新たな冒険の旅はここからはじまる──ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社
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シリーズ累計発行部数1億 2,000 万部を誇る荒木飛呂彦の大人気コミックシリーズ「ジョジョの奇妙な冒険」世界初の舞台化であるミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』が、2 月 28 日帝国劇場公演を終え、3 月 26 日~30 日札幌芸術劇場 hitaru 4月 9 日~14 日兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホールでの公演へと、その旅路を進めている。

「ジョジョの奇妙な冒険」は人間の誇りと勇気を描き上げる〈人間讃歌〉をテーマに、父から子へ、更に先の世代へと受け継がれていく運命や因縁が描かれる大河群像劇とも言うべき壮大なシリーズ作品。個性的なキャラクターたちが頭脳と肉体両面で繰り広げる闘いや、独創的な擬音を含めた、誰もが口にしたくなる名セリフの数々など、唯一無二の世界が多くのファンを魅了し、映画化、アニメ化、ドラマ化、ゲーム化、小説化などのメディアミックスや、ハイブランドとのコラボによる様々な商品展開などが、日本国内はもちろん、世界で熱狂的な支持を獲得して広がり続けている。
今回の作品は、そんな世界観の全ての始まりである、第1部「ファントムブラッド」をベースにした世界初のミュージカル化で、メキシコから発掘された〈謎の石仮面〉にまつわる二人の青年の数奇な運命を追う冒険譚が展開されている。

【STORY】

19 世紀、イギリス──由緒ある貴族ジョースター家の一人息子、ジョナサン・ジョースター(松下優也/有澤樟太郎・W キャスト)は、“ジョジョ”の愛称で呼ばれ、父ジョースター卿(別所哲也)の厳しくも温かい教育の下で“本当の紳士”になるよう育てられていた。そのジョースター家に、スラム街で生まれ育ったディオ・ブランドー(宮野真守)が養子として迎え入れられる。病死した父ダリオ・ブランドー(コング桑田)が、かつてジョースター卿の命を救った恩人であった縁により、ジョースター家に引き取られたのだ。二人は対等に育てられ逞しく成長していくが、ディオは模範的な青年を装いながら、“ジョジョ”の全てを奪おうと画策していた。愛犬ダニーや友人たち、初恋の相手エリナ・ペンドルトン(清水美依紗)、ついにはジョースター家の財産までをも侵略していこうとするディオ。だがある日遂にその邪悪な企みに気が付いた“ジョジョ”は、ロンドンの貧民街・食屍鬼街(オウガーストリート)に向かい、その信念と“本当の紳士”としての振る舞いに心酔したスピードワゴン(YOUNG DAIS)の協力を得て、ディオの陰謀に加担したワンチェン(島田惇平)を連れて屋敷に戻る。絶体絶命となったディオは、ジョースター家に飾られている、不思議な闇の力を持つ〈謎の石仮面〉を利用して強大な力を得るが、それを阻もうとした“ジョジョ”との死闘の末行方知れずとなる。
命を賭したディオとの勝負に勝ったかに思われた“ジョジョ”だったが、〈謎の石仮面〉を追い続けるウィル・A・ツェペリ(東山義久/廣瀬友祐・W キャスト)からディオが生きながらえ、世界を脅威にさらそうとしていることを知らされ、ツェペリが特殊な呼吸法で操る〈波紋法〉を体得し、スピードワゴンも加わり、ディオとの決着をつける旅に出る。一方、ディオは切り裂きジャック(河内大和)や伝説の騎士タルカス(森内翔大)、ブラフォード(池田遼)たちを従え、邪悪な帝国を築いて“ジョジョ”の訪れを待っていた。二人の長きにわたる因縁は、果たしてどんな結末を迎えるのか……。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

2025 年 2 月に建て替えの為の休館に入ることが発表されている現帝国劇場クロージングラインナップに、このミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』が置かれたのは、大きな意味のあることだったと思う。と言うのも、100 年以上の歴史を持ち「今日は帝劇、明日は三越」と「モボ・モガ」と呼ばれた洒落者たちが集う場としても認知されたほどの、娯楽と演劇の殿堂・帝国劇場は、いまなお演劇鑑賞が“ハレの場”だった時代の香りを放つ、日本でも数少ない劇場のひとつ。その劇場が生まれ変わる日を前にした 2024 年~2025 年 2 月までの期間に、様々に思い浮かぶ帝国劇場の歴史を彩ってきた名作群ではなく、現代日本が世界に誇るコンテンツであるコミックスを原作に、帝国劇場だからこそできるオリジナルのグランド・ミュージカルの創作を目指したこの企画は、現帝劇のクロージングを“ハレの場”への回顧ではなく、ここから新たな時代の新たな演劇、新たなミュージカルを生み出そうとする攻めの姿勢を前面に感じさせたからだ。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

そんな次代の扉を開けようと用意されたこのミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』は、原作が持つ「人間讃歌」のテーマのなかでも、「何を成したかではなく、どう生きたか」に集約されていく主人公ジョナサン・ジョースター、“ジョジョ”がたどりつく“本当の紳士”の矜持と、出自による越えられない壁のなかで抗い続けるディオの執念に、胸打たれるものになった。
それは、演出・振付の長谷川寧による独創的な動きや、ドーヴ・アチアとロッド・ジャノアのキャッチ―で多彩で、どこか素朴でもある美しいメロディーによるミュージカルナンバーと共に、ストーリーテーリングにはラップ表現を持ち込んだ脚本・歌詞の元吉庸泰の創意工夫。坂や穴、また壁を印象に残しながら回る石原敬、牧野紗也子の美術に上田大樹の映像を大胆に組み合わせた舞台セット。魅せる為というよりも、ドラマにとっての必然である松藤和広のフライング表現等々、「ジョジョの奇妙な冒険」をミュージカルとして舞台化する為の数々の新たなアイディアを展開しているクリエイターたちの根底に、長大な原作のはじまりの物語である「ファントムブラッド」引いては原作シリーズに対する敬意があるからこそ生まれたものに違いない。
特に非常に丹念に物語を追っていることに驚かされた 1 幕で、ディオがはじめてジョースター家にやってきて馬車から降りる場面をきちんと馬車を出して見せたことにその敬意が象徴されていると感じる。この場面は原作の荒木飛呂彦のコミックでも 2 ページを使って描かれていて「敵役が馬車から降りるのに 2 ページ使う漫画家はいないっ!!」と同じ漫画家の森田信吾に感嘆された(※集英社ジャンプコミックス「ジョジョの奇妙な冒険」第 3 巻・巻末エッセイより)シーンでもある。それほどディオは単なる敵役ではなく“ジョジョ”の対極にある裏表のような存在であり、そんなディオに対する荒木飛呂彦のこだわりを、ミュージカル版がまるごと生かしているのが美しい。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

そうした姿勢の上で、ミュージカル版が強調したのが、この作品が親から子へ、そして更に次の世代へとつながっていく、語り継がれ、受け継がれる物語であるという点だ。“ジョジョ”もディオも、そして主に 2 幕で大活躍するツェペリも自分の生まれ、親から否応なく受け継いだものに、人格形成やもっと言うなら人生を定められている。人は誰も親を選んで生まれてくることはできない。だからこそどう生きるか、或いはその軛から抜け出して何をなそうとするか。高潔な騎士が自らの命と引き換えに主君を救おうとしたとき「牢獄で鉄格子の外に見ていたのは目の前の泥だろうか、それとも頭上に輝く星だろうか」という、ジョースター卿が、そして“ジョジョ”が歌い継ぐ「黄金の精神」に込められた、「星か泥か」という正解のない問いかけがなんとも深い。このミュージカルが、帝劇の黄金レパートリーのひとつ『レ・ミゼラブル』を想起させもし、また 2024 年のいま諦観と憤りを込めて語られる「親ガチャ」という言葉を思い出させもする、つまりは堂々たる普遍性を持っていると感じさせるのはそれ故だ。“ジョジョ”とディオが辿る運命、その結末の描き方も、原作通りとも、このミュージカル版だけの“ジョジョ”によるディオの魂の浄化とも取れることも、ここからはじまる物語でありつつ、ひとつのミュージカル作品としての完結でもある舞台の力を感じさせた。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

もちろんそこに至る為の、創作過程の苦しみに大きなものがあったのは周知のことで、作品が予定の初日を順延せざるを得なかったのは、主催者の言葉を借りれば「決してあってはならない事態」だったし、高い人気を誇る原作の舞台化だからこそ、これが人生初のミュージカル観劇、人生初の帝国劇場入場だった観客がどれほどいたことかを思うだに胸が痛い。オリジナルの新作ミュージカルを創る為の製作期間、稽古期間、スケジュールの見直しなどはきちんとなされていくべきだし、作品自体も特に 2 幕を中心に刈り込みやブラッシュアップをはかる余地は多々あると思う。ただ、かかる事態は何かひとつに原因を求められることではないのも想像に難くないし、誰か一人の責任で結果が左右されたのかと言えば、決してそうではないだろう。だからこそ、いま注目したいのは非常に大きな可能性を感じさせる作品が生まれ出たという事実だし、製作側はこの伸びしろをきちんとつかんで、願わくは何年かのちの新帝国劇場の開場ラインナップに、このミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』を登場させる意気込みで作品を育てていって欲しい。それが、今回観劇が叶わなかった観客にもう一度舞台を届ける唯一の道だと信じる。

そんな展望も見出せる作品にエネルギーを注ぎ込んだのは、一丸となってこの舞台に挑んだキャストの面々の熱演だ。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

ジョナサン・ジョースター、“ジョジョ”を演じた松下優也は、初登場時の“ジョジョ”の恵まれた環境で育った少年らしい天真爛漫さを、全身から発せられる明るさと笑顔で表現してきたのがまず嬉しい驚きだった。その良い意味で「マンガ的」な一挙手一投足が少しも浮くことなく、松下の“ジョジョ”らしさにつながり、囚われの騎士は「星を見ていた」と信じる“ジョジョ”に説得力がある。特にエリナに対した時に独特の甘やかさが出るのが、作品にロマンチックな香りを加えていて、ディオの存在はもちろん、エリナを思う心も“ジョジョ”を成長させていると感じさせた。歌声にポップな色があるのも、ドーヴ・アチアメロディーをよく生かしていた。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

もう一人の“ジョジョ”有澤樟太郎は、可愛らしさのなかに真面目さがにじみ出る“ジョジョ”になっていて、父親に対する尊敬の念があるからこそ、父に認められる“本当の紳士”になろうとするし、その志を受け継ごうとする強い意志も芽生えていく、ポイント、ポイトンで“ジョジョ”が如何に変化していくかに力感が置かれている演技。特に、小顔で長身というこうしたファンタジー色の濃い、まさにタイトル通りに「奇妙な冒険」が重なっていくドラマを生身の俳優が演じることを可能にしている、異次元のスタイルの良さも生きていて、松下と共に初の帝国劇場主演を立派に果たした。歌声に王道ミュージカルの趣が出るのも、W キャストの妙味になっていた。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

“ジョジョ”に立ちはだかり、その人生を共に左右しあっていくディオ・ブランドーの宮野真守は、いくら高潔な志があろうとも、目的を果たせなかった人生には敗北感しかない、騎士は「泥を見ていた」と考えるディオが内に秘めた野望と、そこからの究極の決断を鮮やかに演じている。特に劣悪な環境に生まれたディオが、どんな手段を使ってでもそこから抜け出そうとする思考の裏に、嫌悪するばかりの父親の存在が重くのしかかっていることが強調されているミュージカル版のなかで、時空の超越や、心根を隠した時、また露わにした時を、豊かな声の色と幅を駆使して表現し得たのは、声優界のトップランナーでもある宮野だからこそなせる技。出番やアクションの多さを考えると、W キャストが望ましいのではと思える役柄だが、華やかな容姿や存在感と歌唱力を含め、代わる人がいないと思わせた出色の出来だった。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

エリナ・ペンドルトンの清水美依紗は、“ジョジョ”の初恋の女性としての瑞々しさと、凛とした強さを身に着けていく後半につながる芯のある実存感のバランスが良く、作品全体にとって大きな意味のある女性像をきちんと立ち上がらせている。特に今回ドーヴ・アチアが書いたメロディーは全体に非常にキーが高く、エリナの持ちナンバーはなかでも特に高音域だが、ほぼファルセットにも、だからと言ってシャウトにもならないミュージカル歌唱で歌いきった力量が素晴らしかった。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

スピードワゴンの YOUNG DAIS は、ミュージカル版の設定であるこの作品の語り部も務める役柄で、その語りの多くの部分をラップにしている新しさを支える第一人者としての起用に応えて、鋭くもフリーダムなラップで場を浚う。客席の位置によっては全てを聞き取りにくい部分もあるかもしれないが、大切なワードは漏れなく立たせているのはさすがのひと言。それ以外の芝居部分でも非常に重要なパートを担っていて、想像以上の大役だけに負荷も大きかったと思うが、日増しにこなれてくるのを感じさせているので、配信もある大千穐楽の出来が楽しみだ。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

ディオと対決する“ジョジョ”にとって鍵を握る人物ともなるウィル・A・ツェペリの東山義久は、〈謎の石仮面〉に寄せる責任感と共に、“ジョジョ”への父性が強く前に出た真摯な芝居が新境地を感じさせる。その一方で高い身体能力を生かした〈波紋法〉を駆使する数々の場面での動きの軽やかさが、ツェペリの洒脱で粋な色につながっていて、これも東山ならではのツェペリ像。「人間讃歌は勇気の讃歌ッ!!、人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!」の名セリフも鮮やかに聞かせた。

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もう一人のツェペリの廣瀬友祐は、近年ひと癖ある役どころに多く挑んできた経験値が生きて、ウィットのある芝居部分で笑いを誘う飄々としたツェペリを具現している。転じて闘いの場面や、波紋の力を伝える歌声に正面突破の趣があり、こちらも見比べる妙味にあふれた W キャストになった。二人の“ジョジョ”との組み合わせにも面白さがあり、アーティストしての顔を持つ松下“ジョジョ”×廣瀬ツェペリの歌声、父の想いの継承と、父性がそれぞれ前に出る有澤“ジョジョ”×東山ツェペリの芝居、双方の相性の良さを感じたが、ぶつかりあう化学反応の面白さも大きく、どの組み合わせもあとは好みの問題と言えるレベルなのが頼もしい。

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切り裂きジャックとアーチャー警部を二役で演じる河内大和は、シェイクスピア作品での名演が殊に有名な演技派だけに、二役の演じ分けが実に見事。特にアーチャー警部を大きくクローズアップした脚本の秀逸な視点を、朗らかな芝居でよく生かしていて、ディオがジョースター家に警部が出入りしていることに敏感に反応するなど、役柄のドラマを広げている。一転、切り裂きジャックの怪しさ、禍々しさは河内の真骨頂で、怒涛の 2 幕に強いインパクトを残した。ミュージカルで歌うのはなんと初めてとのことだが、芝居発声に優れた人は歌えるのだな…という良い声を聞かせてくれた。

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ワンチェンの島田惇平は、長谷川寧の振付の独創的な面白さを双肩に担った様々な動きを駆使して、ロンドンの貧民街で更に恐れられている存在から、ディオと関わりを持ち別の次元へと移っていく人物の奇怪さを全身で表して目が離せない。とある場面では抗う力が効かなくなっていく様の迫真さに観ていても息が詰まったほど。ミュージカル版の「奇妙な」のパートを体躯全てで表現してくれていて、ディオに付き従うことになることにある憧憬なのか、連帯なのかの心情も想像させる在り様だった。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

ダリオ・ブランドーのコング桑田は、ディオの人格形成に父親が落とした色濃い影を、終始アクの強い演技で披露して「ディ~オ」ではじまる「暗闇から呼ぶ声」のナンバーが胸苦しい。心に善のタガがない悪のエリートを自認するディオに、こうした宿命の影を再三重ねることには疑問を感じる向きもあるだろうし、ディオが大きな決断をした 2 幕での登場は、或いは整理があっても良いようにも思うが、「語り継がれる物語」として紡がれたミュージカル版で、父と子の宿命が強く描かれたことは、“ジョジョ”とディオの表裏一体の関係性を明確にしていて、このミュージカルが「ジョジョの奇妙な冒険」ワールドへの初対面という観客も多くいるはずの舞台版として相応しいと感じた。

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そして、ジョースター卿にミュージカル界の大ベテランである別所哲也が扮したことが、帝劇で上演されるグランド・ミュージカルとしての『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』の背骨を立たせる力になっている。この人が舞台に登場して思い入れ豊かに歌う度に、作品のミュージカル度が高まっていくのは理屈を超えた、経験値と存在感の賜物。人が好いにもほどがあるというジョースター卿を、あくまでも人を信じる強さを持った人物として造形したのが「すべてつながっている、すべてに意味がある」と歌われるテーマ、代々に受け継がれていく運命と、宿命の物語の根幹を伝えていた。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

またミュージカルらしい群衆シーンから、歌舞伎を連想させる場面までと幅広い表現を要求されるカンパニーメンバー、五十音順に、天野夏実、AYUBO、池田遼、伊藤奨、伊藤広祥、今村洋一、江上万絢、岡田玲奈、尾崎豪、加瀬友音、鎌田誠樹、工藤広夢、倉元奎哉、シュート・チェン、杉浦奎介、住玲衣奈、西澤真耶、花岡麻里名、古澤美樹、町屋美咲、望月凜、森内翔大は、大役の伝説の騎士を力強く造形したタルカスの森内とブラフォードの池田、“ジョジョ”の愛犬ダニーを表情豊かに演じ操る工藤をはじめ、それぞれに見せ場を持ちつつ、アンサンブルでもある八面六臂の大活躍。久保嘉男の衣裳、奥平正芳のヘアメイクが共に個性的なだけに、早替りに次ぐ早替りでおそらく息つく暇もないだろう舞台に躍動していた。スウィングのクレジットの田路紅瑠美など、どこまでを覚えているのだろうか…と案じられるほどだが、クリスタルのブースのなかで迫力ある生演奏を聞かせてくれる蔡忠浩、吉田省念、小池龍平、田中佑司、梅本浩亘、高橋飛夢のバンドメンバーを含めて全てが、この生まれ出たばかりのオリジナルミュージカルを形成する大切な一人ひとり。前述したように兵庫公演のW キャストの千穐楽、そして大千穐楽の配信も決まった、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』のはじまったばかりの、そして未来へと続いて欲しい旅路の行方、その成長を、ここからはじまる新たな冒険の旅を見守りたい舞台だった。

【公演情報】
ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』
原作:荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社ジャンプ コミックス刊)
演出・振付:長谷川 寧
音楽:ドーヴ・アチア
共同作曲:ロッド・ジャノワ
脚本・歌詞:元吉庸泰
出演:松下優也/有澤樟太郎(W キャスト)  宮野真守 清水美依紗 YOUNG DAIS
東山義久/廣瀬友祐(W キャスト) 河内大和 島田惇平 コング桑田 別所哲也 ほか
●2/12〜28◎帝国劇場  (公演終了)
●3/26~30◎札幌文化芸術劇場 hitaru   
●4/9~14◎兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール  

【LIVE 配信情報】
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホール
●4 月 13 日(土)17:00 公演
ジョナサン・ジョースター:松下優也 ウィル・A・ツェペリ:廣瀬友祐
●4 月 14 日(日)12:00 大千穐楽公演
ジョナサン・ジョースター:有澤樟太郎 ウィル・A・ツェペリ:東山義久
uP!!! TELASA にて配信
視聴料金 各回 5,500 円(税込)
視聴チケット販売期間
4 月 13 日(土)17:00 公演 3 月 19 日(火)12:00~4 月 22 日(月)20:00 まで
4 月 14 日(日)12:00 公演 3 月 19 日(火)12:00~4 月 23 日(火)20:00 まで
詳細 https://www.tohostage.com/jojo/stream.html

©荒木飛呂彦/集英社 ©東宝

【取材・文/橘涼香  写真提供/東宝演劇部】

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