MENU
情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
広告掲載のお問い合わせ

【松永玲子の「今夜もネットショッピング」】「既に持っていたエレジー」

迎春。
新年を寿ぎ……とは言い難い年明けですね。

能登地方を震源とする大地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
地震以外にも、驚くべき事件・事故の連続。
お悔やみ申し上げます。ご無事を祈ります。一日も早く日常が戻りますように。
こういう時、演劇人である己の非力さを痛感します。
私の職業は、命を確保することには役立ちませんが、その後の皆様の生活に於いて、癒しや愉しみや逃げ場となれるよう、鍛錬を重ねてお待ちしております。

龍昇企画×上野ストアハウス『エレジー~父の夢は舞う~』の稽古も佳境です。

ハヤカワ演劇文庫21『清水邦夫II 雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた/エレジー』

昨年、オファーがありました。
「清水邦夫の『エレジー』って知ってる?」
「清水邦夫戯曲は何本か読んでますけど知りません。」
「公演を企画してるんだけど、読んでみて。ヒロインの伯母さん役。」
「はい。」

そーいえば……
「清水邦夫やらない?」と2018年にお声がけ頂いて一冊買ったよな~と本棚を見てビックリ。一本は読んだけど、もう一本は読んでなかったその読んでない方が『エレジー』だった!
清水邦夫戯曲=長くてややこしいタイトル&難解な内容
な印象なのですが、この『エレジー』は、“え? 清水邦夫ってこんな普通の芝居も書いてたの?”というくらい、実に読みやすい家庭劇。笑えて切なくて面白い。

そーいえば……
大学1年生18歳。学生劇団。私のデビュー作が清水邦夫『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』だったのです。ね、長くてややこしいタイトルでしょ?

幾つかの「そーいえば」が重なり、出演することにしました。
何も無駄にならなかった。

『エレジー』は、69歳と63歳の兄弟の物語です。
昨年11月に逝去された脚本家山田太一さんの言葉に、「主人公の年齢が上がれば上がるほどドラマは面白くなりますよ」というのがあるそうな。「ヒダがいろいろある」からだと。
71歳の龍昇さんと70歳の塩野谷正幸さん。肉体派のアングラの演劇団(現・流山児★事務所)で出会われた若かりし頃には、まさか歳を重ねて、兄弟役で劇作家清水邦夫の膨大な台詞と格闘することになろうとは、想像もつかなかったことでしょう。
お二人のヒダを目の当たりにし、尊敬と感動の日々です。

私の役はヒロインの伯母・中平敏子48歳。主に絡む相手は塩野谷さんと小野健太郎さんです。
松永39歳、塩野谷さん55歳、小野健太郎さん30歳の時に演劇企画集団THE・ガジラ『PW』で初共演して以降、塩野谷さんとは4回目、小野健とは3回目の共演です。
当時、塩野谷さんとはザ・雌と、ザ・雄の夫婦役。互いに他所の現場でもザ・雌役とザ・雄役を演じることが多かった二人ですが、歳を重ねた今回、まさかの関係性を演じます。稽古場で演出の西沢栄治さんから「可愛い~」と言われる度に、二人してどんな顔をしていいかわからず、真顔になってます。私達の真顔は相当怖いので、申し訳なく思うのだけれど。


(塩野谷正幸さんと私。)

最初に読んだ時、清水邦夫なのに実に読みやすい家庭劇、だと思ったのに、じっくり向かい合うと、この戯曲が【実に読みやすい家庭劇のフリをした清水邦夫節満載の劇】であることに気付きました。
多くの芸術家が【孤独】をテーマにしていると思います。清水邦夫然り。
誰しもが多かれ少なかれ感じている【孤独】。例え周りから羨ましがられる環境にいても【内なる孤独】を抱えている。共有できない【内なる孤独】……。
【孤独】な皆様、どうぞ“物語”に逃げ込んで下さい。
己の中でモヤっている感情を言葉にして会話にして表してくれるから、作家って凄いですよね。
俳優の肉体を通して体温のある言葉に致します。
1983年第35回読売文学賞受賞戯曲『エレジー』。
チケットは売るほど有り〼。
ご来場をお待ちしています。

追記。
清水邦夫『エレジー』は以下にも掲載されています。観てから読むか、読んでから観るか。
「エレジー―父の夢は舞う」河出書房新社
「清水邦夫全仕事1981~1991上」河出書房新社 

著者プロフィール

松永玲子(ナイロン100℃)
まつながれいこ〇大阪府出身。94年にナイロン100℃に入団。劇団外での外部出演も多く、ドラマや映画、ナレーションなどで幅広く活躍するほか、コラムニストや落語家としての顔も持つ。
「マツナガ宅」 http://stage-d.com/mr/

出演情報

【舞台】
●ストアハウスコレクション
龍昇企画「エレジー」
[作:清水邦夫 演出:西沢栄治]
24年1/24(水)~28(日)
@上野ストアハウス
https://www.storehouse.ne.jp/pg78.html

【DVD】
●ナイロン100℃『Don’t freak out』DVD
一般発売は24年1月下旬~を予定しています。
詳細決定次第、キューブHPにてお知らせいたします。
https://www.cubeinc.co.jp/

【短編映画】
●「母と牛と」
[監督・脚本:山西竜矢]
12/23(土)に渋谷・LOFT9 Shibuyaで開催された
イベント「SHINPA vol. 16」で上映されました
https://natalie.mu/stage/news/55387

【OA情報】
●Spotify ポッドキャスト『BATMAN ~葬られた真実~』
(ヴィッキー・ヴェール役)
2022年5月3日より毎週火曜日に世界9ヶ国で配信。全10話。
https://open.spotify.com/show/0biQIoXBj8vdaQKSXIkHQD

●Amazon Audible(オーディブル)
https://www.audible.co.jp/
松永玲子ナレーション担当作品は
森絵都『最後は臼が笑う』
森絵都『無限大ガール』

●リモート読み合わせ版「12人のおかしな大阪人」無料配信中https://m.youtube.com/channel/UCRIkL8xsLbEuey0_QM6Ow_A?view_as=subscriber

予告編↓
https://youtu.be/sGDx9XjDA_w

更なるいちびり企画↓
「12分のおかしな大阪人」無料配信中
https://youtu.be/FPpMMk5KLwI

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!