クオッカーズ旗揚げ公演『バンブー・サマー2024』開幕! 柳下大・宮﨑想乃・倉持聖菜 インタビュー

倉持聖菜・ 柳下大・宮﨑想乃  

題材もキャスティングも面白いクオッカーズ!

俳優として2020年まで舞台や映像で活躍していた柳下大が、プロデューサーとして演劇の世界に戻ってきた。3月20日には、舞台プロデュース事業「クオッカーズ」の旗揚げ公演として『バンブー・サマー2024』が、中野MOMOにて開幕した。(31日まで)

原作はアナログスイッチの佐藤慎哉、演出は俳優で演出家の河原田巧也が手掛けている。

物語は、蝉の声鳴り響くのどかな田舎の高校。通う生徒は男子ばかり。そんな高校に一人の女の子が転校してくる。可愛い転校生に動揺を隠せない男子たちと、月に帰る運命を背負ったかぐやの、ひと夏の青春物語……。

この作品で、月チームと竹チームに分かれて主役の弱竹かぐや役を演じるのは、元HKT48の宮﨑想乃と舞台を中心に活動する倉持聖菜。ふたりがこの作品のプロデューサー、柳下大とともに語り合った「えんぶ4月号」の記事をご紹介する。

若い俳優たちで演じたら面白くなる作品

──まずこの作品を旗揚げ公演に選んだ経緯から聞かせてください。

柳下 題材をどういうものにしようかと考えたときに、群像劇でできれば会話劇がいいなと思って、そういう作品を探していたら、以前お世話になった小沢道成さんからアナログスイッチという劇団が面白いと。そこで脚本と演出をされている佐藤慎哉さんとお話ししたら、若い俳優たちで演じたら面白くなるとこの作品を推薦してくれたんです。

──今回は2チームのダブルキャストで上演します。その意図は?

柳下 僕自身が沢山の人と出会いたかったことや、いろんな組み合わせで観たかったこと。それにスケジュール的に全公演出演は難しそうだった人も、この形なら出ていただけるということで。

──その月チームのかぐや姫が宮﨑さん、竹チームが倉持さんですが、まず台本を読んでいかがでした?

宮﨑 最初は、始まりと中盤、そして終盤と感情が変化していくので、それを作るのが難しいだろうなと。役柄も今まで経験したことのない役ですし。でもダブルキャストということで、倉持さんが演じるかぐやから、私1人ではわからなかった感覚なども得られるのではないかと思ったので。

倉持 私は柳下さんがおっしゃったように、会話劇でテンポよく進んでいって、中身も学園ものなので、「こういう人いる!」とか「この気持ちわかる」とか、短編小説を読むような感じで読み終えました。

──柳下さんがこのおふたりをかぐや姫にキャスティングした理由は?

柳下 全然イメージが違うのがいいなと。この作品のかぐや姫に抱くイメージは、僕の中でも1つではないし、観る方にも作品をいろいろな角度から捉えていただけるのではないかと思ったんです。

──おふたりにとって、かぐやはどんな印象ですか?

宮﨑 私自身がすごく人見知りで、時間をかけてみんなと打ち解けていくほうなので、重ねながら演じられる部分があるかなと思いました。

倉持 私は意外と頭が良い人なのかなと。だからこそ自分に感情がないということについて、どうしてこうなんだろうと頭をめぐらせているし、感情を出したいけど出せないというのが自分でも苦しいのかなと。私はこれまで感情を出す役が多くて、叫んだり泣きわめいたりする役もやってきたので、今回は逆にいい機会をいただいたと思っています。

宮﨑 私もこれまではわりと何も考えていない、ただ明るさで物語を照らす女の子が多かったのですが、今回は違う角度から作れるし、しかもファンタジーなので自分の想像だったり感覚で作れるのかなと楽しみです。

かぐやはめいっぱい振り回されてほしい

──この作品の元は「竹取物語」ですから、不老不死についても出て来ますし、かぐやが人間と解り合えると迎えの使者がくるとか、ちょっと切ない部分もありますね。

柳下 劇団での上演ではわりとコメディ色の強い舞台だったんです。でも今回、演出の河原田(巧也)さんと話して、もう少し切なさを加えたいねと。ラストの場面も含めてその部分を膨らませています。やはりコロナ禍を経て、人との繋がりをもう一度考えたいというのがテーマの1つにあるので。

宮﨑 人との繋がりでは、かぐやが持っている感情をクラスメートに与えて、クラスメートが持っている感情をかぐやに与えて、お互いに新しい感情を持っていく姿が素敵だなと思いました。

倉持 私もかぐやが変わっていく話だと思っていたら、クラスメートのほうが先に変わっていく。刺激し合える人と出会ってお互いに成長していくところがいいなと。

柳下 そういう意味でも、ふたりにはまずこの作品で演劇というものを楽しんでもらいたいと思っているんです。僕自身が全力で楽しむ舞台が好きだったので。今回の舞台は物語を回していくような役はそれが出来る人が演じてくれるので、かぐやはとにかくめいっぱい振り回されてほしいなと。そしてラストシーンでは、かぐやと同じような寂しい気持ちになってほしいと思っているんです。

若い俳優たちが輝ける場所を

──ダブルキャストのお互いについての印象はいかがですか?

宮﨑 ビジュアル写真を見たときは、おとなしめな方かなと思っていたんです。でも会った瞬間から話しやすくて。

倉持 実は私も人見知りなんです。

柳下 ほんとに?(笑)

倉持 ほんとにそうなんです!(笑)宮﨑さんは可愛いのはもちろんですが、愛嬌があって、誰にでもフレンドリーに接する感じですし、笑顔がとても素敵なので隣にいたい人です。

宮﨑 私も! 舞台では別チームなのが残念です。

──宮﨑さんはアイドルだったわけですが、俳優になりたかったのですか?

宮﨑 いえ、逆に演技は苦手で避けていたんです。今こんなに舞台に出ているのが自分でも不思議です。今はまだ楽しいと手放しでは言えないのですが、楽しいと言えるまでの道のりを必死で進んでいるところです。

──倉持さんも俳優として幅広く活躍されていますね。お芝居は楽しいですか?

倉持 いつも楽しいばかりではなく、どう演じていいかわからない役もありましたし、人間関係が難しかったこともありました。でも振り返ったときに笑い話になればいいと、いつもそう考えて走っています(笑)。

柳下 ふたりの話を聞いて、ダブルキャストにしてよかったです。どちらもそれぞれ素敵なかぐやになると確信しました。

──最後に改めて、クオッカーズとこの作品のアピールを。

柳下 発表したときのリリースにも書かせていただいたのですが、若い俳優さんたちが輝ける場所を提供したいと思っています。今回の作者の佐藤さんも演出の河原田さんも僕と同世代なのですが、僕らより下の世代にこういう会話劇の面白さを知ってほしいし、お客さんには「クオッカーズの芝居は、題材もキャスティングも面白いのを選んでくるね」と思ってもらうのが理想です。そして出演した人たちにとってステップアップの機会になればと思っています。俳優さんたちには「出てよかった」、お客さんには「観てよかった」と言ってもらえるものを作りたいです。まずはこの公演を成功させるためにがんばります。

倉持聖菜・柳下大・宮﨑想乃

■PROFILE■
やなぎしたとも○神奈川県出身。2006 年に開催されたワタナベエンターテインメント主催「第3回D-BOYS オーディション」にてグランプリを受賞し、俳優活動をスタート。『タンブリング』『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス2011』をはじめ様々なドラマ、映画、舞台へ出演。D☆DATEとして音楽活動も経験。20 年に所属事務所を退社し、芸能界を引退。24年、舞台プロデュース事業「クオッカーズ」を立ち上げ、タレントではなくプロデューサーとして再始動。

みやざきその○2000年生まれ。佐賀県出身。HKT48を卒業後、モデル・グラビア活動や舞台出演など多方面で活躍している。【舞台】23年『マジでトキメけ☆少女たち!!〜ホシのミライ〜』、『ミキアカシ』(主演)、24年『コムタンスープ』。

くらもちせな○1996年生まれ。埼玉県出身。俳優として多方面へ活躍の場を広げている。ミュージカル&音楽グループ×純文学少女歌劇団のメンバー若草式ジョーとしても活動中。【舞台】舞台「鬼滅の刃」其ノ肆 遊郭潜入、『HUNTER×HUNTER』THE STAGE、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』、THE STAGE『カーニヴァル 始まりの輪舞曲』【TV】『地獄先生ぬ~べ~』。

【公演情報】
クオッカーズ旗揚げ公演
『バンブー・サマー2024』
原作:佐藤慎哉 
演出:河原田巧也
出演:
【月チーム】宮﨑想乃
東拓海 馬越琢己 宮脇優 河西剛徳 もっぱらカワサキ
矢島美音 薄倉里奈 永井良 弦間哲心 佐野真白 水野絵梨奈
【竹チーム】倉持聖菜
田中尚輝 河合健太郎 江副貴紀 さとう豆 安堂大空 根岸可蓮
福留光帆 海老原雄一郎 黒澤諒 奥村颯太 遠藤瑠香
●3/20~31◎MOMO
〈公演サイト〉https://t.livepocket.jp/t/banboo_summer2024

【構成・文◇宮田華子 撮影◇田中亜紀】

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