新国立劇場 『ピローマン』開幕!

映画「スリー・ビルボード」「イニシェリン島の精霊」など、新作が公開されるたびにアカデミー賞を賑わせる、イギリス出身の鬼才、マーティン・マクドナー。劇作家としてキャリアをスタートさせ、演劇界・映画界の2つのジャンルで活躍する彼の代表作の一つ『ピローマン』が、小川絵梨子の翻訳・演出で、2度のプレビュー公演を経て、10月8日に初日を迎えた。

凄惨な描写とユーモアが見事に融合されたこの『ピローマン』を、小川絵梨子が演出するのは11年ぶり2度目。今回の上演にあたって、小川は新たに翻訳し、今作に挑んでいる。
暴力的な描写の後に続くユーモア…ジェットコースターのように目まぐるしく展開する本作。本日の初日公演では、時に笑い、時に息をのみ、小川と出演者らが立ち上げたマクドナーの緻密な世界に客席は翻弄された。

《あらすじ》
──むかしむかし、ある所に普通の人とはちょっと違う人がいました。身長は3メートルぐらいで、体は、ピンク色のふわふわした枕でできていました。
作家のカトゥリアン(成河)はある日、「ある事件」の容疑者として警察に連行されるが、彼にはまったく身に覚えがない。二人の刑事トゥポルスキ(斉藤直樹)とアリエル(松田慎也)は、その事件の内容とカトゥリアンが書いた作品の内容が酷似していることから、カトゥリアンの犯行を疑っていた。刑事たちはカトゥリアンの愛する兄ミハエル(亀田佳明)も密かに隣の取調室に連行しており、兄を人質にしてカトゥリアンに自白を迫る。カトゥリアンが無罪を主張する中、ミハエルが犯行を自白してしまう。自白の強要だと疑うカトゥリアンは兄に真相を問いただすが、それはやがて兄弟の凄惨な過去を明らかにしていく……。

【コメント】
小川絵梨子(翻訳・演出)
プレビュー公演を経て、初日を無事開けることができました。プレビューにお越しくださった皆様、本当にありがとうございました!
『ピローマン』は物語についての物語になります。ぜひ、劇場にて、この物語を楽しんで頂けましたら幸いです。

成河(カトゥリアン役)
マクドナーの紡ぐ言葉の森を彷徨い続けてきました。絵梨子さんと共に目指す俳優の真髄、といいますか真に俳優芸術と呼べるものは遥か高みにあります。それでも、荷物を捨てて、身を投げ出してその壁を登ることで、少しずつ森の全容が見えてくる。すると、言葉の森というのはこんなにも豊かで、優れた戯曲というのは本当に人類の宝なのだという事が分かります。このマクドナーの奇跡のように美しい森を、皆さまに安心して隅々まで散策して頂けるよう、チーム一丸となって、最後まで壁を登り続けたいと思います。

木村了(ミハエル役)
初日の幕が開きました。無事に初日を迎えられた事にホッと胸を撫でおろすと同時に、この『ピローマン』という作品を「物語」として立ち上げ続けていくことへの緊張感で背筋が伸びる思いです。常に出会って発見し、手放して、許す。これが出来ることの喜びを噛み締めながらミハエルを務めさせていただきます。劇場でお待ちしています。


【公演情報】
『ピローマン』
作:マーティン・マクドナー
翻訳・演出:小川絵梨子
キャスト:成河 木村了 斉藤直樹 大滝寛 那須佐代子
●10/8~27◎新国立劇場小劇場
プレビュー公演:2024年10月3日(木)・4日(金)
〈チケット取扱〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10:00~18:00)
https://nntt.pia.jp/6
〈公式サイト〉https://www.nntt.jac.go.jp/play/the-pillowman/

【撮影:宮川舞子】

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