正門良規の主演で『Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド~虚空に触れて~』上演決定!
Aぇ! groupの正門良規が2年ぶりの舞台主演となる『Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド~虚空に触れて~』が、10月8日~11月4日に東京・PARCO劇場にて、11月10日~11月17日に京都・京都劇場にて上演されることが決まった。
本作は、主人公である登山家、ジョー・シンプソン本人が1988年に執筆した小説『Touching the Void』(邦題「死のクレバス」)が原作で、サイモン・イェーツとともに、ペルーのアンデス山脈にある標高約6,400mのシウラ・グランデ山に登頂した際に、実際に起こった壮絶な遭難事故の回想録。ジョーがいかに困難を乗り越えて生還を果たしたかを描いたこの本は、登山家たちの間だけでなく多くの人々の心に響きベストセラーとなり、15年後の2003年には映画化もされ(邦題『運命を分けたザイル』)、同年の英国アカデミー賞で最優秀英国作品賞を受賞した。
このベストセラー本をもとに、スコットランドの劇作家・演出家であるデイヴィッド・グレッグが脚色し、2018年に舞台化。イギリスのブリストル・オールド・ヴィックシアターにて、当時芸術監督を務めていたトム・モリスによる演出で初演され、たちまち人気を博し、連日チケットはソールドアウト。新聞各紙でも大絶賛された。雪山をデフォルメしたシンプルな舞台セットにも関わらず、観客は座席に居ながらにして吹雪や寒さを想起させられ、2人の登山家の痛みや苦悩を追体験することに。極限状態の彼らの心理にせまる緻密な演出で、壮絶な事故とそれに抗う人間の生命力を、あたかも目の前で目撃しているかのような気分になる。
今回は、日本人キャストによる日本語上演で初演で、トム自身が来日し、オリジナル版の演出で日本人キャストとのクリエーションが実現する。俳優たちにとっては、肉体的にも精神的にも非常に負荷のかかるチャレンジングな演出となる。映画やドラマとは違う、演劇だからこそ体感できる生身の俳優のチカラと舞台空間の圧倒的なパワーに期待が高まる。
主人公、ジョー・シンプソンを演じるのは、今年念願のCDデビューを果たしたAぇ! groupの正門良規。2022年の『ヴィンセント・イン・ブリクストン』で海外戯曲は経験済みだが、海外演出家とのタッグは初となる。
さらに、ジョーの姉セーラを演じるのは、独特の存在感と定評のある演技力で出演作が絶えない今最も注目を集める若手女優の一人である古川琴音。
ジョーと共にシウラ・グランデに挑んだサイモンを演じるのは、連続テレビ小説『スカーレット』への出演で脚光を浴び、昨今日本を代表する演出家作品への出演も多く、破竹の勢いで活躍中の田中亨。
そして、ジョーとサイモンのテント番として二人の帰りを待つリチャードを演じるのは、幼少期より数々の作品に出演し個性派俳優として印象を残す浅利陽介。
日本で演出を手掛けるのは初となるトムと、折り紙つきのキャスト4人が一丸となり、観客を雪のアンデス山脈へと誘う。シンプルなセットの中で、死と隣り合わせの壮絶な極限状態で起こるスリリングな展開と心理ドラマとなる。
【あらすじ】
私が知りたいのは、あんたらが行った理由。
山の崖なんかに登るようになったそもそもの理由。
それが分からない。なんでなの?
「ジョー(正門良規)が死んだ」と聞かされた姉のセーラ(古川琴音)は、ジョーの死を悼み、サイモン(田中亨)やリチャード(浅利陽介)、彼の登山仲間たちとパプに集っている。
1985 年ペルーのアンデス山脈の難関、標高約6,400mのシウラ・グランデ。若きイギリス人登山家のジョーとサイモンのペアは、ほぼ垂直にそびえ立つ西壁の登頂を前人未踏のルートで成功させた。ところが、下山途中で骨折したジョーは氷の崖から落ち、宙吊りになってしまう。ジョーはロープを登ることもできず、サイモンは彼を引き戻すこともできない。このままでは2人とも死んでしまう。快挙を成し遂げた彼らを待ち受けていたのは、大自然との対峙、そしてすさまじい葛藤と苦難だった……。
【コメント】
ジョー役:正門良規
演劇が大好きで次はいつ舞台に立つことができるだろうとうずうずしていました! そしていただいたお話がいつか立ちたいと思っていた念願のPARCO劇場。本当にびっくりです。主演として立てることが本当に誇りですし、また1つ夢を叶えることができてとても嬉しいです!
海外の演出家の方とご一緒するのは初めてで緊張していましたが、トムさんとオンラインでお話して、非常に穏やかな方で安心しました。今は稽古が始まるのを楽しみに毎日トレーニングをするなど、できる限りの準備をしています! ビジュアル撮影では、実際に雪山に登る為の服装や装備を身につけて、アイスアックスのみで体を支える体勢をとっての撮影などもありました。スタジオも冷房でキンキンに冷やしていただき、徹底的に擬似雪山を作ってくださいました(笑)。それ故に迫力満点のビジュアルになっていると思います!
実話を基に作られているということが本当に衝撃です。お芝居に加え、ハードなフィジカルワークもあり、心身ともに大変な作品になりそうですが、とにかく今はわくわくしています。観客の皆さんが思わず全神経を使って見入ってしまうような、そんなスリリングでいて温かい物語を素晴らしいキャストの皆さんと共に真摯にお伝えします。是非楽しみにしていてください!
セーラ役:古川琴音
ナショナル・シアター・ライブにて『戦火の馬』を見て以来、ずっと憧れていたトム・モリスさんの演出を受けられるとは夢にも思っていませんでした。今から緊張と高揚で胸がいっぱいです。
私が演じるセーラは雪山で遭難したジョーの姉で、唯一原作の小説には登場しないキャラクターです。遭難中のジョーの心の支えとなり、1人下山したサイモンには心の内を問いかける、2人を導く一筋の光のような存在です。セーラの力強さ、自然の壮大さを全身いっぱいに表現していきたいと思います。
サイモン役:田中亨
オーディションは、まるでトムさんのワークショップを受けているような、楽しくて発見の多い時間でした。出演が決まって、どんな稽古を経て本番を迎えるのか、今から楽しみで仕方がないです。ビジュアル撮影では、少しでも感覚を掴むために、実際にスタジオ内の温度を下げて撮影をしていました。寒さで目が乾燥したり、冷たい空気で呼吸することが、とても新鮮で勉強になる撮影でした。
無謀な挑戦にワクワクする気持ちや、命を預け合える関係性など、グッとくるポイントが多い作品だと思います。季節は夏から秋にかけてですが、舞台上には雪山があると信じて! 切磋琢磨、稽古に取り組んでいけたらと思います。ぜひ観に来てください!よろしくお願いします!
リチャード役:浅利陽介
今はまだギターを触ったり、劇中にでてくる冬の登山、雪山はどれだけ過酷な状況なのかをイメージをしたりと少しずつ身体にインプットして準備しています。イギリス版の舞台映像を見ましたが、舞台上という限られた空間の中でクレバスを降りていきその後、落ちていくシーンの表現を効果的に見せているのが印象的でした。標高約6000mの空気の薄さ、氷に刺さるアイスアックスやアイゼンの音、キャラクターそれぞれの緊張感が伝わるようアンデスに行きたい…ところですが、まずは近所の坂道をダッシュで登ろうと思います(笑)。
ビジュアル撮影でリチャードの衣装を着たときは、なんというかしっくりくるものがあり、いよいよ始まるんだと、漠然とですが“不安”と“期待”を感じました。僕が演じるリチャードはとにかく一生懸命な人で、なかにはクスっと笑えるシーンもあるので楽しみにしていただきたいです。トムさんに日本を好きになってもらって、観てくださる皆さんにはトムさんの演出を好きになってもらえるよう、稽古を頑張ります! お楽しみに!
【公演情報】
パルコ・プロデュース2024『Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド~虚空に触れて~』
原作:ジョー・シンプソン
作:デイヴィッド・グレッグ
演出:トム・モリス
出演:正門良規(Aぇ! group) 古川琴音 田中亨 浅利陽介 ほか
●10/8~11/4◎東京公演 PARCO劇場
●11/10~17◎京都公演 京都劇場