東京芸術劇場が次世代のアート・クリエイターを募集!

東京芸術劇場は、本年度より、舞台芸術・音楽の未来を切り開こうとする次世代のクリエイターとともに、まったく新しい舞台芸術、音楽のプロジェクトを実施する。
ジャンルにとらわれない柔軟な感性をもって、世界に向けてチャレンジングなプロジェクトを実現したい人をアート・クリエイターとして、このたび募集することになった。 

東京芸術劇場は、首都の公共劇場としての機能と蓄積を生かし、アート・クリエイターたちの思考と実践を粘り強くサポートする。

次期芸術監督(舞台芸術部門は演劇作家・岡田利規、音楽部門は指揮者・山田和樹)と当館スタッフがメンターとなり、劇場内外でのクリエイション、海外でのリサーチやプロモーション活動など、劇場とアート・クリエイターが一体となって、プロジェクトの実現を目指す。

プロジェクトの名称は「TMTギア」。次代のアート・クリエイターたちに未来を切り拓きサヴァイヴするための〈ギア〉―装備、変速装置―をこのプロジェクトを通して探しあて、開発し、身に付けてほしい……という思いを込めた名称となっている。  

芸劇から未来へ、東京から世界へ。劇場の可能性を拡げる意志とアイディアをもった若きアート・クリエイターたちの応募を待っている。

岡田利規_(C)宇壽山貴久子

【メッセージ】
岡田利規:作家・小説家、東京芸術劇場次期芸術監督
あなたがたとえいわゆる"海外志向"というか国際的に活動することへの強い意欲というかそういうのは特にないんですよねという人だとしても、この募集要項を他人事とはどうかおもわないでほしい。演劇・ダンスなどのパフォーミングアーツという芸術形式を探究する野心に満ちた人でさえあるのならば、どうか、このプロジェクトが募ろうとしている対象の、自分は範疇の外であるとおもわないでほしい。
もちろんこれは"国際的なフィールドで活躍するクリエイター"を育成するプロジェクト、それは、そうである。しかし、本プロジェクトで"指導者"を務めることになるわたしとしては、"国際的なフィールドで活躍する"ようになることは真の目的では実はなくて、真の目的を達成するともれなく付随してくるオマケのようなものにすぎないと考えて、これに取り組みたい。
では、わたしが"真の目的"としたいものは何か。
ある作り手の作品・活動が、その人自身が根ざすのと異なる文脈において機能することが起こり得る。ときに、作り手自身の思ってもみなかった仕方で。
そのことを、"普遍性"というような雑な(とわたしにはおもわれる)いい回しを用いることなしに考えていくというプロセスを、育成対象者となる人たちと一緒にわたしは経験したい。"国際的なフィールドで活躍する"地力は、その経験のオマケとしてもれなく備わるだろうし、それはその力の備わり方として真っ当なものだろう、とわたしは考えている。
わたしがそう考えるのは、なにより、かつてのわたし自身が少しも"海外志向"ではなかったからだ。だから、そんな人にもこのプロジェクトに奮って応募してほしい。お待ちしています。

山田和樹(C)Zuzanna_Specjal

山田和樹:指揮者、東京芸術劇場次期芸術監督  
「人はいるが人材がいない」──すべての業界において切実な問題である。
「人材の発掘と育成」を掲げるプロジェクトは多いものの、一体どれだけの効果が上がっているだろうか。つまり、人材というのは何かの路線やマニュアルによって育まれるものとはまた違うということなのだろう。
今回は国がやる気になった。血税を用いる以上、効果を上げなければならないというプレッシャーを感じている。しかし、人材は一体どこに居て、どのように育まれるものなのか、この簡単ではない問いに正面から向き合えることは幸せなことでもある。
一つ言えることは、縁や出会いなくして人材は決して育まれないということである。そして、その縁や出会いを呼び込める運を左右するのはその人自身でしかない。運があるかどうか、それに尽きる部分もまた多いのは真実だと思う。
ここにクリエイターの募集を設けることになった訳だが、一つ運試しのつもりでたくさんの人に受けてもらいたいと切に願う。変な言い方になるが、受かる運もあれば、受からない運もまたあると思う。しかし申し込まなければ、受かる運も受からない運も最初から働かないのだから、この機会を上手く利用して欲しいと思うのだ。
たくさんの物事がデータ化、デジタル化していく世の中にあって、今一度問いたいのは、情熱ややる気こそがすべての創造の源であるということだ。岡本太郎氏はそれを「毒」という言葉で表現したが、最初からバランスなんかとれていたら逆に恐ろしい。
自分の中に毒を持っている人、募集します。何卒、たくさんのご応募を!!

【アート・クリエイター募集概要】
●支援内容:
・クリエイションおよび公演実施にかかる経費(会場の提供を含む)(稽古・ワークショップへの参加費、脚本執筆料、演出料、ドラマトゥルク料、出演料、作編曲料、舞台費、楽譜・楽器借用料など)・オン・ジョブ・トレーニングおよび海外リサーチにかかる参加費・渡航費・現地滞在費・メンターによる活動へのアドバイス等
●応募期間:2024年12月2日(月)~2025年1月5日(日)
●募集人数:若干名※詳細は、各分野(パフォーミングアーツ分野・音楽分野)の「募集案内」をチェック。
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団東京芸術劇場
助成:文化庁文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
〈公式サイト〉https://www.geigeki.jp/info/20241129/

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