南座九月花形歌舞伎『新・水滸伝』開幕!

南座では、話題の花形俳優が出演する九月花形歌舞伎『新・水滸伝』が9月3日に初日を迎えた。
中国四大奇書のひとつ「水滸伝」を下敷きに誕生した『新・水滸伝』。エンタテインメント満載、息つく暇なしのスピード感あふれる展開で、先月、東京・歌舞伎座で話題を呼んだ本作が、南座の舞台空間に合わせ、さらにパワーアップした舞台を展開している。
古典、新作ともに数々の大役を勤める中村隼人をはじめ、上方歌舞伎の次代を担う中村壱太郎、そして市川團子、人気ドラマ出演で注目を集める市川笑三郎、市川猿弥らのさらに市川中車も出演。宙乗りあり!  立廻りあり! 壮大なスケールで描く痛快娯楽大作となっている。 

レポート》
〈第一幕〉
舞台は十二世紀初頭、中国・北宋の国。壮大な音楽と梁山泊軍が勢揃いする華やかな幕開けの後、かつて兵学校の教官をしていたが、数多の罪で牢に繋がれた天下一の悪党、林冲(中村隼人)は、梁山泊の晁蓋(市川中車)や李逵(中村福之助)により、助け出されます。開幕早々、隼人演じる林冲が、襲い来る警護兵たちと軽やかな立廻りを繰り広げると、観客の視線は釘付けに。

ところ変わって、梁山泊。隣町・独龍岡や朝廷軍の奇襲を迎え撃つのは、女親分の姫虎(市川笑三郎)や、山賊あがりの王英(市川猿弥)たち。迫りくる敵に梁山泊軍が退散する中、王英は独龍岡軍の女戦士、青華(市川笑也)に一目ぼれしてしまいます。その後、青華に心奪われた猿弥演じる王英と、仲間のお夜叉(中村壱太郎)は客席通路から登場。コミカルなやりとりに、客席からはたびたび笑いが起こります。

一方、酒浸りの日々を送る林冲の元に、かつての教え子で今は朝廷軍の兵士、彭玘(市川團子)がやってきますが、林冲は邪険に扱います。

そして王英は、お夜叉とともに青華に会うため独龍岡を訪れますが、あえなく捕まってしまいます。二人が捕まったことを知った林冲は、一人独龍岡へ向かい、さらに、林冲の身の上を知った晁蓋や、燕青(市川寿猿)、時遷(嘉島典俊)、公孫勝(市川門之助)ら梁山泊の面々も、三人を助けるべく、出陣します。
第一幕のラストでは、梁山泊軍が、テーマ曲を熱唱。耳に残る力強い楽曲に、客席も一体となり、梁山泊軍の行方を見守ります。

〈第二幕〉
敵対する高俅(浅野和之)、祝彪(市川青虎)らとの戦いが激化する中、林冲が張進(中村歌之助)にとどめを刺されそうになったところ、彭玘が身代わりとなります。彭玘演じる團子の迫真の演技に、観客は息をのみます。

そして、独龍岡軍との戦以来、心を改めた林冲。晁蓋の危機を知った林冲は「飛龍」と呼ばれる大凧にのり、助けに向かいます。南座を勇壮に舞う宙乗りの場面では、観客から万雷の拍手が沸き起こりました。

いよいよクライマックス。林冲と朝廷軍が直接対決となり、再び、隼人演じる林冲による激しい立廻りで手に汗握る展開が続きます。やがて、朝廷軍を討ち果たした梁山泊一同は、心をひとつに、道なき道を進む決意をするのでした。
梁山泊の面々が勢揃いし、希望に満ち溢れたラストに客席からは大きな拍手が送られました。

 
【公演情報】
九月花形歌舞伎『新・水滸伝』
2023年9月3日(日)~24日(日)南座
【休演】11日(月)、19日(火)
午前の部 午前11時~ 午後の部 午後3時30分~

横内謙介 作・演出
杉原邦生 演出
市川猿翁 スーパーバイザー
三代猿之助四十八撰の内
  新・水滸伝(しん・すいこでん)
中村隼人宙乗り相勤め申し候
 
林冲 中村 隼人
お夜叉 中村 壱太郎
李逵 中村 福之助
張進 中村 歌之助
彭玘 市川 團子
祝彪 市川 青虎
燕青 市川 寿猿
時遷 嘉島 典俊
姫虎 市川 笑三郎
青華 市川 笑也
王英 市川 猿弥
高俅 浅野 和之
公孫勝 市川 門之助
晁蓋 市川 中車

※午前の部/午後の部 同一演目にて上演
〈料金〉一等席15,000円 二等席8,000円 三等席5,000円 特別席16,000円(全席指定・税込)

《出演者によるアフタートーク》
◆9月18日 (月) 午前の部終演後
登壇者:市川中車、市川門之助、浅野和之、市川猿弥、市川笑也、市川笑三郎、市川寿猿 進行:市川青虎
◆9月21日 (木) 午前の部終演後
登壇者:中村隼人、中村壱太郎、中村福之助、中村歌之助、市川團子、嘉島典俊     進行:市川青虎

〈公式サイト〉https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kyoto/play/822
 

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