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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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片岡愛之助インタビュー

初歌舞伎、原作ファン、歌舞伎好き、誰もが楽しめる舞台

「流白浪燦星(ルパン三世)!」の名乗りに、有名なあのイントロ。宝を巡る大泥棒の物語を歌舞伎の古典的手法で作りつつ、確かに「ルパン三世」の世界を描いた『流白浪燦星』は、観客の心を見事に盗んだ。
その新作第2弾『流白浪燦星 碧翠の麗城(へきすいのれいじょう)』が、3月の新橋演舞場を皮切りに約1年にわたり各地で上演される。今回も流白浪燦星そして石川五ェ門を演じる片岡愛之助に、初演の思い出や役作り、最新作の魅力などを語ってもらった。

お客様の大きな拍手で初めて確信した手応え

──まず初演と再演を改めて振り返っていただきたいのですが、とくに初演はプレッシャーが大きかったとか。

 その通りで、初演は台本ができるまで僕も全くわからなくて、衣裳も洋服だと歌舞伎にならないし、じゃあルパンがタイムリープする? とか、すごく迷っていました。でもアニメのスタッフの方に、「もし歌舞伎の世界にルパン一味が存在したら」でいいと仰っていただき、すごく気が楽になって、そこから鬘や衣裳も作り始めました。お稽古は闇の中を手探りで歩くようで、出口は見えない、時間もない、内輪受けで終わっていないか、お客様は本当に面白いと思ってくれるのかと、初日が近づく頃には不安に変わりました。初日が来て、吉と出るか凶と出るかと飛び出して、「流白浪燦星(ルパン三世)泥棒さ!」と言ったら、びっくりするぐらい拍手をいただいて、「いけるんじゃないか!?」と確信しました。立廻りで、チャラッチャラッチャラッチャラ〜ン♪ と音楽が鳴ったら、ブワーッと拍手が……涙が出そうになりました。それからさらにみんなの士気が上がり、すぐに追加公演も決まって、本当にありがたかったです。

──お客様も期待と不安が半々だったかもしれませんね。私はタイトルのタイプライター音やテーマ曲を聞いて、ルパンだ! と思いました。

 ありがとうございます。あの音楽だけは絶対に使わせてくださいとお願いしました。あれがなければ「ルパン三世」ではないし、それを和楽器で演奏するのが、やはり歌舞伎版のポイントなので。再演のお話はすぐいただきましたが、スケジュールが合わず、この時はケンケン(尾上右近)に五右衛門を演じてもらいました。南座でも楽しんでいただけるのか、そこはまた不安でしたが、幕が開いたらやはり喜んでいただいて。本当に良かった。再演は全日完売でした。

──ルパンとしてどんな準備や工夫をされましたか?

 漫画から映画から、ありとあらゆるルパンを全部見ました。どんな時にどんな反応や表情をするのか。真似はしませんが、アニメ版と映画版でもルパンの人格は違います。歌舞伎でもいろんな場面があるので、どの場面でどの感じを使おうかと線引きをした感じかな。シリアスさや、少しのワイルドさはあったほうが、やはり厚みも出るし、ただの面白い人だとつまらないだろうなと考えました。

宙乗りなどの歌舞伎ならではの演出も!

──その二度の上演を経て、いよいよ第2弾です。あらすじを読んで、城、お宝、お姫様ということで、「カリオストロの城」? と思いました。

 皆さんだいたいそう思われますが、カリオストロではありません(笑)。大元のアルセーヌ・ルパンのお話にもそういうものはあるし、いろいろなところから要素を集めたり、歌舞伎の「三姫(女方の大役とされる三つの姫役)」のエッセンスを入れたりしています。前回は水をふんだんに使った立廻りがありましたが、今回は宙乗りをする予定です。歌舞伎ならではのスペクタクルに富んだ作品になると思います。

──面白そうです! 今回は五ェ門まで演じますね。

 第一作目から観ている方は、なんて欲張りな奴だと思うのでは(笑)。僕がずっと二役はできませんが、同時に出る場面で早替りなどはあると思います。立廻りで活躍するシーンもありますので、ぜひ楽しみにご観劇いただければと。

──そこも期待しています。市川笑三郎さんの次元、市川笑也さんの不二子、市川中車さんの銭形は変わらず、初参加で中村米吉さんが瀬織姫、中村錦之助さんと坂東彌十郎さんが役替りで瀧津弾正久永をなさいます。

 初演からのチームワークにまた新しい風が吹いて、最高じゃないですか。彌十郎兄さんはとてもお忙しい方ですが、出ていただきたかったので、嬉しいです。

──今回は既に新橋演舞場、御園座、南座、博多座でのロングランが発表されていますね。

 (二代目市川)猿翁さんがスーパー歌舞伎でされていたように、ロングランはどうかと僕からご相談しました。こんなに長く同じ役を演じることはないし、役替りもあるので、どんな感じになるんでしょうね。

──役に慣れすぎてもいけないとも言われますが。

 そうですね。普段の公演でも1ヵ月近く芝居をしますが、やはりいかにリセットスイッチを入れるかが大事です。毎回初めて相手の言葉を聞き、理解し、言葉を考えてから喋る。当たり前のことですが、全部予定調和になると芝居が面白くなくなる一因なので。今回は上演月の間隔が離れていて、むしろ来年の2月まで覚えているか心配です(笑)。でも新たな気持ちで演じられると思います。

──楽しみにしています。最後にお客様へメッセージをお願いします。

 歌舞伎には古典もあるし、例えば三谷かぶきやこのルパン歌舞伎のような新作歌舞伎もあります。いろいろな柱があって、それを歌舞伎という大きな傘が覆っている。僕がこの作品で鬘を被っているのは、400年前のヘアスタイルがちょんまげだったからです。歌舞伎をご覧になったことがない方は、難しい、眠い、長いのではと思ったり、「勉強させていただきます」と仰る方もいます。でも歌舞伎は、今は古典芸能と言われますが、元はその時代の現代劇なのでわかりやすいはずです。しかもルパン歌舞伎には、大事な「原作」があります。第一作目の経験から、初めて歌舞伎をご覧になる方も、原作しかご存じないルパンファンの方も、ルパンの世界と歌舞伎の世界の融合を十分堪能いただけると思います。普段から歌舞伎をご覧の方は、歌舞伎のパロディを探す楽しみもあります。音楽は生演奏で迫力があるし、衣裳は全部本物、舞台装置はとても豪華です。よく「チケット代が高い」と言われますが、これらを味わえるなら、むしろ割安ではないかと(笑)。もちろんそう感じていただけるかは僕ら次第ですが、「お得だったね」と思っていただける自信はあります。勉強にではなく、ぜひ遊園地のように歌舞伎を体験しに来てください!

(このインタビューは「えんぶ4月号」より転載)

インタビュー◇宮田華子 文◇内河 文 撮影◇松山 仁

プロフィール

かたおかあいのすけ○大阪府出身。1981年、十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり、片岡千代丸を名乗って初舞台を飾る。1992年、二代目片岡秀太郎の養子となり、六代目として片岡愛之助を襲名。歌舞伎のみならずドラマや映画など映像分野でも活躍中。令和5年度(第74回)芸術選奨文部科学大臣賞はじめ舞台や映画で受賞多数。

公演情報

『流白浪燦星碧翠の麗城』 (ルパン三世へきすいのれいじょう)

出演◇片岡愛之助 中村米吉 市川笑三郎 市川笑也 市川寿猿(新橋演舞場) 市川猿弥 市川中車 中村錦之助(新橋演舞場・御園座) 坂東彌十郎(南座・博多座)  

3/5〜27◎東京 新橋演舞場、4/3〜26◎名古屋 御園座、9/2〜26◎京都 南座、2027/2/6〜26◎福岡 博多座

〈東京・新橋演舞場公演 問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489(ナビダイヤル 10:00-17:00)またはチケットWeb松竹

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