主演舞台『愛称⇆蔑称』まもなく開幕! 原 嘉孝インタビュー

原 嘉孝主演、山田ジャパン公演『愛称⇆蔑称(あいしょうべっしょう)』が、3月7日~15日に、六行会ホールにて上演される。

劇団「山田ジャパン」は、脚本・演出家の山田能龍が主宰し、独特のコメディ感と哲学感で構築された演劇を得意とし、これまでに数多くの作品を上演。今作『愛称⇆蔑称』では、ごく当たり前の文化“あだ名”が、現代社会の新たな常識に晒されたとき、愛称か蔑称かの境界線が曖昧になってしまう様を、笑いにのせて問題提起するシニカルコメディとして届ける。

近年ストレートプレイからミュージカルまで幅広い作品に出演し、今回、教師歴5年目の畑中忠平役を主演する原 嘉孝に作品への意気込みを聞いた。

仕事として選んでいたかもしれない話

──今回、山田ジャパンの作品には初出演ですね。原さんは今まで山田ジャパンの作品をご覧になられたことはありますか?

舞台は観たことはないんですよね。でもNetflixの『全裸監督』とテレビドラマ『CODE-願いの代償-』という作品を見ていて、調べてみたら「山田さんだ」と。『全裸監督』のときはまだご一緒することは決まっていなかったですけど、『CODE』のときにはこの作品が決まっていたんですね。ただ、山田さんだから作品を見たわけじゃなく、偶然ですよ。だから勝手にご縁を感じて、そのときから出演を楽しみにしていました。

──山田さんの描かれる世界のどんなところに魅力を感じますか?

なんだろうな。僕が見たその2作品は、ちょっと現実離れしているというか、あんまり着目されないような世界に特化して書かれた作品だったんですね。…思い返すと、自分は昔から小説を読むときはフィクションが多くて。死後の世界とか、ちょっと現実離れした世界に自分は興味があるんでしょうね。だから山田さんの脚本は魅力的に感じるんだと思います。今回の作品もどんな世界観なんだろうとワクワクしていました。

──期待感を持って読まれた脚本。最初に読まれた印象はどうですか?

学校の教員を題材にしている作品ということで、もともと自分は教育学部に通っていたので、僕の叶わなかった夢というか、もしかしたら仕事として選んでいたかもしれない教員室での話で、その時点でワクワクしました。それに脚本に出てくる「あだ名禁止」という問題が実際にあることを知らなかったので、これもまた僕の中では知らない世界を描いているんですよ。そこもくすぐられる。勉強にもなりますし、お客さんに訴えかけるようなところもあるんじゃないかな。

──「そこを取り上げるんだ」という驚きがありますよね。

はい。いろいろな問題があるのでしょうが、僕はあだ名禁止反対派。でも周りの友達に聞いても「俺の学校も禁止だったよ」という人がいて。僕らが中学生のときだから10年ぐらい前の話ですけど、その頃からある議論なんだなと思って、興味深いです。それから脚本を読んで、会話のリズムが楽しかったです。「いとうあさこさんならこういう風に読むのかな?」と想像しやすかった。もちろん、山田さんとあさこさんは長くやられているから、お互いにイメージがあるんだと思うんですけど、僕一人で読んでてもすでに楽しい脚本でした。

生徒との距離が近い先生は僕の理想

──今回はあて書きということですが、教師という設定は原さんのご提案ですか?それとも山田さんによるものですか?

山田さんです。もしかしたら僕が教育学部にいたことを調べてくれて、この題材にしたのかなと思ったんですけど、そうではなく偶然らしいです。だから余計に嬉しかったです。ファンの人は僕が教育学部に通っていたことを知っているから、お芝居の中でそういう姿を見せられるし、僕も教師を“体験”できますから。

──原さんの何かをご覧になって、教師を連想されたんですかね?

僕が出演していた、ドラマの『トリリオンゲーム』を見てくださっていたようで、そのイメージからではないですかね。明るくて、活発すぎるというか、自分の感情が暴走してしまうキャラクターが似合うと思っていただいたのかもしれません(笑)。

──原さんご自身、先生になっていたとしたら、どんな先生だったと思いますか?

僕は小学校の教員の勉強をしていたので、今回の設定である中学校教員とはまたちょっと違いますけど…いじりいじられ、友達のような、生徒と距離が近い先生になりたいと思っていました。今は問題になっちゃうかもしれないけど(笑)。だから「あだ名」も生徒と先生の距離を詰める上では、許していいと思うんですよね。親身になってくれてなんでも相談できる先生は、みんなから愛されていたから。ちょっと考えられない世界ですね、あだ名禁止というのは。

──教員免許は実際に取られたのですか?

いや、実は取っていないんですよ。でも大学1年生のときに、1週間ほど小学校に実習に行きました。具体的に教科を教えるわけではなくて、児童の様子を後ろから見たり、休み時間に一緒に遊んだり、昼食を一緒に食べたりはしたんですけど。4年生に行われる本格的な教育実習は1ヶ月、2ヶ月時間が取られてしまうので、仕事との兼ね合いで諦めたんです。あのとき教員免許を取らない選択をしたから今があるとは思いますけど、取っておけばよかったなとも思います。別に今から教師になりたいというわけではなくて、芸能生活の中でも関連の仕事ができたかもしれないので。

──なるほど。ちなみに小学校教員の勉強をされていたということですが、もし先生になったとしたら、何の科目が専門だったと思いますか?

 体育でしょうね。(よく着る)タンクトップで!(笑) って、それも今はセクハラになってしまうのかな? 実は今、僕の弟が体育教師をやっているんです。僕の叶わなかった夢を叶えてくれている形ですね。まあ、でもいろいろと大変みたいですけど。

──原さんは今回の役についてどうアプローチしようと考えていますか?

 生徒からあだ名で呼ばれていて、生徒との距離が近い先生は、 僕個人の理想の教師に近いので、それを演じられることは楽しみですよね。生徒から信頼されていて、地元を愛しているという根本を持ちつつ、演じていきたいなと思います。とはいえ、まだ新米教師で、初の学年主任を任されて、という設定なので、まだどこか青っぽさがある。ちょっと自分の感情をコントロールできない部分もある。そういう部分も上手く出せたらいいな。

今こういう問題が実際にあるんだ」と

──ところで、いとうあさこさんとは初共演ですね。どんな印象をお持ちですか?

あさこさんといえば、バラエティ番組の『世界の果てまでイッテQ!』のイメージが強かったんですが、先日、ビジュアル撮影で初めてお会いしたときはバラエティ番組での姿はなく、謙虚な感じで接してくれて、逆に緊張しました(笑)。これから稽古を通して、慣れてくれば、バラエティ番組の感じで接してくれるかもしれませんが、普通の大人のしっかりした女性でした(笑)。テレビのイメージが強かった分、劇団員として、周囲に気を使うあさこさんの姿は想像していなかったので、なんか新鮮でしたね。あさこさんのお芝居も観たことがないので、どういうアプローチをされるんだろう、どういうセッションになるんだろうと、とても楽しみです。

──いろいろとお話を伺いました。改めて楽しみにされているファンの皆さまに観劇の一押しとなるようなコメントをお願いします!

まず、題材が面白いです。多分、僕と同じように着目していなかった人たちも多いと思うんですけど、「今こういう問題が実際にあるんだ」と身近に感じるきっかけにもなるでしょうし、それを山田さんの脚本、 そして、僕たちキャストの力で、面白おかしく表現していきますので、楽しみにしていただければと思います!

■PROFILE■  
はらよしたか○神奈川県出身。舞台を中心に活躍中。最近の出演作品は【舞台】『The Agent』『天翔ける風に』『スローターハウス』『家政夫のミタゾノ THE STAGE ~お寺座の怪人~』『罠』『Endless SHOCK』『Endless SHOCK- Eternal-』『ダディ』『ウエスタンモード』『天国』『喜劇 老後の資金がありません』『hedge1-2-3』『両国花錦闘士』『逆転裁判』『リチャード二世』。【映画】『まくをおろすな!』。

【公演情報】
山田ジャパン2024年3月公演
『愛称⇆蔑称』
脚本・演出:山田能龍
出演:原 嘉孝 いとうあさこ 
黒田アーサー 松田大輔(東京ダイナマイト) 二葉 勇 二葉 要
横内亜弓 羽鳥由記 浜名一聖 長江愛実 布施勇弥 高島麻利央 金子美紗 西雲アキラ 他
●3/7~15◎六行会ホール
〈料金S席 前売7,800円/当日8,300円 A席 前売6,800円/当日7,300円 A席のみ平日昼割 前売5,800円/当日6,300円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
カンフェティ http://confetti-web.com/stage-aibetsu 
〈チケット問い合わせ〉SUI〈スイ〉03-5902-8020(火・金12:00~17:00)
MAIL:yamadajp.ticket.info@gmail.com
〈公式サイト〉http://yamadajapan.com/stage/aibetsu/
〈公式X〉@yamadajapan2008
〈公演に関する問い合わせ〉山田ジャパン info@yamadajapan.com

【取材・文/五月女菜穂 ヘアメイク:服部幸雄(メーキャップルームプラス) スタイリスト:リシェス】

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