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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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藤山直美・高畑淳子インタビュー

高畑淳子・藤山直美

13年ぶりの共演は心地よいぶつかり合い!?

藤山直美と高畑淳子が舞台上で火花を散らし、笑いと涙がたっぷり詰まった波乱万丈の物語『おだまり、お辰!』が、5月に大阪・新歌舞伎座、6月に東京・明治座で上演される。芝居を知り尽くした名優二人の初共演は2012年の舞台『ええから加減』、2013年の再演から数えると13年ぶりとなる。主従二人がその枠を軽やかに飛び越えて、表情豊かにやり取りを繰り広げるこの舞台について、女中・お辰役の藤山直美と、伯爵未亡人・栗栖川貴子役の高畑淳子に語り合ってもらった。

世界一の選手の球を受けるわけですから 

──お二人は今回が二度目の共演になります。お互いについて聞かせてください。

藤山 高畑さんのことは『ええから加減』で初共演する前に、『越路吹雪物語』という舞台で岩谷時子さんを演じられていたのを観たんです。それが岩谷さんそのもので、素晴らしい俳優さんだなと思っていました。とにかく真面目で一生懸命という印象で、それは実際に共演したときもそうでしたし、今回もそれは変わらずに取り組まれるのだろうなと思っています。

高畑 直美さんはお芝居の世界で一番の方だと思っていますので、今回も嬉しいと同時に不安もあるんです。それは『ええから加減』のときも同じで、喜びでいっぱいなのですが、舞台ではいってみれば世界一の卓球選手の球を受けるわけですから、毎日ヘトヘトでした(笑)。でもやはりまたご一緒できるのはとても嬉しいです。

──この作品についてはどんな印象を受けましたか?

藤山 作品の内容よりも台詞を覚えられるかなと(笑)。舞台はいつも生存確認のような状況というか、今回もけっこう激しいので、楽日にみんなで一緒に生きていればいいなと思っています(笑)。

高畑 今、直美さんがおっしゃったように「生きて終わる」のが目標です(笑)。私はいつもがむしゃらにやるんですが、今回はほどほどにしようかなと(笑)。ただこの物語では、二人が出会ったときから90歳まで演じるんです。そういうお芝居はあまりないので、素敵だなと思っています。

──物語の中ではお二人が恋敵になるのでしょうか?

高畑 恋をして争うわけではないので、恋敵ではないですね。ぶつかるところはあるのですが。

藤山 価値観の違いでぶつかり合うんです。こういう言い方をしていいのかわかりませんが、シルクのドレスを着て育った人と綿の着物を着て育った人との、育った環境の違いによってできる摩擦、そういうものがあるんだと思います。

高畑 でもそれが貴子には心地よかったんでしょうね。お辰のようにちゃんと言い返してくれる人が周りにそれまでいなかったので。だから本当のことをどんどん言ってくれるお辰の存在が心地いいし、全幅の信頼を寄せて、何をするにもこの人がいないとダメというような関係だった。それが、あることでちょっと離れてしまうのですが。

高畑さんは製作発表会見で、台詞は一言一句間違えたくないと。それに対して藤山さんは、私は大雑把ですという話をされていました。実際にはいかがですか?

高畑 結果的には直美さんはきっちり台詞を覚えられるんですよ。ただ時々、退場間際につまらないことを言って去っていく団員さんとかに、「おもろないこと言うて帰るな」とマイクオンで言ったり(笑)、そういうことをされます。それぐらいでしょうか。

藤山 (笑)喜劇の人間って案外几帳面なんですよ。

高畑 わかります。

藤山 アドリブですか?とか聞かれるけど、アドリブはそんなに多くないです。もし入れ事としてアドリブをやるんでしたら、そのあとも続けていくし、なくすのだったらその日からずっとなくす。だから日替わりということはないんです。

高畑 すごいなと思うのは、その舞台全体の枠というか、筋をつかむ力が独特におありになるところです。私なんかもう一言一句に必死で、言葉、言葉、言葉みたいになってしまうんですけど、そうじゃなくて、この芝居では何が一番大きく流れているのかということを掴む力が素晴らしいんです。

年を取るのは「時の神様」

──お二人は13年ぶりの共演ですが、ご自身のお芝居に向き合う気持ちや姿勢など、何か変化していると思うことは?

高畑 もう13年ということにびっくりしているんですけど…。最近、お芝居って残酷だなと思います。なんか、ものを見る力とか、こうやりたいとか、そんなに頑張らなくてもいいんだとか、いろんな道しるべがちょっとわかってきた頃に、物理的に喉とか体とか記憶力が弱くなったりして、取り上げられてしまう。人間としては絶対に今の方が豊かなんです。 いろいろなことを見てきたし、痛い思いもしてきた。 残酷ですけどそんなことがあった時のほうが、歌や芝居が豊かになる。だから絶対良いという自信はあるし、一回から三回ぐらいなら絶対上手くできると思うんですよ。でも公演は長丁場ですからね。そう考えると森光子さんという人はすごい人だったんだなって思いますね。

藤山 あのね、諦めさせてくれるんですよ、年齢が。だからこの役きましたって言われても、もうこのスピードではとても無理ですと。『ええから加減』を今やってくださいと言われても、「いや、もう私らではダメです」と思いますから。上手に諦めさせてくれるし取り上げてくれる。だから年というものは残酷という考えもあるかもしれないですけど、私には「時の神様」で、それでいいと思う。うん、私はそんなタイプ。 それは善とか悪じゃなくて、タイプの違いなので。

──東京と大阪の笑いや観客の反応の違いについても伺いたいのですが。

高畑 私の印象ですと、大阪のお客さまはとても慎重に観ていらっしゃるなと。笑いの王国みたいなところなのに、お芝居を慎重に観ていらっしゃる。それとカーテンコールの拍手がすごく大きいことですね。お芝居の間はあんなに客観的に観ていたのに、割れんばかりの拍手がくる。すごく驚いたのを覚えています。

藤山 やっぱりいろんな芸人さん、さんまさんとか鶴瓶さんとかお笑いの方が、距離を縮めてくれたと思いますよ。東京と関西とか、九州から北海道まで。だから私は助かっています。どこへ行ってもそんなに違わないので。

──距離という意味では、高畑さんは今回なんと英語の歌があるそうですね。

高畑 登場が英語の歌なんです! 貴子はコネチカットに留学していたとかで、「金髪のジェニー」を英語で歌います。だからこの歌だけでも先に練習したいので、早く楽譜をくださいとお願いしているんです。ほら、一字、一言一句、間違えたくない人なので(笑)。

藤山 そんなの覚えるだけで頭おかしくなりそう(笑)。

高畑 おかしくなりますよ!(笑) さっきも言いましたけど台詞も覚えにくくなって、あちこちに書いて貼って書いて貼って。だからお芝居の稽古になると、家中が耳なし芳一の家みたいに呪文だらけになってます(笑)。

(このインタビューは雑誌「えんぶ2026年6月号より転載)

インタビュー◇宮田華子 写真提供◇新歌舞伎座 撮影◇髙村直希

プロフィール

ふじやまなおみ○大阪府出身。喜劇役者・藤山寛美の三女。
1963年、ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』で子役として初舞台。64年テレビドラマ『初代桂春団治』でテレビデビュー。高校卒業後から本格的に女優として活動、現在に至る。近年の主な舞台は、『かたき同志』、『かあちゃん』、『おたふく物語』、『前川清・藤山直美公演』、『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』など。

たかはたあつこ○香川県出身。桐朋学園大学短期大学部芸術科演劇専攻を卒業後、1976年に劇団青年座に入団。舞台、映画、テレビドラマで活躍。読売演劇大賞最優秀女優賞、紫綬褒章ほか受賞多数。近年の主な舞台は、『恋、燃ゆる。~秋元松代作「おさんの恋」より~』、『チョコレートドーナツ』、『喜劇 老後の資金がありません』、『4000マイルズ~旅立ちの時~』、『さるすべり』、『陽気な幽霊』など。

公演情報

『おだまり、お辰!』

作◇横山一真
演出◇竹園 元
出演◇藤山直美/高畑淳子/吉田栄作/ベンガル/岡本圭人 柄本明 ほか

5/10~31◎大阪 新歌舞伎座
〈大阪公演お問い合わせ〉新歌舞伎座テレホン予約センター06-7730-2222(10:00~16:00)https://www.shinkabukiza.co.jp/perf_info/20260510.html
6/12~21◎東京 明治座
〈東京公演お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)
https://www.meijiza.co.jp/info/2026/2026_06_02/

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