
希望の創り方を描くこの作品の素晴らしさを伝えたい
日本テレビが製作を手がけてから日本国内での上演が今年41年目を迎え、観客動員200万人突破も目前というミュージカル『アニー』が、4月に東京・新国立劇場 中劇場で上演される。世界大恐慌直後の1933年、真冬のニューヨークを舞台に、決して希望を失わず「明日」を信じて生きる孤児・アニーを主人公に、彼女によって変わってゆく大人たちを描く心温まるストーリーと、「Tomorrow」をはじめとする名曲の数々が、世界的に愛され続けてきたミュージカルだ。そんな作品で、アニーとの出会いで人生を変えてゆく大富豪ウォーバックス役で今回初参加する岡田浩暉が、作品や役柄への思い、ミュージカルの魅力や演じることへの情熱を語ってくれた。
心の変容を丁寧に表現できたら
──ミュージカル『アニー』に初参加となりますが、まず作品全体に感じている印象から教えてください。
まず作品の背景ですが、世界大恐慌直後で社会がとても疲弊していて、みんなが生きるか死ぬかという厳しい状態のなかにある。そこにルーズベルト大統領が登場し、経済をなんとか立て直そうとしているところに、アニーの「何があっても希望を持ち続ける」という言葉から新たな政策が生まれていく、というドラマがあるんです。子供たちがアニーに共感し憧れるのと同時に、これは大人のミュージカルだなと僕は感じています。
──いま、時代の空気が『アニー』が描いているものに近づいている感覚があるので、希望を持つことの大切さを痛感しますが、そのなかで演じるウォーバックス役については、何を大切にしようと思っていますか?
ウォーバックスは大富豪でお金を何より優先していて、万事自分中心な人物として登場しますが、その彼がアニーに出会うことによって変わっていく。この作品のなかで一番大きく変化するのがウォーバックスだと思うんです。ですから彼の心の変容というか、彼がどうやって未来に希望を持つようになり、生き方を考え直していくのかを丁寧に表現できたらと思っています。
──ウォーバックスに影響を与える今年のアニー役のお二人、下山夏永さん、牧田花さんと製作発表会見でご一緒されていかがでしたか?
いや、もうすごい二人を選ばれたなと思いました。やはりWキャストで二人がアニーを演じることに、大きな意味のあるキャスティングだなと。夏永ちゃんは舞台経験が全くなくて、このアニー役が初舞台なのに、質問に答える時にも的を外さずに、伸び伸びとあの場に立つことができていた。一方の花ちゃんはこれまでにも舞台で大役を経験しているのでとてもしっかりしていて、話にオチまでつけられる。二人の個性が全く異なるので、稽古場でそれぞれとやりとりして創っていくのがとても楽しみです。
──またウォーバックスの秘書グレース役の愛原実花さんから、「岡田さんはスラリとしてカッコいいですが、お茶目で面白い面もお持ちなのでは?」というお話もありましたが、実際にそういう部分もおありですか?
多いにあると思います。もう見抜かれているんだなと(笑)。グレースはウォーバックスの人柄をちゃんとわかっていて、表には出ていなかった部分を引っ張り出してくれる役でもありますし、最終的に二人は結ばれることにもなりますので、会話のなかから少しずつそうしたものが前に出てくるようにしていきたいなと思っています。
ミュージカルは曲ごと感動を持ち帰れる
──『アニー』は多彩なミュージカルナンバーも満載ですが、楽曲についてはどんな印象を?
本当に素晴らしい楽曲揃いで、どの曲もすごい力を持っているなと感じます。アメリカで初演されてから50年になりますが、長い期間上演が続く作品は、やはりすべての楽曲が粒ぞろいですよね。『アニー』もまさにそうしたミュージカルで「Tomorrow」にしても、ただ単に「きっと明日はいい日だ」と歌っているわけではない。作品全体が、どんなに辛いことがあっても、その状況を受け止めつつ、決して希望から目を離さないこと、希望を語るのではなくて、希望の創り方を描いていて、その一番大事なところで歌われるのが「Tomorrow」なんです。とても懐の深い曲ですし、どの曲にもそうした深いものがそれぞれに込められているので、是非覚えて帰っていただきたいです。
──岡田さんは『レ・ミゼラブル』のマリウスをはじめとしたプリンス的な役柄から、近年では『ファントム』のゲラール・キャリエール、『ロミオ&ジュリエット』のキャピュレット卿など、重厚な父親役も演じられていますが、長くミュージカル作品に出演を続けるなかで、ミュージカルというジャンルに感じている魅力はどんなものですか?
やっぱりここぞというところで流れる音楽に痺れるんですよ。お話のなかの思いを曲に託して歌われることで、そのメロディーが強く記憶に残って、曲ごと感動を持って帰ることができる。また演じる側としても、伝えたい感情を曲がちゃんと立てて、包みこんで届けてくれる。役柄や演者の感情をダイナミックに伝えてくれるのが素晴らしいですよね。いまミュージカル映画なども隆盛なのは、そうした魅力があるからではないかなと思います。
──また拝見していて、『next to normal』のダン役もですが、キャリエールもキャピュレット卿も岡田さんに泣かされると言いますか、役そのものに思える演技に心打たれるのですが、役作りをする上で大切にされていることはありますか?
いや僕はね、才能のある役者ではないので、とにかく諦めずにいくしかないんですよ。作品の響いたところやそのキャラクターのいいところを、なんとか伝えたいという想いひとつに賭けて、とにかく諦めず、挫けずにやっています。僕の作業は、他の俳優さんから見たら、そんなことに時間をかけているの? と驚かれるものだと思うし、稽古でも迷惑をかけてしまうことも多いのですが、それでもとにかくコツコツと続けてきたという感覚なので、例えお一人にでもそう言っていただけるのは励みになります。
──いえいえ、岡田さんが役柄に没入される姿に感銘を受けている方はたくさんいらっしゃると思いますし、だからこそ今年の『アニー』もますます楽しみです。
ありがとうございます。ウォーバックス役には自分の気持ちに刺さるところも多くありますし、アニーに出会ってウォーバックスが変化するように、僕もこの作品に出会うことで変えてもらえるように頑張りたいです。いまの時代、先行きを不透明に感じたり、どこかで諦めムードまで漂ったりしていると思うのですが、『アニー』をご覧いただくことで、希望は創り出すものなんだ、と感じていただけると思います。これまで作品を愛してくださった方はもちろん、初めてご覧になる方にも、この作品に触れることで、パワーアップして元気に過ごしていただきたいので、是非劇場にいらして下さい。
(このインタビューは「えんぶ4月号」より転載)
インタビュー◇橘涼香 写真提供◇日本テレビ放送網株式会社
プロフィール
おかだこうき〇群馬県出身。音楽ユニット“To Be Continued”としてシングル「君がいたから」でデビュー。94年ドラマ『もしも願いが叶うなら』で俳優として活動を開始。03年ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役で注目を集め、以後、映像、舞台と活躍を続けている。近年の主な出演舞台作品は、『ファントム』『アルキメデスの大戦』『next to normal』『ドリームガールズ』『ジャンヌ・ダルク』『ロミオ&ジュリエット』『チョコレート・アンダーグラウンド』など。
公演情報

丸美屋食品ミュージカル『アニー』
脚本◇トーマス・ミーハン
作曲◇チャールズ・ストラウス 作詞◇マーティン・チャーニン
演出◇山田和也
音楽監督◇小澤時史
振付・ステージング◇広崎うらん
出演◇下山夏永/牧田花(Wキャスト)
岡田浩暉 愛原実花 赤名竜乃介 浜崎香帆 須藤理彩 ほか
4/25〜5/11◎東京・新国立劇場 中劇場
*その後、愛媛、大阪、仙台、名古屋公演を予定
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799





