宝塚雪組『ベルサイユのばら』開幕!彩風咲奈&夢白あや囲み取材レポート

三井住友VISAカード シアター宝塚グランドロマン『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-~池田理代子原作「ベルサイユのばら」より~が、8月31日東京宝塚劇場で開幕した。
 
1974年の初演以来、累計観客動員数500万人を超える宝塚歌劇最大のヒット作として、宝塚歌劇の代名詞ともなっている『ベルサイユのばら』。そんな作品の初演から50周年を迎える2024年、10年振りの上演が実現。宝塚歌劇では原作の主要人物に、様々な角度からスポットをあてる幾多のバージョンが上演されてきたが、今回は雪組トップスター彩風咲奈が、フランス王妃マリー・アントワネットを、その生涯をかけて愛し抜くスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンを主人公とした「フェルゼン編」の上演で、彩風の卒業公演ということも含め、2024年に蘇えるに相応しい伝統の継承と共に、新たな構築が施された『ベルサイユのばら』の世界が幕を開けた。

そんな公演の初日を前日に控えた8月30日通し舞台稽古が行われ、雪組トップコンビ彩風咲奈と夢白あやが、囲み取材に応えて公演への抱負を語った。

【囲み取材】

彩風 本日はお足元のお悪い中お越しいただきましてありがとうございます。卒業公演となりますが、最後までよろしくお願い致します。

夢白 本日はお集りくださり誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します。

──再演を重ねてきた宝塚の名作にどんな気持ちで取り組んでいらっしゃるか。また彩風さんは最後の東京公演にどんな気持ちで臨まれているか教えてください。

彩風 宝塚大劇場初日を開けるまでは50年の歴史の重みと、諸先輩方が紡いでこられた想いに押しつぶされそうなところもあったのですけれども、私も宝塚に入るきっかけになった作品が『ベルサイユのばら』でございまして、私自身が『ベルサイユのばら』をとても愛していて、大劇場公演で毎日、毎日舞台に立つ度に「あぁ、『ベルサイユのばら』を上演できて幸せだな、この世界にいられて幸せだな、宝塚に入って良かったな」と毎日思っておりました。なのでその気持ちをずっと、宝塚から東京の初日を迎えるまで自分も紡いできたという感じです。またお客様が本当にこの作品を愛してくださっているんだという気持ちが、客席からとても伝わってきて、その想いにも背中を押していただく日々でございます。

夢白 『ベルサイユのばら』が上演されると決まったのが、いつもの次回公演が発表されるより早く、昨年には発表されていたので、初日が開けるまですごく緊張していました。でも開けてから毎日が本当に楽しくて。『ベルサイユのばら』という作品が、大きな素晴らしい作品だとわかってはいたのですけれども、自分自身が演じるなかで本当に素晴らしいなと感じる日々でございます。ですから東京公演も新鮮に、この感謝の気持ちと幸せな想いを胸に頑張っていきたいと思っています。

──実際に『ベルサイユのばら』を演じてみて、特に彩風さんは新人公演で演じられて以来のフェルゼン役かと思いますが、お役柄に感じること、また榛名由梨さん、初風諄さんなど多くのレジェンドキャストの方々が本日の通し稽古を熱く見守っておられたことについてはいかがですか?

彩風 11年前に私が新人公演でフェルゼンを演じた時には、やはり本役の壮一帆さんのフェルゼンをお手本に自分が勉強させていただいたことが大きかったなと、改めていま取り組んでいて思います。あの時にはまだ新人公演(に出る)学年でしたし、まだまだ男役としても未熟で、フェルゼンのカッコいいところだけを見ていたのですが、いまこの学年になって改めてフェルゼンという役に向き合うと、フェルゼンは王妃様を愛していることがもちろん強さでもあり、弱さでもあるんだなということをすごく思いました。でもその弱さ故に色々なことに巻き込まれるけれども、弱さを強さに変えて王妃様を助けにいく。どんなカッコいい人物にも弱い部分があるんだ、ということを今回のフェルゼンを演じていて改めて感じて、大切にしていることかなと思います。また、榛名先生をはじめ皆様には、お稽古場から色々な想いを伝えていただいて、本当に皆様がどれだけ『ベルサイユのばら』を愛していらっしゃるかということがいつも伝わってきておりました。大変おこがましいですが、私もそれに負けないくらい『ベルサイユのばら』を愛して、東京公演も頑張っていきたいと思っています。

夢白 マリー・アントワネットという役柄を演じさせていただくにあたって、歴史から勉強させていただいた時に、愛に溢れた実在の人物なんだなと。フェルゼンとのやりとりの本などにもリアリティがあって、それが原作の「ベルサイユのばら」ともよりリンクして、今でもその本を読んでいて、さらに深めていけたらと思っています。本日(初代マリー・アントワネットの)初風さんがご覧くださって、初めてご挨拶させていただけて、すごく嬉しい気持ちと、この初日が開ける前にお会いできたことは明日からの糧になると思いますので、心を新たに務めていきたいと思いました。

──彩風さんフィナーレが出ずっぱりでいらっしゃいますが、いかがですか?

彩風 気づいたら16分間出ているのですけれども(笑)全く体感では16分出ているという風には感じなくて、最初のロケットではみんなのところに出て、みんなの笑顔と一緒に踊って、今度は男役が階段から降りてくると自分も自然と男役のダンスになっていて。また娘役さんが来たら娘役さんとの雰囲気になり、少人数のところはそれぞれとの時間を楽しみ、あやちゃん(夢白)とあーさ(朝美絢)とのところは今までの感謝の気持ちとこれからへの想い。そして全員との「セラビ・アデュー」では皆様の想いを全部受けたいという気持ちなので、あっという間に終わってしまいます。でもこのように素敵なフィナーレナンバーを今回の為に作っていただけたことが本当に幸せです。

──彩風さんは宝塚に入ったきっかけが『ベルサイユのばら』だということで、どこがそれほど人々を惹きつけるとお考えですか?

彩風 毎日プロローグで、後ろ向きでせりあがってくるので、自分の見える景色、一面ピンク色の薔薇が咲き乱れた世界がまず見えて、そこからお客様の方に振り向くのですが、あの美しさは本当に『ベルサイユのばら』ならではだなということを毎日感じています。宝塚の男役、娘役としての夢も詰まっていて、ファン時代自分もこういう姿が見たい、愛が見たいと思っていたものが全て詰まっているのが『ベルサイユのばら』だと思います。娘役さんの輪っかのドレスも素敵ですし、男役の軍服姿、特に私は宝塚に入る前はオスカルに憧れていたので、やっぱりオスカルのブロンドの髪、そして現実ではなかなかあり得ない男として育てられた女性という、全ての夢が詰まっていて、私はいまもずっと夢の続きを見ているような気持ちでさせていただいております。

──今回のオリジナルナンバー「セラビ・アデュー」という曲が、フェルゼンとしても彩風さんとしても通じるという素敵な歌詞ですが、お二人はそれぞれどういう想いで歌っていらっしゃいますか?

彩風 私は本編のなかで歌うフェルゼンとしては、まずオスカルに、そしてアンドレに、さらにフランスの歴史のなかバスティーユで散っていった人々に、という想いがありますが、同時に半分は宝塚への想いがあります。それは曲のなかだけではなくて、色々な台詞の端々に自分の想いとリンクすることがあって。すごく切ない想いもあるのですが、曲と歌詞が切なくもとても爽やかな気持ちなので、曲の通りの気持ちで歌わせていただいています。「私のなかにあなたは生き続ける」といのは本当にお客様だったり、組の人だったり、私が出会ってきた大事な人たちが私のなかに生き続ける、という自分からのメッセージのような気持ちです。

夢白 私は(フィナーレの)パレードで歌わせていただけるのですが、マリー・アントワネットの衣裳なので、マリー・アントワネットとしてもいつまでも自分のなかで生き続けるという想いがあったり、銀橋にいらっしゃる咲さん(彩風)に向かって(歌い)かけさせていただく振りがついているのですけれども、やはり咲さんはトップさんとして雪組愛がとても強い方だというのはお隣にいても感じますし、すごくそうおっしゃるので、そういった部分を引き継いでいけたらいいな、咲さんの温かい大きな心を絶対に忘れずに、想いのバトンを受け継ぐではないですが、いつもその気持ちが歌詞を歌っている時に新鮮に頭をよぎります。今まで言っていただいたことも踏まえつつ、毎日学んでいけたらいいなと思っています。

10年ぶりに上演される『ベルサイユのばら』の、まさに宝塚でしかできないと感じる豪華絢爛な世界のなかでも、新たなイメージを感じさせるポスターと同じ衣装で囲み取材に登場してくれた彩風咲奈と夢白あや。舞台全体の華やかさ、煌びやかさに負けないゴージャスな大型コンビの存在感はもちろん、質問の一つひとつに真摯に答えてくれる彩風の的確で知的な言葉選びが際立ち、夢白が彩風に寄せるリスペクトもひしひしと感じられる時間だった。このコンビでの囲み会見も最後かと思うとこみあげるものがあるが、それ以上に『ベルサイユのばら』という50年の歴史をつないできた作品を引き継ぐという、強い意志と愛が伝わる時間で、彩風咲奈の集大成の公演がこの東京宝塚劇場でさらに実り多いものになることに期待を抱かせる会見だった。

【公演情報】
宝塚歌劇雪組公演
三井住友VISAカード シアター宝塚グランドロマン『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-~池田理代子原作「ベルサイユのばら」より~
脚本・演出◇植田 紳爾
演出◇谷正純
出演◇彩風咲奈、夢白あや ほか雪組
●8/31~10/13
〈公式サイト〉https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2024/roseofversailles/index.html

【ライブ中継情報】
【東京宝塚劇場公演】
■日時:10月12日(土)15:30公演[サヨナラショーあり]
■販売期間:
【先行抽選販売】8月24日(土)11:00~9月9日(月)12:00
【一般発売(先着順)】10月5日(土)11:00~10月11日(金)12:00
■料金:4,700円(税込/全席指定)
■会場:全国各地の映画館
■配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

【東京宝塚劇場公演 千秋楽】
■日時:10月13日(日)13:30公演 千秋楽[サヨナラショーあり]
■販売期間:
【先行抽選販売】8月24日(土)11:00~9月9日(月)12:00
【一般発売(先着順)】10月5日(土)11:00~10月11日(金)12:00
■料金:5,200円(税込/全席指定)※来場者特典「メモリアルチケット」付き
■会場:全国各地、台湾・香港の映画館
■配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

【ライブ配信情報】
【東京宝塚劇場公演】
■日時:10月12日(土)15:30公演[サヨナラショーあり]
■販売期間:10月5日(土)10:00~10月12日(土)16:00
■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信
■視聴料:3,500円(税込)

【東京宝塚劇場公演 千秋楽】
■日時:10月13日(日)13:30公演 千秋楽[サヨナラショーあり]
■販売期間:10月6日(日)10:00~10月13日(日)14:00
■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信
■視聴料:4,000円(税込)

【東京宝塚劇場 新人公演『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-】
■日時:9月12日(木)18:30開演
■販売期間:9月5日(木)10:00~9月12日(木)19:00
■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信
■視聴料:2,500円(税込)

詳細 https://kageki.hankyu.co.jp/news/20240608_001.html

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

9/25(水)まで(株)えんぶ、クラファンに初めて挑戦しています!

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