出会いと飛翔のconnect DIAMOND☆DOGS presents『White Valentine Show 2025 connect』上演中!

男性アーティスト集団DIAMOND☆DOGS(以下D☆D)が、第三章スタートと銘打った新体制初となるシアター公演『White Valentine Show 2025 connect』が銀座の博品館劇場で上演中だ(30日まで)。
『White Valentine Show 2025 connect』は、D☆Dのショーコンテンツの中でも特に人気の高い「Valentine Show」シリーズに連なる新作。2023年11月、結成20周年を迎えたのを機にチームとしての活動を休止ししていたD☆Dは、新たな展開に向けた大々的な新メンバーオーディションを開催。ここから選ばれた矢崎諒、井川拓哉、角野楓真、三瓶賢人、高橋永遠の5人を「D☆D Team Novel」として迎え、現メンバー東山義久、中塚皓平、和田泰右、咲山類、廣瀬真平、Homerの「D☆D Team Original」との2 Team制を擁する「D☆D第三章」となる新たな歴史のスタートを切ることとなった。
その「Team Original」と「Team Novel」をconnectする、“繋ぐ”ことをテーマとしたこの作品は、ストーリー性を感じさせる前半から、怒涛のライブステージの後半へと続くノンストップショーケース。6年前にD☆Dに加入し、多くの振付を手掛けて来たHomerが初の総合構成と演出を担当。更に2003年のD☆D立ち上げ以来先頭を走ってきた文字通りのD☆Dの顔である東山義久が、D☆Dのセンターパフォーマーを務める最後の舞台であることも公演初日直前に発表されるなど、あらゆる意味で一期一会の11人体制で創るステージになった。

そんな舞台のストーリー性を感じさせる前半部分は「手紙」をモチーフに、様々な場面が連なっていく。鮮やかなグリーンの衣裳が印象的な東山が扮しているのは「戯曲作家」という設定だそうで、胸に刺した羽根ペンにしたためていく言葉たちが、伝えられる楽曲、楽曲によって「Team Original」と「Team Novel」の新生D☆Dたちが、はじめは各Teamで、場面が進むにつれてそれぞれの個性、持ち味によって互いにピックアップされた新たな邂逅を続けながら喜怒哀楽を表現していく。とは言え、いっさい台詞を挟まないショーだけに、解釈は大きく観る者に委ねられていて、振付や楽曲からD☆Dが歩んできたこれまでの歴史や、新たな展開を迎えている今後への未来予想図が見えてもくる。この光景が今回限りであるからこそ胸躍るものも、胸を突くものも多く、様々な想いが去来した。

とは言え、それで終わらないのがD☆Dであり、Valentine Showでもあって、Team Novelの面々が現時点で得意とするダンスジャンルが和田やHomerが真骨頂を発揮するアクロバティックな動きも取り入れたストリート系なことも手伝い、後半のダンサブルな盛り上がりはエネルギー全開の躍動感にあふれていく。この人たちはまた、よくぞこれだけ大真面目に……と、これ以上は敢えて控えるシーンもきちんと織り込まれていて、11人が踊り歌う勢いは、博品館のステージからこぼれ落ちんばかり。中でもこれまでずっと7人体制を続けてきたD☆Dが、11人になって歌う「SEVEN STAR」は、殊更意味あるものとして耳に残った。

特に総合構成・演出を担ったHomerが、実に1000曲を超えるというD☆Dが積み上げ、培ってきた過去の音源を全て聞き、映像も観て、何を残し、何にインスパイアされ、どう新しいものとconnectしていくかに腐心したという、振付や、音源たちが懐かしさと新鮮さを舞台に共存させた努力にはただ頭が下がる。歴代のメンバーの一人でもあるTAKAのこれぞD☆Dだ、と感じさせるクラシック音楽のニュアンスがある楽曲と、新たに加わったサカノウエヨースケのビート感の強いサウンドの対比も面白く、もちろんこれが初めてのconnectだから、つなぐための出会いだな、と感じさせる部分も多いが、だからこそD☆Dは更に進化を続けていくのだろう。そんな「未完成」の強み、思えば2003年にD☆Dが出発した時の、まさにその境地にいま再び立っていることに、驚かされもし、頼もしさも感じた。

そのconnectの仕掛け人の大任を担ったHomerは、前述したように途方もない時間を費やしてD☆Dの歴史を咀嚼しつつ、クリエイターとしてだけでなく、パフォーマーとしてもあくまでも軽やかさを失わずにステージに立っていることに感嘆する。D☆Dに加入するまでは、芝居をしたこともしたいと思ったこともなかったというこの人が、おそらく自分でも気づかないまま持っていた、表現者としての才能を開かせたのがD☆Dとの出会いだったことを考えると、Team OriginalとTeam Novel とのconnectにこれほど相応しい人材はなかっただろう。そこから生まれた化学反応は確実にはじまっていて、どんな未来を見せてくれるのかにも期待が高まった。

またD☆Dの華やかな部分や、コンテンポラリーを感じさせる場面に欠かせない中塚皓平は、今回もそのノーブルな持ち味を発揮。東山、中塚、そして咲山類の歌による「El Tango de Roxanne」のドラマチックさは比類がなく、こうしたD☆Dの持つ多様さを象徴するパフォーマンスをconnectしていくことが、これからの中塚に託された大きな使命だと思う。自身の構成・演出・振付・出演による『ダンス カンタービレ2025 VIOLET』の上演決定も発表されていて、森新吾の遺した財産演目と同じタイトルを持つステージを、中塚がどう魅せてくれるのか。今後への期待の橋をかける存在感だった。

事務所代表として、もうひとつのD☆Dの顔となった和田泰右は、D☆Dの末っ子であり、いたずらっ子だった時代を経て、今や全体を統括する存在としての活動を繰り広げつつも、ステージではチャレンジ精神旺盛で、どこかやんちゃなイメージを持ち続けているのが素晴らしい。和田がいてHomerがいて、Team Novel がいる、というconnectが現時点では最も成功していて、舞台の疾走感をいや増しにした。和田の描く新たなD☆Dの方向性がどんなものになっていくのか、未知なる明日にも注目だ。

Homerと共に6年前D☆Dに参加した廣瀬真平は、中塚が独走していた滞空時間の抜群に長い華麗なジャンプ力を誇るダンサーが、もう一人D☆Dに現れた!という衝撃のデビューから、この年月で徐々にボーカルの比重を高めていて、今回のステージではボーカリストの一角と言って過言ではない活躍を示し飛躍を感じさせる。親しみやすい個性がチャーミングさにもつながっていて、Team Novel の兄貴分の雰囲気をまとったぶん、更に表現の幅も広がり、廣瀬自身にも大きな意味のあるD☆D第三章になりそうだ。
不動のボーカリスト咲山類は、Team Novelのボーカル矢崎諒と井川拓哉とハーモニーを多く作ったことによって、新たな表現も感じさせつつ、声楽家としての基礎をしっかりと持っている強みに更なる磨きがかかっている。新しいものを常に取り入れようという謙虚な姿勢が、盤石の歌声に余裕を与える力にもなっているだけでなく、演技者としての他流試合も非常に多い人なだけに、俳優・咲山類の魅力も全開。D☆Dになくてはならない存在として、今回もステージを引き締めた。

そんなTeam Originalとの初シアター公演に臨んだTeam Novelの面々では、リーダーでボーカリストの矢崎諒のパッと目を引く求心力が、新Teamのリーダーに指名されたことを納得させている。歌声の音域も広く、高音部も細くならない魅力があり、咲山とハーモニーを作るなかで、ドラマチックなミュージカルや、カンツォーネなどにも是非挑戦していって欲しい。
もうひとりのボーカリスト井川拓哉は、精悍なイメージのあるビジュアルとソフトな歌声のギャップに魅力がある。持ち声を活かした曲、更に真逆な力強い曲など、やはり様々なジャンルの歌に挑戦して欲しいし、矢崎共々身体能力も相当に高いものを感じさせるので、ダンス場面での活躍も期待したい。

角野楓真は座って話している時と、ひとたび舞台で踊り出した時のイメージの飛躍に良い意味で非常に驚かされた。踊る姿が大きくダイナミックだし、華もあって、ダンサブルという言葉をストレートに想起させる人材。振付も既にしているとのことで、D☆Dに早くも新風を吹かせている。
今回のオーディションでは「D☆Dに入ることで伸びるだろうという、可能性を感じさせる人材を獲った」との説明を体現しているのが、最年少の三瓶賢人。前半部分では東山とのデュエットもあり、Team Novel がいま得意としているダンスとはひとつ違う表現に魅力を持つ強みがある。この人は化けるのでは?という期待を強く感じさせた。

そして、Team Novel のなかでも個性派の香りを漂わせる高橋永遠は、ヘアメイクにも独創性があって、末っ子時代の和田を彷彿とさせる存在感。自由度の高い勢いに魅力があり、和田、Homer、角野、高橋の相性が非常によく、自然なconnectが更に爆発していく未来が楽しみだ

そして、敢えて「卒業」という言葉は使わず、組織としてのD☆Dの一員であることは変わらないものの、グループのセンターは次代に託しソロ活動に注力していく、という未来が示された東山義久は、あらゆる意味で東山らしさが全開のステージで魅了する。常に唯一無二という言葉と共にある人だし、D☆Dの顔であり絶対エースであり続けたこの人が、いつかくると思われたこの道にいま踏み出すことを決断できたのは、本人の心境だけでなく、D☆Dの未来に信頼のおける環境が整ったからこそだろう。

俳優としてもボーカリストとしても進境著しいだけに、今後の活躍にも注目していきたいが、やはりこの発表が『White Valentine Show 2025 connect』に、惜別の想いを加えたのもまぎれもない事実。短い邂逅になったTeam Novel にそのスピリットがconnectされることを祈るばかりだし、様々な挑戦のなかで、時には航空母艦であるD☆Dに戻ってきて、唯一無二のダンスをまた披露して欲しいと願っている。

そんなD☆Dが新しいフェーズに入る、まさにいまこの時、博品館劇場にしかないステージを、是非多くの人に見届けて欲しい。ここからはじまる新たなD☆Dと、東山義久が歩む未来に期待している。


【公演情報】
DIAMOND☆DOGS presents
White Valentine Show 2025『CONNECT』
構成・演出・作詞・振付:D☆D
作詞・作曲・音楽監督:TAKA
作曲:サカノウエヨースケ
振付:木野村温子
Cast:
DIAMOND☆DOGS Team Original
東山義久 中塚皓平 和田泰右 咲山 類 廣瀬真平 Homer
DIAMOND☆DOGS Team Novel
矢崎 諒 井川拓哉 角野楓真 三瓶賢人 高橋永遠
Musician
蛇石 徹 Bass 三輪達宏 Guitar 井上順乃介 Drums 吉田 蒼 Keyboard
●3/26〜30◎博品館劇場
〈料金〉10,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈チケット取扱〉各プレイガイド
博品館劇場 OnlineShop https://theater-hhk.shop-pro.jp
博品館1F TICKET PARK 03-3571-1003
〈お問い合わせ〉 博品館劇場 03-3571-1003
〈公式サイト〉https://www.hakuhinkan.co.jp/theater/archives/event/pr_2025_03_26
【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】