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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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紫吹淳インタビュー

「諦めなければきっとできる」そのメッセージ届けたい!

日本初演となるオフ・ブロードウェイ ミュージカル『アーネスト・シャクルトンに愛されて』が、6月東京池袋の東京芸術劇場シアターイーストで上演される。
子育てとビデオゲーム音楽の作曲家としてのキャリアの両立に奮闘するシングルマザーのキャットが、ある日出会い系サイトに自己紹介動画を投稿。すると20世紀を代表する南極探検家のサー・アーネスト・シャクルトン(1874-1922)から突然返信が届く。南極で船が難破し流氷の上で身動きが取れなくなったシャクルトンは、時空を超えてキャットにアプローチし、壮大な冒険の旅へと誘う、という奇想天外で独創的な二人ミュージカルだ。
そんな作品でキャット役を演じるのが宝塚月組トップスターとして活躍後、今年芸能生活40周年を迎える紫吹淳。全編で歌だけでなく電子ヴァイオリンをはじめとした楽器演奏もこなす難役に挑む紫吹が、アーネスト役の伊原剛志の印象をはじめ、40周年の節目にめぐりあった作品への想いを語ってくれた。

作品が背中を押してくれた 

──まず作品の印象からお聞かせください。

 私は今年芸能生活40周年を迎えるのですが、そのスタートとなった宝塚歌劇団を卒業してから22年目に入ります。その間ありがたいことに『モダン・ミリー』『王様と私』などをはじめ、多くの舞台に立たせていただきましたが、宝塚のトップスター時代よりも大変な舞台というのはなかったんです。それがこの40周年の節目にして初めて、宝塚より大変な舞台に出会ってしまった! というのが、今回の作品に接した最初の印象でした。まずたった二人だけでミュージカルをするわけですから、台詞や歌の量が多いだろうとは思っていましたが、それに加えて私が演じるキャットがゲーム音楽の作曲家という設定なので、ずっと楽器を弾いているんです。これはもう私にとって大変な事態で、どんな作品でも宝塚に比べれば、とずっと思ってきた自分のなかの基準を越えちゃったので(笑)、いまかなり衝撃を受けています。

──そこまでの大変さを抱えても、この作品をやろうと思われた決め手はなんだったのですか?

 やっぱり自分にとって大きな節目である40周年に、この作品に出会ったことに何かの意味があるのではないかと思ったんですよね。とは言え、さすがにオファーをいただいた時に、二つ返事で「やります」とはお返事できなかったのですが、いざ台本を読んでみたら、台本が背中を押してくれたんです。私が歌う曲の歌詞に「あなたにはできる」というフレーズが何度も出てくるんです。ミュージカル作品には愛や恋が物語の中心になっているものが多いと思うのですが、この作品にももちろんそのスパイスも入っていますけれども、それよりも「諦めなければきっとできる」というメッセージ性が強く感じられて。人間誰しも弱い部分があると思うので、「諦めちゃダメだよ、きっとできるよ」と観る方の背中を押せる、元気になっていただける作品を、私も諦めずにやらなければと覚悟が決まりました。

──では紫吹さんご自身も、作品に鼓舞された?

 そうですね。伊原剛志さんが演じられるアーネスト・シャクルトンの物語が、前向きに生きることへのヒントになっている作品なので、私も勇気をもらいましたし、それをお客様に届けたいと思っています。

いまなかなか希望が見えにくい時代になってしまっているので、そうした力をもらえる作品は素晴らしいなと思いますが、共演の伊原さんとはどんなお話を?

 まだビジュアル撮影の時と、顔合わせの時しかお会いできていないので、作品についてもお互いに詳しく話せてはいないのですが、でもその状態でも撮影はとても楽しくさせていただけましたし、伊原さんとても背が高くていらして! 私も長身なので、自分より大きい人と言っても、少し大きいぐらいの方が多かったのですが、私が可愛く見えるくらい大柄なので、ちょっと嬉しくなっちゃいました(笑)。作品のバランス的にもいい感じだなと思っているので、二人で稽古を重ねて良いものをお届けできるように頑張りたいです。

振り返った時にすごく大きなものが残る

──その公演ビジュアルもとても楽しい雰囲気が伝わってきますね。

 まずそう感じてもらいたい「これ楽しそう、観てみたい!」と思っていただけるものにすることを心がけていたので嬉しいです。自分としてもここまで金髪に染めたのは宝塚以来なので、二十何年ぶりにこの色にしましたから、会う人会う人に驚かれますし、自分でもまだ見慣れなくて鏡を覗く度にびっくりしています(笑)。

──宝塚時代からのファンの方には懐かしさも大きいと思いますが、演出の岡﨑育之助さんとのタッグはいかがですか?

 とてもお若い方で、「育ちゃんって呼んでいい?」と訊いてそう呼ばせていただいていますが、映画監督でもあるので、私たちが考え付かないようなアイディアをたくさんお持ちだと思います。現代の物語なので若い感性が重要になるでしょうし、稽古場も少人数になりますから、本格的に稽古がはじまったらコミュニケーションを密にとってやっていきたいです。

──そしていま、お稽古に向けて楽器を特訓中と伺いました。

 ヴァイオリンを弾くのは初めてで、電子ヴァイオリンなのですが(弦を押さえる)左手の指ってこんなに思い通りに動かないものかとびっくりして、かなり泣きが入っています。宝塚に入る前には吹奏楽でトロンボーンを、音楽学校ではトランペットとピアノをやっていましたが、弦楽器に触れるのは初めてなので。でもやると決めたからには成し遂げたいですし、素晴らしい音楽をしっかり届けたいので毎日必死で取り組んでいます。朝起きたらまずは楽器に触れるという生活ですから、いま私の脳はすごく活性化されていると思います。

──そんな作品に挑みながらの、芸能生活40周年の幕開けということで、これまでの40年間を振り返って最も印象に残ることはなんですか?

 宝塚ではトップをやらせていただきましたが、その前にベルリン公演で主演をやらせてもらったことが私のなかではすごく大きなエポックでした。その後、月組トップスターになり、退団して役者として活動していく間に25周年、30周年と節目の年にはコンサートをさせていただいてきました。それが35周年ではコロナ禍で開催することができず、40周年イヤーのはじめにこの作品にめぐり逢った。やはりこれは振り返った時にすごく大きなものとして残るだろうなと。キャットはシングルマザーとして奮闘している女性ですが、収入も不安定で子供を育てていけるのかをはじめ、様々なことに不安を抱えているところから舞台がはじまり、時空を超えてアーネストと出会い、生きるヒントをもらって幕が下りる時にはひと皮剥けた前向きな姿勢になっている。つまりこの作品はキャットの成長物語でもあるので、いま世の中は色々と大変ですが劇場に来ていただけたら、私も頑張ろうと思ってもらえる作品になると思います。キャットとして生き抜き、最後に大きなコンサートも予定している40周年イヤーをこの作品から全力で駆け抜けますので、是非観にいらして下さい!

(このインタビューは雑誌「えんぶ2026年6月号より転載)

インタビュー◇橘涼香

プロフィール

しぶきじゅん〇群馬県出身。宝塚歌劇団での初舞台当初から抜群の容姿とダンスで注目を集め、2000年のドイツ・ベルリン公演で主演。01年月組トップスターに就任。多くの作品で魅了した。04年宝塚退団後は女優として舞台・テレビ・CM・講演活動と幅広く活動を続けている。本年4月芸能生活40周年を迎え、アニバーサリーイヤーを彩るべく本作への挑戦をはじめ、船上ライブ、周年記念コンサートなど様々な企画が控えている。

公演情報

オフ・ブロードウェイ ミュージカル
『アーネスト・シャクルトンに愛されて』

Ernest Shackleton Loves Me
Book by Joe DiPietro
Music by Brendan Milburn
Lyrics by Valerie Vigoda
Orchestrations and Additional Music by Ryan O’Connell

訳◇小田島恒志
演出◇岡﨑育之介
音楽監督・キーボードコンダクター◇中村匡宏
出演◇ 紫吹淳 伊原剛志

6/11~24◎東京芸術劇場シアターイースト

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