあれほど楽しかったのにと思うほど過酷だった、と客席で観た『SHOCK』とキャストとして演じた『SHOCK』の違いを述べ「自分のなかでのエンタメの基準というか、舞台作品に臨むというのはこんなに大変なんだぞ、と改めて分からせてもらった作品でした」と、自身にとっての『SHOCK』の大きさを表現した。
そんな三人の魅力を堂本は「優馬は関西人なので、喋ると飄々として聞こえるじゃないですか。でもいざ本番を開けてみると、ここまで熱を持ってやるんだ、という関西人独特のズルさがありますね。僕も関西人なので(笑)。勝利はすごく素直で、この素直さがそのまま役に反映されて、とにかくがむしゃら、若さゆえに突っ走ってしまうことがもの悲しさを生むのが、勝利の良いところかなと思います。竜也に関しては常々言っているのですが、本当に勘違いされやすいタイプなんですよ、上田竜也という人間は。でも実際に触れてみると、こんなに熱いのかと。自分が正しいと思ったことに本当に突き進んでいくタイプなので、それがすごく役にマッチしています。だから彼と一緒にステージに立っていると、自分もその思いに任せられる、すごく信頼のおける奴ですね」と、三人のライバル役の個性や美点を、演出家らしい視点で伝えてくれた。
その堂本との稽古での思い出を問われたリカ役の二人は、中村が「去年からの参加だったので、本編と『Eternal』を同時に稽古していく作業を1ヶ月でやらなければいけなかったのですが、本当に初めての慣れないことばかりで、頭がパンパンになってしまって、毎日必死に皆さんに食らいついていく日々だったんです。その中でも光一さんは私が残って練習している時なども、一緒につきあってくださって。リカ役って色々な解釈の仕方があると思うのですが、そこですごく悩んでいた時に私の考え方を尊重して、とても親身になって稽古をしてくださったので、たくさん助けていただいたと思っています」
綺咲が「私も2年前のお稽古では本当にいっぱいいっぱいで、なんとかついていかなければという気持ちで走り続けていたのですが、その時光一さんから『大丈夫』と言っていただけて。その『大丈夫』という言葉が本当に短くも温かく、その時の私をすごく救ってくださった言葉だなと思い返しています。決して見放さず『一緒に頑張ろう』と言ってくださったことが、とてもありがたいことでした」と、共演者として、演出家としての堂本の真摯さを語った。
更に、『SHOCK』が2000回を迎えたのち、単独主演記録の2018回を迎える予定の5月9日が、『放浪記』で活躍し現在単独主演記録を持っている森光子の誕生日に当たっているのは、堂本の意向なのか?という問いに、「もう本当にびっくりしたんです。こんなことってあるんだという偶然のことで。コロナ禍があって色々と中止した公演もありますので、これを計算してやるなんてことはできないんですよ。しかも今年の公演のスケジュールを作っていた時に、スタッフが書いた曜日がずれていたんですね。それに気づいて慌てて修正したら、そこに当たったというとても不思議なことが起きました。それに気づいたのが東宝の宣伝部の方で『これ、森さんのお誕生日ですよ』と言われて、正直びっくりしました。ただ、常々言わせていただいているのは、森さんがやっていらしたことと自分がやってきたことを比べるようなことは全くできないと思っているということです。森さんの偉大な記録や、業界に遺してこられた功績を胸に刻みながら自分はやらせていただくだけだと思っていますし、森さんはずっと『SHOCK』のファンだと言ってくださって、毎日差し入れしてくださったり、常に応援してくださってきた方なので、皆様からは『おめでとう』と言っていただきますが、記録を越えるというような意識は自分のなかではなく、森さんからいただいたものに感謝を忘れず、一つひとつの公演を今まで通りやらせていただけたらなと思っています」と、これを仮にドラマの脚本で書いたとしたら「できすぎ」と却下されてしまうだろうほどの、何かのはからいのような展開について語った。
その年月を共に走ってきた帝劇の思い出と、新しく生まれる帝劇への期待を問われた堂本は「帝国劇場に24年間立たせてもらっている、自分の人生の半分毎年立たせていただいた場所で、行くと必ずワクワクドキドキする劇場なんです。独特の雰囲気、匂いもそうですし、あそこに行くと身も心も引き締まる思いと、あまりスピリチュアルなことを信用するタイプではないんですけど、何かが宿っている場所なんですよね。自分としてはそこで24年間毎年やらせてもらったというのは、普通では考えられないことで、こんなに幸せなことはないなと思っています。新しい劇場の詳細は全く僕も知らないのですが、新しくなるとセリなどの構造も変わるでしょうし、そういった意味でも今回最後にどんな気持ちになっているかはちょっと想像できないところがあります。新しい劇場には、そうですね、何を要望しようかな、シャワーの水圧だけは……って、それだとまた自分が立たせていただく前提になってしまいますので、難しいですね」と笑わせつつ、そこで育んできた『SHOCK』について「帝劇という、舞台をやっている人だったら皆がやりたいと思う場所に立たせていただいて、最初はたくさんのご批判もいただいてきましたが、自分がステージに懸ける思いとか、舞台に立つ意味といった部分を学ばせてもらった場所です。『SHOCK』という作品はステージに立つ思いそのものがストーリーになっている部分もあるので、僕なりの美学で時と共に変化していくことだけが正義ではない、ということに変わっていってもいるのですが、そういった面をストーリーからも学んできました。自分で作っていながら、作品で描いたことを有言実行していくというのかな、そういった不思議な作品ですよね」と感慨深い様子を見せた。
最後に『SHOCK』を誰かに引き継いでいく、というような構想はあるか?との問いに「自分としては誰かにやってもらいたいな、という思いは強くあります。それとは別に、何度も言っているように『SHOCK』は帝劇のサイズに合わせて作ってきたものなので、ミュージカル版としてはここで幕を下ろしますが、来年以降、何か感謝祭のようなイベントが色々なところでできるかもしれないと、これは具体的に何も決まっていないですよ、でもそういう気持ちもありますね」と、『SHOCK』を惜しむ思いに、光りが見える発言も飛び出し「今年で一応幕を閉めるという形を取らせていただきますが、まずはこれだけの多くの回数をやらせていただけることに感謝したいと思いますし、いま一緒にいる素晴らしいキャストの皆さんと共にやれることを嬉しく思っております。『SHOCK』という作品を一人でも多くの方に、それぞれ色々な思いの方がいらっしゃると思いますが、そのお一人おひとりの目に焼きつくようなものを届けられなと思っています」との力強い言葉で会見は締めくくられた。
正直、『SHOCK』が終わるということに対してまだ実感はわかないし、会見中堂本が「僕の尊敬する先輩の役者の方で『やめる』とおっしゃって何回も帰ってきた方もいらっしゃるので、それがどうなるかね」と爆笑を誘うジョークとして語った言葉に、歓迎こそすれ誰も怒らないからそうしよう!と、つい期待を込めてしまうのが正直なところだ。だが、会見に登壇したメンバーだけでなく、ふぉ~ゆ~の四人、福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介をはじめ、林翔太、室龍太、高田翔、寺西拓人、原嘉孝、松尾龍、尾崎龍星、石川直が、各地の公演に登場する確かに盛大な花火を打ち上げるが如き豪華メンバーによる、2024年の『Endless SHOCK』を、まずはなんとしても体感したい、この堂本光一が築き上げたエンターティメントを目撃した証人の一人になりたい、という思いが募る会見だった。
【公演情報】
『Endless SHOCK』
作・構成・演出・主演:堂本光一
●4/11~5/31◎帝国劇場(本編・Eternal 同時上演)
出演:堂本光一 佐藤勝利 越岡裕貴 松崎祐介 高田翔 寺西拓人 松尾龍 尾崎龍星 石川直 中村麗乃 前田美波里・島田歌穂(Wキャスト)
●7~8月◎大阪・梅田芸術劇場メインホール(本編のみ上演)
出演:堂本光一 中山優馬 林翔太 室龍太 高田翔 原嘉孝 松尾龍 尾崎龍星 綺咲愛里 島田歌穂
●9月◎福岡・博多座(本編のみ上演)
出演:堂本光一 佐藤勝利 福田悠太 辰巳雄大 室龍太 高田翔 松尾龍 尾崎龍星 綺咲愛里 前田美波里
●11月◎帝国劇場(本編のみ上演)
出演:堂本光一 上田竜也 福田悠太 辰巳雄大 越岡裕貴 松崎祐介 松尾龍 尾崎龍星 石川直 綺咲愛里・中村麗乃(Wキャスト) 前田美波里
〈公式サイト〉https://www.tohostage.com/shock/
【取材・文・撮影/橘涼香】