『俵星玄蕃』『荒川十太夫』尾上松緑、坂東亀蔵、尾上左近らが泉岳寺にて墓参!

竹柴潤一、西森英行、尾上松緑、坂東亀蔵、尾上左近(C)松竹

歌舞伎座では、12月の第二部にて『俵星玄蕃(たわらぼしげんば)』、来年1月の昼の部で『荒川十太夫(あらかわじゅうだゆう)』と、尾上松緑主演による「赤穂義士外伝」を二ヶ月連続上演する。
その公演に先立ち、11月26日に、尾上松緑、坂東亀蔵、尾上左近、西森英行(演出)、竹柴潤一(脚本)が赤穂義士ゆかりの泉岳寺に墓参した。

歌舞伎座では尾上松緑主演による「赤穂義士外伝」を二か月連続で上演する。12 月の「十二月大歌舞伎」(2023 年 12 月3日初日-26日千穐楽)第二部では『俵星玄蕃(たわらぼしげんば)』、1 月「壽 初春大歌舞伎」(2024 年 1 月 2 日初日-27日千穐楽)の昼の部では『荒川
十太夫(あらかわじゅうだゆう)』。
両作品ともに、長らく人々に愛されてきた赤穂義士の討入りにまつわる物語で、赤穂義士が討ち入りを果たした 12 月の『俵星玄蕃』は、討入り前夜と当日を描いている。1 月の『荒川十太夫』は、討入りの後日譚を描いた作品。それぞれの立場で義を貫く男の生き様が胸を打つ「赤穂義士外伝」を二か月連続で堪能できる。

また、『俵星玄蕃』は槍の名手・俵星玄蕃と赤穂義士・杉野十平次との心の交流が描かれた名作で、講談や浪曲でも有名で、この度が初演となる。『荒川十太夫』は人間国宝の講談師・神田松鯉の口演により、昨年 10 月に歌舞伎として初演。その年で一番優れた新作歌舞伎として「大谷竹次郎賞」を受賞、「文化庁芸術祭賞・芸術祭優秀賞」も受賞するなど多くの反響を呼び、早くも再演の運びとなった。尾上松緑は『俵星玄蕃』で俵星玄蕃、『荒川十太夫』で赤穂義士・堀部安兵衛の介錯をつとめ苦悩する下級武士の荒川十太夫を初演に続き勤める(※俵星玄蕃、荒川十太夫ともに赤穂義士ではありません)。

坂東亀蔵は『俵星玄蕃』で当り屋十助実は杉野十平次(※赤穂義士)、『荒川十太夫』では初演に続き松平隠岐守定直を勤める。尾上左近は『俵星玄蕃』『荒川十太夫』両作品で大石内蔵助の息子・大石主税(※赤穂義士)を勤める。左近は昨年の『荒川十太夫』でも大石主税を演じている。

浅野内匠頭の墓前にて法要。墓の前、尾上松緑 (C)松竹_

歌舞伎座での上演に先立ち、主演の尾上松緑をはじめ、坂東亀蔵、尾上左近、両作品で演出を勤める西森英行、脚本の竹柴潤一が、作品ゆかりの地である泉岳寺を墓参した。山門にて写真撮影、浅野内匠頭の墓前での法要を行い、四十七士の墓前をお参り、また、松緑は大石内蔵助の墓、亀蔵は『俵星玄蕃』で演じる杉野十平次の墓、左近は両作品で演じる大石主税の墓へ卒塔婆を立て、手を合わせた。

大石内蔵助の墓へ手を合わせる尾上松緑(C)松竹_

尾上松緑は「これまで何度も来ているところではありますけれども、泉岳寺に来るということは、忠臣蔵に関わりのある公演をさせていただけているということでもあるので、ありがたいなという思いです」と述べ、「昨年上演した『荒川十太夫』という作品がお客様に喜んでいただけたことが、この度、二つ目となる『俵星玄蕃』に繋がることになりました。年末ということもあり、お客様に喜んでいただけるものを、みんなと一緒につくっていきたいなと思っています。気心の知れた何でも言い合えるようなメンバーでやっておりますのに忠臣蔵がテレビなどでも掛からなくなっていますが、こういう古き良き日本の物語があるということをお客様に楽しんでもらえるようにがんばりますので、応援をしてもらえればと思います」と呼びかけた。

杉野十平次の墓に手を合わせる坂東亀蔵(C)松竹_

坂東亀蔵は「幼い頃にすぐそばに住んでいたので、よく遊びに来ていました。資料館や、近くの公園、参道のお土産物屋でプラスチックの刀を買ってもらってチャンバラをして遊んでいました。これまでも忠臣蔵物をやるときには必ずお参りに来ています。去年の第一弾(『荒川十太夫』)は、どうなるのかということが自分たちでもわからなかったのですが、舞台稽古で観た幕内のみんながよかったよと言ってくれたことが自信につながりました。幕が開いてからは、お客様から、いいお芝居で泣けました、いいお殿様ですね、と言ってくださったことが嬉しかったですね。今回は、第二弾ということでお客様の期待からのプレッシャーはありますが、みんなでいいものをつくっていければと思います。講談から歌舞伎にしてよかったなと思っていただけると嬉しいですよね。スタッフ、演者一同、一所懸命お客様にいいものを見せるべくがんばっていますので、是非、期待して歌舞伎座にいらしてください」。法要を終え、「やはり身が引き締まる思いですね。無事に勤めさせていただきたいと思います、という気持ちで手を合わせました。皆で力を合わせて、いい作品をつくりたいなと思っています」と語った。

大石主税の墓に手を合わせる尾上左近(C)松竹_

尾上左近は二か月連続で、大石内蔵助の息子である大石主税を勤める。「大石主税さんをふた月勤めさせていただくにあたって、ご挨拶をさせていただきました。大石主税さんは、最年少で討入りに臨み、抜け穴に最初に飛び込んでいったといわれる人物。その勇猛果敢な闘志に、想いの強さ、忠義の素晴らしさを感じます。私は年齢も近く、そのような方を勤めさせていただけることをとても光栄に思います。義士の方々に失礼のないよう、二か月、誠意を込めて舞台に立ちたいと思います」。

演出の西森英行は「昨年は『荒川十太夫』の始まる前と、終わった後にご報告で伺いました。作品をどう意義のあるものとして残すか。赤穂義士の物語が現代にどう翻訳され、現代のお客様に届くかということをずっと考えているところがあります。今は非常に力が入っています」と述べ、昨年の『荒川十太夫』に続く出演者・スタッフのチームを「素晴らしいです。常に妥協せぬ、ベストは何かを考え続けるチームですね。僕はそういうのが大好きですし、松緑さんを筆頭にエネルギーをかけて作品をつくるチーム、作品のためにという熱の高いチームなので、そこの中でやれるということは至上の喜びです。第二弾はプレッシャーもありますけれど、とにかく嬉しいです」。お客様へのメッセージとして「僕は作品に携わらせていただいて、この作品は決して古くない、むしろ今だからこそちょっと振り返ってみてみようかな、僕らは色々と日々に迷うことばかりなので、ひとつの指針を渡し得る古典の力がこもった作品だと思っているので、そこを受け取っていただけたら嬉しいです」と語る。

脚本の竹柴潤一は「毎年12月14日は、東京にいれば必ずお参りに来ています。やはり忠臣蔵物でご飯食べている我々とすれば行かなければいけない場所だと思っています。二代目山陽先生も『冬は義士、夏はお化けで飯を食い』と、講釈師の先生もおっしゃっているように、ここは古典芸能に関わっている人間にとって特別なところだと思いますが、今日はいつもとは少し違った心持ちでのお参りとなります。昨年の『荒川十太夫』は神田松鯉先生の御作を舞台にするということで良くも悪くも寄りかかって出来ましたが、今回の『俵星玄蕃』は皆様の意見を頂戴して、皆様に助けていただき、お力をもらいながら、お客様に楽しんでいただける作品をつくっていきたいと思います。初心忘るべからず、狂言作者としての仕事ができればと思いますね」。お客様へのメッセージとして「我々日本人がこういうものを大事にして生きてきたということを……あまり難しいことは考えなくてもいいですけれど、とにかく二か月楽しんでいただき、ほっこりとした気持ちになって劇場をあとにしていただければと思います」と語った。

【公演情報】

『俵星玄蕃』特別ビジュアル


歌舞伎座新開場十周年
「十二月大歌舞伎」
2023年12月3日(日)~26日(火)
第一部 午前11時~
第二部 午後2時45分~
第三部 午後5時45分~
【休演】11日(月)、19日(火)
【貸切】※幕見席は営業
第一部:15日(金)、24日(日)
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/846

『荒川十太夫』特別ビジュアル


「壽 初春大歌舞伎」
2024年1月2日(火)~27日(土)
昼の部 午前11時~
夜の部 午後4時~
【休演】9日(火)、18日(木)
劇場:歌舞伎座
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/851

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