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株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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「えんぶ12月号」注目記事先だし ピックアップ!【全文公開】げんこつ団35周年記念公演『天国と地獄』一十口裏(団長)インタビュー&全出演者アンケート

35年目の新しい一歩

社会の中で右往左往する人間の様を描き続けて35年。一貫して自分の目で見て感じたことを時空を飛び越え、虚で実をあぶり絵のように浮き上がらせる一十口裏。虚実ない交ぜの情報が溢れ混乱を極めるこの世に放つ35周年の記念公演は「報道スペクタクル娯楽活劇」。公演リリースとともに届いた新しい試み。「社会」がある限り、書きたいことはなくならない彼女の現在に迫る。

(このインタビューは「えんぶ」2026年12月号・11/9発売より転載)

“報道”スペクタクル娯楽“活劇”

――公演のリリースを読んでワクワクしました。
 ありがとうございます(笑)。
――「ロマン派」「活歴」「活劇」「19世紀の劇音楽」、さらにタイトルが『天国と地獄』でしょ。オペレッタでもあるし、黒澤明の映画もね。何かその辺りと関係はあるんですか?
 いや…この世がそうかなって…。
――言ってしまえば、そうですね(笑)。
 今回は「報道スペクタクル娯楽活劇」と銘打っていて、八丁堀や入船など、江戸から明治にかけての歴史を持つ一帯を舞台にしています。新富町には、かつて新富座という劇場もありました。
――新富座って調べたら、明治時代に九代目市川團十郎が実験的な作品を上演したりしてるんですね。
 そうですね。歌舞伎の近代化を、目指したり挫折したり…。その頃(明治38年)、近くの日比谷公園を発端にした日比谷焼き討ち事件があって。その翌年に新富座で「天岩戸」を題材にした作品が上演されていて。史実をそのまま描くのではないのですが、そういった題材を背景にネタを考え作品を作っています。日比谷焼き討ち事件って、日本初の日刊新聞が誕生して34年後、新聞報道が民衆に大きな影響を与え、暴動にまで発展した事件なんです。
――げんこつ団の35年と近いですね。インターネットの普及ともほぼ重なるような。
 最近はSNSで誰もが匿名で色んなことを、さらにAIの普及で虚実ない交ぜの情報が飛び交っていますよね。そんな今に、スペクタクルなロマン活劇をお届けします。


◉公演リリース情報

げんこつ団35周年記念公演!『天国と地獄』
〜様々な老若男女を変幻自在に演じ分ける女優達による、状況ナンセンス娯楽活劇〜

光無き世に 突如現れし 救いの太陽神
その正体 八丁堀の老舗新聞 エース記者が追う
何が誠か 虚実ない混ぜの この浮世を駆ける
報道スペクタクルロマン 状況ナンセンス娯楽活劇

舞台は現代の東京都中央区。そこに救いの太陽神が現れ、八丁堀の老舗新聞社の男がその正体を追うこととなりますが、しかしその辺りには、日刊新聞の誕生と新富座の歴史がございます。かくしてかつての“ロマン派・活歴・活劇”やらが混ざり込み、全編に渡って19世紀の劇音楽の満ちた華々しい展開に。

なにせ今や、あらゆる情報の飛び交う幻惑浮世。
35周年は渾身の“エンターテイメント”。

この「報道スペクタクル娯楽活劇」を是非!

“ロマン派・活歴・活劇”いろいろ全部入ってます

――「救いの太陽神」ってありますが、「天照大神」のことですか?
 はい。「救いの神」として出て来ます。
――今だと皇室との繋がりとかあるの?と思ったりするのですが。
 それは関係ないです。先ほどお話しした新富座での『天岩戸』の上演が、今回の作品にも関わっているので。
――“ロマン派・活歴・活劇”ってオペレッタではないんですか?
 オペレッタは難しいので…。でも立ち回りやダンス、歌も入ってかなり派手になっています。
――げんこつ団のダンスって、狭い舞台に7〜8人、ギリギリのスペースで目いっぱい踊るじゃないですか。あれってすごいですよね。
 劇場の構造で大きな柱があったり、二面舞台なのでどの辺にどの向きで立つかとかは、稽古中から調整しています。
――稽古はどれくらいの頻度ですか?
 週2回です。
――え!?
 本当は集中稽古、2週間とか1ヶ月とかやりたいですけど。うちはみんな仕事をしながらなので難しいです。でもだから今まで続けてこられたと思います。
――すごい集中力ですね。今、稽古はどんな様子ですか?
 やっと昨日(9月26日)、台本を書き上げたところで、これから映像作ったりとか、まだまだやることはいっぱいあります。

前回公演 『800〜1200度のカタルシス』(2025年)撮影◇@mayu

台本について初めて聞くみんなの意見

――台本を読んだみなさんの感想は?
 今回はいつもと違って、シーンが細切れではなく、一本通したお話があるんです。みんなからは、どう舞台で見せるかという意見が色々出ました。
――書くときは配役を意識しているんですか?
 前回まではそうでもなかったんですが、今回はだいたい誰が何役と考えながら書きました。更に今回は稽古で台本について意見を聞きながら作っています。
――今までは?
 ほぼなかったです。
――でもみなさん、納得して舞台に立っているように見えますけど?
 もちろんそうだとは思いますけど。シーンが細切れだったからか、その役、歯車の一部に徹するというか。台本についての質問はあまりなかったですね。それは私が意見を言いづらい環境にしているかもしれないと思って。今回は違う作り方をしたかったので、まず自分が変わるように心がけて、今はみんながそれぞれ意見を言ってくれます。
――いいですね。
 意外な意見も聞けておもしろいです。
――35年目にして初めて?
 新鮮で、楽しいですね。

前々回公演『デウス・エクス・マキナ』(2024年)撮影◇@mayu

演劇の使い道は、舞台だけじゃない

――新しい団体を立ち上げました。「〜演劇の使い道は、舞台だけじゃない〜『何かになる。自由になる。』」って本当にその通りだと思っていました。前からそういうことに興味があったんですか?
 両親がダンス教室をやっていて、生徒さんはプロを目指す若い人から純粋に楽しんでいるお年を召した方まで幅広くいらして。将来的にそういう場を作りたいと思っていました。今回、35周年だと気づいたときに、「将来って今だ!」と。同時に、げんこつ団もあと何年できるかなと。
――えー、どうしてですか?
 めまぐるしくシーンや役が入れ替わって出番も多く、踊るし体力使うから…。
――じゃあ動かないげんこつ団にすればいいんじゃないですか。
 そうか…! じゃあできますね(笑)。
――NPO法人の活動は劇団のみなさんとやるんですか?
 はい。「こんなのやりたいんだけど」と劇団員に相談をして、「みんなでやりましょう」ということになりました。
――いいですね。
 みんなの特技も生かしてやっていきたいです。この団体を作ったことが劇団にもいい影響を与えている気がします。
――具体的には?
 作品を作るときに、ここに来てくれた人も楽しめるか?と意識するようになりました。根底は変わりませんが、今回は多くの方に楽しんでもらえる作品になりそうです。

◉新団体情報

〜演劇の使い道は、舞台だけじゃない〜「何かになる。自由になる。」
NPO法人Act Freely

《Act Freelyについて》
自分らしくいること≠ひとりになること
個性と自立から、調和と前進へ

《Act Freelyとは》
私たちが大切にするのは、
「自分らしくある」ことだけでも、
「周囲に合わせる」ことだけでもありません。
「自分の感覚や考え」を持ちながら、
「異なる他者」と関わり、共に前へ進んでいくことです。
(以下省略)

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一十口裏プロフィール

いとぐちうら○脚本家、演出家、劇団「げんこつ団」団長。1991年より、女優たちが老若男女を次々に演じ分けるナンセンス喜劇を上演する、げんこつ団公演すべての脚本・演出・映像・音響・チラシデザインを手がける。2026年には、新たに特定非営利活動法人Act Freelyを設立した。

げんこつ団35周年記念公演『天国と地獄』出演者アンケート

毎公演めまぐるしく変わるシーンや役柄に、ギアを入れっぱなしで全力疾走し続ける出演者たち。
老若男女、ときに人外を次々と演じ分け、ぶっ飛んだ世界を冷静に受け止め演じ続ける。
その献身、才能、サービス精神に富んだ見どころ溢れる全出演者に本番直前! 緊急アンケートを実施。

Q.1●自己紹介を兼ねた自己PR
Q.2●今回の作品で演じる役柄と抱負

植木早苗
A.1●げんこつ団副団長の植木早苗です。35年間げんこつ団一筋。思えば35年前、ふと手に取った「演劇ぶっく」にあった団員募集を見てからわたしのげんこつ人生が始まりました。感慨深いですね。
A.2●35周年の記念すべき公演で、あなたに主役を演っていただくと言われましたが、はてげんこつ団に主役なんぞいたことがあるか? というわけで主役?な主役を張らせていただきます。しかも今回初めての1役!(厳密にいうとアレですが…)乞うご期待!!

春原久子
A.1●春原久子です。スノハラです。近眼の為、人相が変わるくらい度の強い眼鏡を掛けています。昔、初参加の客演さんに「ハルハラさんはいつから稽古に来るんだろうと思ってた」と言われた事があります。ずっといたよー。
A.2●老舗新聞社所属の自称敏腕カメラマン。主役と共に、潜入取材に飛び回る! 普段はセンサーにすら認識されず自動ドアも開かない私ですが、舞台では命を燃やして存在を主張していきたいと思います。

河野美菜
A.1●今年35周年を迎えましたが、私も参加し始めてから22年になります。改めてこの年数にびっくりしています。そして、公演で着用する衣装の製作も担当しています。
A.2●今回も様々な役がありその中でも私が主に演じる高校生男子ですが、彼自身も色々な人物(役)を演じていく様になっているので、観ている方々に今どの人物になっているのか、どう話が進んでいるのかがわかりやすく、そして楽しんでいただける様、演じていけたらと思っております。

丹野薫
A.1●丹野薫(ニノカオル)と申します。「千里の道も一歩から」「やらなきゃできない」を心に刻んで挑んでいきます。
A.2●嘘を伝統とする家の当主。虚飾を生み出す会社員。真実を追いかける孤高の女。出生の秘密を抱える青年。「人情」と「奇跡」の間で右往左往する盛り沢山の人物たち。まるで大河ドラマのような「歴史大スペクタクルロマン」と言えるのか、否か!? ご期待ください。

池田玲子
A.1●10•Quatreに所属しておりますが、ほぼ準レギュラーとして出演しております。池田です。普段は殺陣や日本舞踊といった和事中心の芝居を得意としております。
A.2●げんこつ団の35周年の記念の舞台において、大役を頂いたと今から身の引き締まる思いです。日頃得意とする和事や殺陣を活かせるシーンもあります。しっかり盛り上げたいです!

三明真実
A.1●げんこつ団の飛び道具を自負して12年目。連続出演の集大成となるよう私も楽しみます。全編通して1.4倍速位の速度で動いてるので瞬き禁止ですよ! お見逃しなく♪
A.2●白くてニクいアイツとか…黒くて不穏なアイツとか……。ナンセンスでありながら、何処かに居る人居そうな人を演じるように心がけています。「◯◯さんに似てる」「これは◯◯さんなのでは……?」と、思ってもらえたら嬉しいです。

生江美香穂
A.1●名前がなまえの生江美香穂です。こう見えて平成生まれです。
特技は殺陣でして、気付けば20年近く刀振っています。特に薙刀ぶん回してる時が1番楽しいです。
A.2●今回メインでやらせて頂く役は人情あふれる下町の中華屋の娘です。中華屋の娘ですが、お向かいの新聞屋の面々と一緒に潜入取材とかしちゃいます。中華屋の娘なのに。若さゆえの興味津々・猪突猛進ですね。若い感性を大切にして演じさせて頂いてます。

清水さと
A.1●昨年に続き客演させて頂きます。げんこつ団の存在はずっと知ってましたが、まさかのご縁を頂戴し、35周年にも参加とは本当にありがたい人生です。俳優業はほとんどやってないので、毎回「これが遺作」と思って稽古に励んでます。
A.2●大変素敵なお役を頂き、感無量です。このように生きられたら…いいですね。舞台では素直に存在したいですが、どこまで嘘をつかないか自分との闘いです。

公演情報

げんこつ団35周年記念公演
『天国と地獄』

脚本◇一十口裏 出演◇植木早苗 春原久子 河野美菜
丹野薫 池田玲子 三明真実 生江美香穂 清水さと

11/11〜15◎小劇場楽園

インタビュー◇坂口真人 構成・文◇矢﨑亜希子 写真提供/げんこつ団

「えんぶ」2026年12月号は11月9日(月)、全国書店にて発売です!