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株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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三山凌輝 インタビュー

行動の軸は「今をどう未来につなげるか」

ミュージカル『愛の不時着』が日本人版キャストで初上演される。韓国の財閥令嬢ユン・セリと朝鮮人民軍軍人のリ・ジョンヒョクの国境を越えたラブストーリーは、世界中で大人気となった。
気になるリ・ヒョンジョク役に抜擢されたのは三山凌輝。俳優、アーティストとして活動する三山にとってこれが初ミュージカルとなる。「僕は写真を撮られるとき世界一早くベストな形に近づこうと心がけているんです」と語る三山。迷いなく最適解なポーズと表情を目指しているという。質疑応答もレスポンスが速く突風みたいで、パワーワードもポンポン飛び出した。
そんな三山が演じるリ・ヒョンジョク。どんな人物になるだろう。

リ・ジョンヒョクは奥深いキャラクター

──初挑戦となるミュージカルですが、どんなふうに思っていますか。

 表現者として、お芝居と音楽の両方が交わるミュージカルにはもともと興味がありました。今回、『愛の不時着』という作品でオファーをいただいたことが出演を即決した大きな理由です。この作品はコロナ禍に出会い、その時期の支えになった一作で、自分が韓国ドラマを観始めるきっかけにもなりました。時を経て自分自身が演じることになるのはとても感慨深いです。自身の環境が大きく変わったタイミングで多くの人に見てもらう〝最初の場〟となりますし、表現者としてのこれまでの集大成にもなるのではないかと思っています。

──『愛の不時着』の魅力と演じるリ・ジョンヒョクという役の魅力をどこに感じますか。


 演じるに当たって改めてドラマ版を見直して思うのは、作品のヒットの理由は、北朝鮮と韓国という重いテーマを扱いながら、ラブコメとシリアスのバランスを絶妙に保った構成にあることでしょうか。それとリ・ジョンヒョクというキャラクターの奥深さです。クールなだけでなく、チャーミングな一面もあり、そのギャップこそが多くの人を惹きつけているのではないかと思います。例えば、ドラマの最初でユン・セリと出会ったときに地雷を踏むシーンがありますよね。普通だったら、ユン・セリが踏んでそれをリ・ジョンヒョクがかっこよく助けるという流れになりそうなところ、そうじゃないのがおもしろい。あそこに彼のすべてが詰まっていると言っても過言ではない気がします。ミュージカル版でもそのシーンがあると思うので、演じるのが楽しみです。また、北朝鮮の軍人という厳しい環境下で目の前のことに全力で向き合う姿にはシンパシーも感じます。僕は周囲からよく「ストイックだ」と言われるんです。納得いくまで物事に挑み続けるところを「ストイック」と思われるようで、そこがリ・ジョンヒョクと重なる気がしています。

──舞台版はご覧になっていますか。

 まだ観てないんです。でも楽曲は聞きました。今度、韓国でキーチェックがあるので、そのために一曲を聞いたんです。あくまで仮歌なので、参考にしつつ、最終的には自分の持ち味が活きる着地点を見つけたいと考えています。ミュージカルナンバーは、単体の歌というよりも物語全体の感情が乗った曲であり、音の上がり下がりにもすべて意味がある。低音域から高音域まで幅のあるキーを、リ・ジョンヒョクというキャラクターの感情表現としてどう歌うか、今まさに探っている段階です。僕のファンにとって、これまで聞いたことのないトーンの歌声になるかもしれません。それと、歌で楽しみなのはデュエットですね。いままで経験がないものなので、デュエットがもたらす効能がどんなものか楽しみです。

パッションの掛け合わせに期待

──演出家が韓国のかたです。外国のクリエイターとクリエイションした経験はありますか。

 舞台ではないですが、ドキュメンタリーを韓国の監督に撮ってもらったことがあります。そのとき感じたのは、パッションがあることと、本質的というのかな、取り組み方が本当に真剣なんですよ。その姿勢がいいなと感じて、監督と個人的にすごく仲良くなって、プライベートで飲んだりもしました。僕もパッションを大事にしているので、今回、パッションとパッションの掛け合わせができることを期待しています。

──掛け合わせというと、リ・ジョンヒョクとユン・セリはお互いに自立しあった同士のパートナーシップが魅力のひとつであると感じますが、ふたりの関係をどう思いますか。うことにこだわっているので、テレビのお笑いとはまた少し違うのかなと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

 自立しているからこそ、ときにかみ合わなくて、そこが面白い部分なのかなと思います。エネルギーが強いから、突き進んでしまうんですよね。でも、僕の周りもそういう人が多くて、お互いリスペクトしながら、本質的なところでつながっているんです。

──本質的というワードがよく出ますが、ご自身の本質とは一言で言うとどうなりますか。

 実直であることです。

──クリエイティブに関してはお互いが思うところをしっかり話し合ってやっていくという感じなんでしょうか。

 他者の作品に参加する際は、「自分はこうしたい」「こう思う」と主張するより、演出家や監督が何を見せたいのか、何を僕に求めているか理解するキャッチアップ力を大切にしています。自分自身の作品であれば全力で主張しますが、そうでない場合は、相手の意図を最大限に活かしながら自分の表現を重ねるアプローチを取ります。個人のクリエィティブの場合は自分のクリエイティブの本質は「社会的縮図を見つめ、そこから何をピックアップしてアウトプットするか」という視点にあります。過去を踏まえながら、今をどう未来につなげるか。そして最終的には、家族や大切な仲間を守る環境を作ること─それが自分の行動すべての軸です。今をどれくらいいい未来に変えていくかということは僕の中では大きいポイントかもしれないです。

──お話を伺っているととてもポジティブなワードが多いと感じます。不安や迷いを言葉にしないというか。

 不安や迷いがないわけではないですが、それを人前で口に出すことは無駄だと思っているんです。仕事においてはお客さんにいいものを受け取ってもらうことが使命なので、そこに対して努力しかしないし、周囲の人たちを不安にさせてはいけないという思いもあります。変化の激しい社会で自分がブレずにいることは、近くにいる人たちを疑心暗鬼にさせないためにも不可欠です。

──今回の舞台を表現者としてのこれまでの集大成にしたいとのことで、舞台とはどのようなものと捉えていますか。

 映像と舞台の違いは、お客さん全体に伝えるための表現の大きさにあると思います。セリフ、歌の抑揚、ダンス、仕草─すべてを会場全体に届けるアウトプットのあり方を、稽古を通じて自分自身に納得させながら積み上げていきたい。また、360度どこから見られても「かっこいい」「役としてきちんとしている」と感じてもらえる佇まいを意識します。それと、ライブ感と客席との一体感が醍醐味です。初日と千秋楽で雰囲気が変わり、何度来ても毎回違う温度感がある。その空気をどう作り、お客さんと一緒に駆け抜けるか、そこに大きなやりがいを感じています。

(このインタビューは雑誌「えんぶ2026年6月号より転載)

インタビュー◇木俣冬 撮影◇松山仁 ヘアメイク◇西村裕司(earch) スタイリング◇福永桃乃華(YKP)
衣装協力/カーディガン、Tシャツ、パンツ(SPiKe 下北沢03-6407-0123)、リング(OWNWAY info@ownway.online)ネックレス本人私物、ブーツスタイリスト私物

プロフィール

みやまりょうき○愛知県出身。俳優として活動し、ダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」のメンバー「RYOKI」としての活動を経て、現在はソロアーティストRYOKI MIYAMA・俳優として多方面で才能を発揮している。主な出演作に、【ドラマ】「イグナイト -法の無法者-」(TBS)、連続テレビ小説「虎に翼」(NHK)、【映画】「HiGH&LOW THE WORST X」、「誰よりもつよく抱きしめて」(主演)などがある。

公演情報

ミュージカル『愛の不時着』
原作◇tvNドラマ『愛の不時着』パク・ジウン執筆
脚本◇パク・へリム
作曲◇イ・サンフン
演出◇パク・ジヘ
翻訳・訳詞◇高橋亜子
出演◇三山凌輝 花乃まりあ KAZUTA(n.SSign) 中村麗乃 上田堪大
佐々木淳平 パク・ジンサン 東間一貴 紙谷昇世 ほか
7/12〜26◎東京公演 THEATER MILANO-Za
〈問い合わせ〉サンライズプロモーション 0570-00-3337 (平日12:00~15:00)
7/31〜8/2◎大阪公演 東京建物Brillia HALL箕面
〈問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888 (12:00~17:00 ※土日・祝除く)

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えんぶ2026年6月号にインタビューを掲載しています!▲