ある日どこかで ― SOMEWHERE IN TIME ―
Quelque part dans le temps

岡田敬二先生が、第51回菊田一夫演劇賞 特別賞を受賞されました。
永年の〈ロマンチック・レビュー〉シリーズの功績に対して。
私は、宝塚歌劇団宙組の宝塚大劇場での初めての舞台が、岡田先生のロマンチック・レビュー『テンプテーション!-誘惑-』でした。
開演と同時に、真っ赤な編みタイツ姿で、銀橋の真ん中、指揮者のところから飛び出し、そのまま寝そべっていました。(笑)
まさに『テンプテーション!-誘惑-』。
岡田先生には、なんともロマンあふれる、なんとも大胆な幕開けで、宙組にデビューさせていただきました。

先生のロマンは「危険な誘惑」を通り越して、夢やロマン、美しさへと惹き込まれていく、
『抗いがたいロマンへの誘い』であり、『魅惑の世界への招待状』です。
「さあ、これから“誘惑”の世界へようこそ。」
「ここからロマンと魅惑のレビューが始まりますよ。」
私は宝塚が大好きで、憧れだった世界に、そんな声が聞こえてきたのです。
フランス語で言うなら、
La tentation(ラ・タンタシオン)=誘惑、抗いがたい魅力。
Le charme(ル・シャルム)=魅力、魔法のような引力。
La séduction(ラ・セデュクシオン)=人を惹きつける魅惑、魅了。
岡田先生は、私が宙組にデビューした最初から、私をロマンの世界へどっぷりと引き込んでくださいました。(笑)
ロマンは私の心の中で、しっかりと生き続けているのです。
そして、宝塚歌劇団を卒業する最後のさよなら公演も、
岡田先生のロマンチック・レビュー『Amour それは…』でした。
私の宝塚宙組のはじめも最後も、岡田先生のロマンチック・レビューにどっぷりと包まれていたのです。

宝塚卒業後も、『吉﨑憲治&岡田敬二 ロマンチックコンサート』、宝塚での先生とのトークショー、
阪神競馬場70周年、宝塚歌劇105周年、岡田敬二先生演出家活動55周年の記念トークショーなどなども、
先生とはいろいろご一緒させていただきました。

先生はロマンのない舞台をよく嘆かれます。(笑)
私は、そういうお話を先生とするのが大好きです。
岡田先生は馬がお好きです。
不思議なことに、私は今、Parisで毎日、馬に囲まれています。
窓を開ければ、大きな馬が壁に貼り付いていて。(笑)
見上げれば、旗を翻す馬。
そして右を向けば、コンコルド。
3300年以上の時を生きてきたルクソールのオベリスクが、シャンゼリゼの先の凱旋門と、ルーヴルへと続く庭園の入口に躍動する「Les Chevaux de Marly(マルリーの馬)」に見守られながら、巨大な舞台の中央にそびえ立っています。
今、2026年6月13日、14日。
Parisでは31年ぶりの大相撲パリ公演が行われていました。
1995年10月13日、14日。
Parisでは第1回大相撲パリ公演が行われていました。
私は宝塚歌劇団に入団したばかりの研1で、『ある日どこかで ― SOMEWHERE IN TIME ―』のゲネプロ、そして初日の舞台に立っていました。
同じその日。
Parisでは、第1回大相撲パリ公演が行われていたのです。
宝塚に入ったばかりの初舞台の私は、前代未聞とも言われる大抜擢。
31年後。
ちょうど岡田先生の受賞表彰式のころから、お相撲さんたちがParisへやって来ました。
お相撲さんたちはParisのあちこちを観光なさいました。
私もよく通る道にある、LA MAISON d’Isabelle PARIS(ラ・メゾン・ディザベル・パリ)。
2018年イル・ド・フランス最優秀A.O.P.バタークロワッサン賞を受賞した、ブーランジュリー兼パティスリーです。
そこで、お目当てのクロワッサンを手にして、満面の笑顔を見せる隆の勝関。
31年前、第1回大相撲パリ公演の頃には、まだ1歳にもならない赤ちゃん。
そして、トロカデロでは、エッフェル塔を眺めながらバゲットを頬張る、横綱・豊昇龍関と、横綱・大の里関。
最高!な瞬間を見ることができました。
Bonjour! と言いながらシャルル・ド・ゴール空港へ降り立たれ、
隆の勝関のクロワッサン。
横綱・豊昇龍関と、横綱・大の里関のバゲット。
それを手にした笑顔だけで、世界を繋いでしまっていました。
お相撲さんがそこにいる。
もぉ、それだけで、日本とParisの文化がしっかりと出会い、交流していました。
お相撲さんたちの存在そのものが、Parisをロマンにしてくれました。
そこは、私がいつも歩いているParisです。
私も同じLA MAISON d’Isabelle PARISの、いつものクロワッサンを頬張っていました。
いつもより、さらに美味しかった!

31年ぶりの大相撲パリ公演。
Un jour, quelque part…
Quelque part dans le temps…
──『ある日、どこかで。』
──時のどこかで。
岡田先生のロマンが表彰され、
馬と、
コンコルドと、
オベリスクと、
宙組のはじまりと、宝塚での最後の日、
そして31年ぶりのお相撲さんたち。
お相撲さんたちが歩いているParisも、
私が今歩いているParisも、
全部「今」でした。
なんだか、とてもロマンチック・レビューみたいな物語です。🌹🇯🇵🇫🇷
宝塚歌劇団をロマンにしてくださっている先生。
そして、今も私をロマンへと導いてくださっている岡田敬二先生。
これからも、たくさんのロマンを教えてください。🌹
そして、Parisへ日本のロマンを届けてくださった、第74代横綱・豊昇龍関、第75代横綱・大の里関をはじめとする
お相撲さんの皆様。
Merci beaucoup!
本当にありがとうございました。🌹🇯🇵🇫🇷
Bon voyage…
私のロマンの旅は、まだ続いていきます。
大和悠河
YUGA YAMATO





