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宝塚歌劇宙組『黒蜥蜴』『Diamond IMPULSE』東京宝塚劇場公演開幕!桜木みなと、春乃さくら囲み取材レポート

桜木みなと、春乃さくらトップコンビを擁する宝塚歌劇宙組公演、ミュージカル・ロマン『黒蜥蜴』、スパーキング・イルミネイト『Diamond IMPULSE(ダイヤモンド インパルス)』が7月25日東京宝塚劇場で開幕した(9月6日まで)

「黒蜥蜴」は、日本の探偵小説の祖と称えられる江戸川乱歩が書き下ろした小説。これを底本に、戦後日本文学を代表する小説家、劇作家の三島由紀夫が戯曲化し、これまで初代・水谷八重子、美輪明宏、坂東玉三郎、松坂慶子、篠井英介、中谷美紀、そして、宝塚出身の名優・麻実れいなど、錚々たる俳優陣が演じ続けてきた。宝塚歌劇でも2007年、木村信司の脚本・演出で、グランド・ロマンス『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴(トカゲ)』~江戸川乱歩作「黒蜥蜴」より~と題して、春野寿美礼、桜乃彩音トップコンビ以下の花組で上演されている。
今回の宙組版ミュージカル・ロマン『黒蜥蜴』は、生田大和が潤色・演出を担当。2007年公演とは趣を変え、より三島戯曲に添った形での上演で、名探偵・明智小五郎と女賊・黒蜥蜴が織り成す、スリルに満ちた追跡劇のなかで、追う者と追われる者の間に芽生えてゆく愛が、1時間半に凝縮された舞台が展開されている。
また、竹田悠一郎作・演出のスパーキング・イルミネイト『Diamond IMPULSE(ダイヤモンド インパルス)』は、至高の宝石ダイヤモンドの輝きに、恋心、情熱、憧れや羨望など、人が抱く様々な感情=IMPULSEをリンクさせて構成された、エネルギッシュでありつつどこかクラシカルな魅力を持ったショーステージで、非常にバランスの良い二本立て公演となっている。

そんな公演の初日を翌日に控えた7月24日、通し舞台稽古が行われ、宙組トップコンビ桜木みなとと春乃さくらが囲み取材に登場。記者の質問に応えて公演への抱負を語った。

囲み取材

桜木みなと 皆様本日は暑いなか足をお運びくださいまして、本当にありがとうございます。暑いのですけれども、皆様とホットなお話ができればいいかなと思っております。よろしくお願いします。

春乃さくら 本日はお集りくださりありがとうございます。暑さに負けず精一杯千秋楽まで頑張りたいと思います。皆様と色々なお話ができたらと思います。どうぞよろしくお願い致します。

──「黒蜥蜴」は、トップコンビが演じられるお役柄としては、宝塚ではなかなか珍しい関係性かなと思いますが、それをどう楽しんで演じていらっしゃいますか?

桜木 お芝居の方は確かに、トップ娘役(の演じる)ヒロインらしからぬ、この凶悪犯を(笑)、名探偵・明智小五郎として追いかけていくお話なんですが、春乃の持ち味である、どう表現するかわからないハラハラドキドキ、私には思いもつかない表現方法で打ち出してきてくれるので、それが毎回とても新鮮です。更にそのなかで少女のような素直な気持ち、明智のみが理解している彼女のそうした心というものと春乃の持ち味とが、すごく合っていると思っています。それがとてもいい具合にリンクして、(宝塚大劇場公演を終えてから)東京公演の稽古も経てきたのですが、さらに深まっていて。冬のお話なのですが、すごく濃厚な、夏に観ると逆にちょっと涼しくなるような、そんなお話になっているのではないかと思っています。

春乃 台詞の美しさ、この作品の持つ言葉の美しさをいかに表現していくかを、桜木さんと何度もお稽古させていただいてきました。舞台に来てからは、お稽古で感じていたものに加えて、明智さんを通していろいろなものを吸収し発散することができていて。

桜木 発散ですね(笑)。

春乃 はい(笑)。桜木さん演じる明智さんから、黒蜥蜴しか感じることができない魅力と言うのでしょうか、二人にしか通じないものがたくさんあるので、そこをしっかり出せていけたらいいなと思っております。

──ショーで「スタンド・バイ・ミー」でのデュエットダンスは大変新鮮に感じましたが、そこに込めている思いは?

桜木 前が華やかなフィナーレナンバーとなっているので、皆さまがよくご存じのベースでの、曲の始まり方がすごく気に入っています。私たちが振付でいただいた設定としては、待ち合わせをしていて春乃が少しだけ遅れて登場する、という設定なんですね。その甘酸っぱさというか爽やかさ、私たちの持っている空気感、爽やかでありながらも少し大人の青春と言いますか。そういったものが「スタンド・バイ・ミー」の雰囲気ともすごくマッチするのではないかと思っていて。それが踊らせていただいていて、とても気持ちのいい空気になっているかなと思っております。

春乃 役なんですけれども、ちょっと素と言うのか……本当の……

桜木 私たちのありのままの姿、ということだよね?

春乃 はい、それを少し意識してしまっていたのですが……

桜木 (即答で)そう思います!(春乃が嬉しそうに笑うので重ねて)そう思います。

春乃 なので、毎回毎回、桜木さんが全然違うアクションをされるじゃないですか。

桜木 お芝居みたいな感じだね。

春乃 振付の若央(りさ)先生がそういう振りをたくさんつけてくださっていたので、一瞬一瞬を大切に、その場で作り上げていけたらと思っています。

──『黒蜥蜴』は美輪明宏さんはじめ、素晴らしい名優の方々が演じてこられていますが、これが宝塚ならではの『黒蜥蜴』だと意識されていることはありますか?

桜木 江戸川乱歩さんの原作と三島由紀夫さんの戯曲では、前者が冒険活劇と言いますかヒーローものような雰囲気で、三島さんの方はロマンスをすごく感じるんです。それが宝塚もロマンス(を描く)劇団なので、純愛をさせてもらっているような気持ちです。すごいことをなかでは繰り広げていますが、お互いに通じ合っているものはとてもプラトニックなものなのかなと思っていて。でも女賊と探偵であるがゆえに結ばれない。それをたぶん最初からわかりながら近づいていっている。その悲恋というのは、宝塚ならではの雰囲気と相性がいいなとやりながらも思っています。

春乃 私もやればやるほど宝塚が持つ愛と一緒だなと感じることが多くて。桜木さんがこの作品について「愛」だとおっしゃっている意味がすごくよくわかって。それは宝塚だからこそ大切にしたいというのではなくて、この作品をやる上で大切にしたいもので、それが宝塚にもつながっていけばいいのかなと思っております。

──ショーの好きな場面はどこでしょうか? また、お互いにこの場面が良いなと思われているところを教えてください。

桜木 中詰めですかね。11分の長尺の中詰めをさせてもらっていて、代わる代わる色々な構成で舞台上全てを使って、私たちの様々な個性を振りまきながら、最後には衣装を変えてまで、変えてまでって変か(笑)衣装を変えて登場させてもらっていて。中詰めでここまで長いものをやるのは初めてだったものですから、最初はどうやって11分を持たせたらいいんだろうと、お稽古場でも、また舞台にあがってからもすごく大変なことになるなと思っていたのですが、いざ宝塚大劇場で舞台を踏ませていただく回数が増えるごとに、お客さまの熱気もすごく後押ししてくださいまして、私たちならでは、宙組ならではの熱になっているのではないかと最近感じております。それが感じられることがすごく嬉しいです。あと春乃さんの好きな場面は……

春乃 (顔を覆いながら笑う)

桜木 (その様子を見て春乃に)恥ずかしい?
中詰めで娘役ヒロインとして、娘役を引き連れて衣装を変えて出てくるところもすごく好きなのですが、プロローグが終わって2曲目の場面。軽やかに爽やかに可愛らしく、熱量を込めてお届けしている春乃さんのパッションに、いつもいいなぁと思い、それを聞きながら着替えさせてもらっています。

春乃 ありがとうございます。私はプロローグが、このショーの『Diamond IMPULSE』という感じがとてもして、ギラギラしていて、お芝居とガラッと変わったところが好きですね。桜木さんの私が好きなところは……(桜木のリアクションが見えないように、自ら手を顔の横に立てる)

桜木 (その動作に)壁を作る(笑)。

春乃 フィナーレナンバーの男役さんのところが好きです。

桜木 ベロアのスーツのところかな?

春乃 はい!

桜木 ありがとうございます。

春乃 あのもう、はい……好きです(笑)。きっと皆さまは、私が何を好きなのか、全部おわかりになると思います。

桜木 (春乃が照れ隠しのように笑い続けるので記者に)恥ずかしがり屋です!

──黒蜥蜴は昭和の東京が舞台で、日本語も古風な言い回しがありますが、そんな時代感を出す為にどのような準備をされましたか?

桜木 もちろん小説と戯曲を読ませていただきましたし、過去に上演された『黒蜥蜴』の映像や、明智小五郎シリーズもいろいろ拝見して、映像から学ばせてもらった部分がすごく多かったですね。

春乃 私も小説を読み、たくさんの『黒蜥蜴』を観させていただきましたし、その時代の映画もたくさん見ました。想像を膨らませたかったので(時代に触れることを)たくさんさせていただきました。

どんなカラーの作品が来たとしても、原則としては必ず主人公のヒーローとヒロインを演じる宝塚のトップコンビという存在は、やはり様々なミュージカルや台詞劇で、一期一会の恋人役を演じる俳優同士とはひとさじ異なる、謂わば運命共同体の特別な関係性を持っているものだ。もちろんその形、醸し出される雰囲気はコンビによって様々に異なるが、桜木みなとと春乃さくらという、以前にも書いたが奇跡のようなマッチングを感じる芸名の二人が並び立つ相性の良さ、それこそ素で仲が良いんだろうな、と容易に想像できる受け答えの微笑ましさは格別。なかでも春乃がとても朗らかに笑い、それを鷹揚に受け止めたり、瞬時に反応して呼応する桜木から立ち上ぼる、ほのぼのとした感覚は、いま舞台で観たばかりの明智小五郎と黒蜥蜴の息詰まる攻防を演じた、同じ人だとはにわかに信じがたいほど。記者とのやりとりも自然に囲み取材と言うより、インタビューに近い趣となり、作品を創っていく上での想いが込められた多くの言葉に、公演への期待が高まる充実した時間だった。

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

公演データ

宝塚歌劇団宙組公演
ミュージカル・ロマン
『黒蜥蜴』

原作◇江戸川乱歩 戯曲◇三島由紀夫
潤色・演出◇生田大和

スパーキング・イルミネイト
『Diamond IMPULSE(ダイヤモンド インパルス)』

作・演出◇竹田悠一郎

7/25〜9/6◎東京宝塚劇場

〈公式サイト〉
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2026/kurotokage/index.html

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