【池谷のぶえの「人生相談の館」】第99回　森一生さん(俳優・「阿佐ヶ谷スパイダース」）

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

何だか数年に渡って舞台公演が続いていたような感覚があり、やっとひと息ついている今日この頃です。

とはいえ、ぼちぼち勉強もせねばならないのですが、やっと訪れたダラダラもできる日々に、身体はゴロゴロとするばかり。
でも、自分はこうした時間がないと、本当にダメになってしまうな…と天井を見つめながら、ダメな時間を過ごしております。

舞台中にはゆっくり会えなかった方々ともなるべく積極的に会っておこうと予定をぎゅうぎゅう入れては、お酒を飲み過ぎ、もう二度と飲まないと反省し、また飲む日々。

はやく舞台を…舞台をやらなければ、ひどい人間になってしまう…。

今回のご相談は、次の舞台で初めてご一緒させていただく、この方です。

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失礼いたします。

池谷さん、相談の機会をありがとうございます。大先輩に相談できる機会、貴重です。相談したいことを考えたら、次々でてきました。湧き出た悩みの中から比較的平穏なものを選びました。その他の悩みはまた、チャイなどを飲みながらお話させて頂きたいです。

ぼくは身のまわり万物、黒ばかり選んでしまいます。Tシャツもコートもズボンもカバンも黒です。靴は中島らもさんが愛用していたと知って真似してから黒い革靴風の安全靴ばかりです。

お世話になったフランスで演劇をやってるリロ・バウアーさんにも「ところでマフィアみたいだけどなんで？」とよくからかわれました。決してマフィアに憧れてはいません。

世間の人気者であるとされる鶴瓶さんは黒い服を着ているイメージがありません。鶴瓶さんの特殊能力は「初対面の人にいじらせる能力」だと本に書いてありました。この特性に服の色も関係あるのではないかと思えます。威圧しない服としてはオーガニック系がありそうですが、オーガニックはオーガニックでクセがあって捌ききれないという問題があります。

僕はリサーチでいろんな街を訪ねて人々にお話を伺うことがあります。最近は玉田企画の公演「地図にない」の創作リサーチで北陸へリサーチに行きました。が、玉田さんも黒い服ばかりです。同じような背丈の黒い男2人で奇怪でした。そんな黒2人が水族館に通ったりして、カップルや家族連れのムードに水をさしてしまいました。冬服と黒は一段と不審でした。

アゴラ劇場の閉館に合わせて駒場を調べていたときは、黒だと威圧的なので白い服を着ていたら、おばあさんに「宗教の勧誘かと思った」と言われました。訪問者が白いと、また違う角度の圧を生じさせます。もはや色というより僕が青年将校みたいな顔面をしているからかもしれません。

身につける色は悩ましいです。池谷さんは身につけるものの色に悩むことはありますか？人を圧しないちょうど良い色の服って、何色でしょうか？

よろしくお願いします。

森一生さん(俳優・「阿佐ヶ谷スパイダース」)

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8月に、ブルー&スカイ先生の作・演出による舞台公演が上演されます。
その作品に出演してくださる方々で私としては初めましての、森一生さん、西出結さん、蕪﨑俊平さんと少しでもお近づきになれるよう、人生相談コラムへのご登場をお願いさせていただきたいと思った次第です。

ということで、まず今回は森さんからのご相談になります。

森さん、初めまして。
まだ直接ご挨拶させていただいてもいないのに、人生相談コラムへのご協力をいただき、ありがとうございます。

と、ここまで冷静にコラムを書き進めてまいりましたが、実はつい先ほど、大変なことが起こりました。

いつものように洗濯を終え、干そうと洗濯物たちを掴み上げたところ、見たこともないくらいの量の紙屑たちがまとわりついていたのです。
レシートや、ちょっとした用紙を洗濯してしまったことなど何度もあり、その度にやれやれ…と思ってまいりましたが、今回はその比ではありません。

いったい何が起こったのかわからないくらいの衝撃度の紙屑たちなのです。
何なら、私が今まで服だと思っていたものは、全部紙だったのではないか？　と言うくらいの紙屑たちなのです。

原因がわかりました。
洗濯機の棚のところに、空き箱を3つほど重ねて収納していたのですが、それがいつの間にか落ちていて、そのことに気づかずいつものように服を入れ、回してしまったのです。

森さんは、黒い服ばかりをお持ちだとおっしゃいましたね。
想像してみてください、黒い服たちと紙屑たちのコラボレーションを。
服たちがまるで宇宙のようになります。

もし、黒い服をちょっと考え直してみようかな…と思ったものの、どうしても黒い服ばかり選んでしまうな…という時、今回の事件ほど「もう黒い服なんて着ない！」と心から思えるショック療法はありません。
そんな時はぜひ、お試しください。

森さんがどんな方なのか、まだ何ひとつ存じ上げないまま、浅はかなことは答えられませんが、
黒の服を好む方の傾向として、自信の高さ、自己の弱さや欠点を隠したい、孤独感、反抗心、プロフェッショナルな印象を与えたい、などの特徴があるそうです。
思い当たる節はありますか？

私も、稽古着はもっぱら黒を選びがちです。
上記の特徴は、当てはまるところも多い気がしています。
加えて、「変に目立ちたくない」という気持ちもあったりします。

なので、黒を通して森さんとも分かり合える部分があるのかもしれないな…と、まだお会いしていない時点でも思ったことは、収穫です。よいご相談を、ありがとうございました。

私はここ数年、服がネイビーばかりになっている気がします。
黒から少しずつ色を薄めていって、ダークグレー、チャコールグレー、ネイビー、ダークグリーンなど、落ち着く色に出会う旅をしてみるのもよいですね。

実際にお会いした際、森さんには何色が似合うか、みんなで話し会いましょう。

■ラッキー待ち受け

惨劇の様子です。
何色が似合うかの旅の途中にも、箱には、全力で気をつけてください。

森一生さんの今後の予定

▶ブルー&スカイ 作・演出
新作公演
2025年8月
ザ・スズナリ
詳細 → https://x.com/blue_and_SDP

▶阿佐ヶ谷スパイダース「さらば黄昏」
小劇場楽園
2025年11月
詳細 → https://asagayaspiders.com

▶2026年2月
自主企画 茶会「ここらでわかす」
下北沢、駒場東大前のリサーチ企画の延長として、ソウルを歩いて作品をつくります。

▶2026年5月
玉田企画「タイトル未定」
詳細 → https://tamada-kikaku.com