
1月からずっとやっていた、コクーンアクターズスタジオ2期生の「アンサンブルデイズ」。一年前は、大きい声すらもままならなかったような子もいる中、よくまあ、大勢の観客を前に、大量のセリフを放ち、堂々と歌い踊れるようになったものだと、おじさんは危うく涙腺がプルプルしたものです。最後の場面で、外に駆け出していくシーンを追加したのだが、彼らは本当にそのまま、あっという間に社会というオーディションの世界へ駆け出して行ってしまいました。感傷にひたっている間もありません。なんと早いことか。そういうものか。確かに自分もそうだったな。演劇スクールを卒業してからのこの28年は、凄まじく早かった。と思うのは、過ぎてみればの話で、思い返せば随分随分随分といろんなことがあるのは当然か。もう演劇からは離れた友人知人も数知れず。
あの子達がそれぞれに、濃すぎる日々をこれからさらに迎えていくのかと思うと、おじさんは老婆心が発動してしまうものです。
なんてなことを考えながら自転車を走らせていると、私の少し前を走る自転車が急に止まった。
犬の散歩をするおじさんに行く手を阻まれたようだ。何事か?
犬のおじさんは怒っている。歩道を自転車で走るんじゃねーよ!車道走れよ!
そう、この4月からね、自転車規制が厳しくなったよね。
自転車のおじさんにも言い分がある。うちこっちなんだよ!
なるほど、自転車おじさんの家はこっち側なので、多少歩道を走るのも仕方ないのだ。
両おじさんは一歩引かない。
自転車は車道なんだよ!
じゃあ犬も邪魔だよ!
犬は歩道でいいだろ!
確かに、犬は歩道でいい。しかし犬のリードが長過ぎて歩道を塞いではいた。
剣幕なおじさんたちの脇を、若者の将来を案じるおじさんは、どうかとばっちりを受けないことを祈りながら、静かに通り過ぎてみる。
自転車は車道だぞ!
とは幸い怒鳴られなかったが、歩道から弾き出された自転車が、今後車道で事故が増えないことを祈るばかりである。
著者プロフィール

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。
今後の活動
・脚本
新国立劇場「りんごが落ちる」
脚本:ノゾエ征爾 演出:金澤菜乃英
@新国立劇場 小劇場
2026年 6月13日〜28日
https://www.nntt.jac.go.jp/play/nozoeseiji-newplay/
・出演、脚本、演出
フライイングシアター自由劇場「豪華客船タイクツニック号沈没」
作・演出 串田和美、ノゾエ征爾
構成・美術 串田和美
2026年6月14日(日)〜21日(日)
@吉祥寺シアター
7月10日〜12日
@信毎メデイアガーデン(松本市)
https://www.k-jiyugekijo.com/titanic
▼▼前回の連載はこちら▼▼
https://enbutown.com/joho/2026/03/18/nozoe-156/





