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「新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演」まもなく開幕! 高島礼子インタビュー

 
今年が創始138年となる劇団新派と、明治時代発祥の上方喜劇の伝統を受け継ぎ、劇団創立78年となる松竹新喜劇が、7年ぶりに夢の競演を果たす「新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演」。その舞台がいよいよ5月9日に新橋演舞場で幕を開ける。(19日まで)

演目は『お種と仙太郎』『明日の幸福』の二本立てで、芸達者たちが人情と笑いを届ける。この公演で「石井ふく子生誕百年記念」と銘打って上演する新派の喜劇『明日の幸福』に出演する高島礼子に、物語の内容や石井ふく子作品への思いを語ってもらった。

試練があったからこそ、人の「幸福」についても考える

──今回の「新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演」に出演が決まったときはいかがでした?

長い歴史ある劇団さん同士の合同公演に、私が出演させていただけると知って、まずは嬉しかったです。その期待に応えなければいけないという不安もありましたが、やはり楽しみという気持ちのほうが強かったです。

──高島さんが出演される新派の『明日の幸福』は、石井ふく子さんの生誕百年記念でもあります。石井さんの作品にはこれまで何度も出演されていますね。

ありがたいことに沢山出演させていただいていて、去年は『かたき同志』に出演させていただきました。石井ふく子先生の作品は、家族や人間同士の愛を描くものが多いのですが、その中にも喜劇としての面白さが込められています。今回の『明日の幸福』の何気ない笑いを、先生がどう演出されるのか、私自身とても楽しみにしています。

──お話としては、三世代が同居する松崎家で、祖父が人に贈るはずの「馬のハニワ」が壊れるという事件が起こります。それを巡って家族が繰り広げる騒動が面白おかしく描かれます。

日常的にも起こりそうなお話ですよね。子どもの頃に親の大事なものを壊してしまったなど、誰にでも似たような経験があるのではないでしょうか。ですからハニワが壊れているとわかったときの、この家の女性三人の気持ちがよくわかります。打ち明けてしまえば楽になるのにどうしても言えないんですよね。

──昭和の時代の三世代で、高島さん扮する恵子は、ちょうど真ん中の世代なので、特に上にも下にも気を使う立場ですね。

だからこそ、余計に自分一人で抱え込んでしまうんですよね。そのせいで毎日が少し辛くなってしまう。この作品のタイトルに「幸福」とありますが、人間は上ばかり見て暮らしていると、日常のちょっとした幸福や他者の幸福にも気づけなくなります。このお話では、「ハニワ」というすごくわかりやすいものによって、女性三人が苦しめられるわけですが、そこから解放されたときに、初めてお互いについてもわかり合えます。試練があったからこそ、他者の「幸福」についても考える。だからこそ、このタイトルがつけられたのだと思いました。

──とても身につまされる話ですね。でも「ハニワ」に振り回される姿は、ちょっと笑えたりします。

そうなんです! 「ハニワ」を必死に隠そうとしている姿や、うろたえている姿は、どこか笑えるんですよね。それこそ「人の不幸は蜜の味」ではないですが、お客さまにはそうした滑稽な姿を観ながら、思い切り笑っていただきたいです。

笑いの塊のような方たちが集まっている公演

──先ほどもお話に出たように、石井ふく子さんの作品は2012年の『女たちの忠臣蔵』から何度もご一緒されていますが、お稽古場の石井さんはどんな感じですか?  

『女たちの忠臣蔵』のときは緊張しすぎてほとんど覚えていないんです。石井先生の作品に出演できるなんて夢にも思わないことでしたし、しかも初座長を務めさせていただきましたから。ただ、出演の皆さまが石井ファミリーの方たちばかりでしたので、稽古をしている中で、それぞれご自身の役をしっかりと演じていらっしゃるのを見て、「あ、もう座長だからとか考えなくていいんだ」と気づくことができました。 自分の役割を全うしていれば、皆さまがちゃんと支えてくださるんです。ですからとても居心地が良かったです。

──さすが石井ファミリーという感じですね。

それに先生の作品は、キャスティングを変えての再演も多いのですが、先生はその公演ごとの演者に合ったアドバイスをくださるので、すごくありがたいですし、非常にやりがいを感じています。前に演じられた方の再現ではなく、その人その人の芝居やキャラクターを生かしてくださるんです。だからとても楽しく演じることができます。

──昨年の『かたき同志』では、高島さんは初演で三田佳子さんがされた役でしたね。

やはり三田さんと私ではタイプが違うということで、全く違う演出で演じさせていただけたので、とてもありがたく思っています。

──その公演では相手役が藤山直美さんでしたが、いかがでした?

直美さんが何かされるたびに笑いが起きるんです。直美さんが少し喋っただけでもお客さまが楽しくなっているのが伝わってきて。そうすると、だんだん「いいな、私もお客さまに笑っていただきたいな」と、変な欲が出てきてしまうんです。しかし、私がそれをやってしまったら本来のお芝居が台無しになってしまいますから、余計なことは慎もうと。そのほうが直美さんもより光りますし、結果的に私も光ると気づいたんです。そのおかげで、最後までお客さまの笑い声に包まれながら楽しく終われました。

──お客さまからどっと笑いが来る瞬間は、舞台上でもわかりますか?

わかります! やっぱり嬉しくなりますね。「ウケた!」とつい喜んでしまいます(笑)。世知辛い世の中ですから、わざわざお金を払って観に来てくださる皆さまに少しでも笑っていただけると、役者をやっていて本当に良かったと心から思います。今回の 「新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演」も、そういう笑いの塊のような方たちが集まっていらっしゃる公演ですので、お客さまには沢山笑っていただけるのではないかと思っています。

──最後に改めて『明日の幸福』のアピールをいただけますか。

この作品は現代劇なんです。でも昭和の古き良き時代の懐かしい物語でもあって、おそらくその時代をご存じの方がご覧になったら本当に懐かしくて、ほのぼのした気持ちになると思います。ただ、もし若い世代の方が観に来られたら、少し珍しい世界をご覧いただくことになるかもしれません。三世代が同じ家で一緒に暮らしていることも、あの当時の世代からすると当たり前のことですが、若い人たちには不思議に思えるかもしれないので。でもそういう中にも、登場人物たちの心情には、きっと共感していただける部分があると思いますし、その人たちのドタバタぶりを笑いながら楽しんで観ていただければ嬉しいです。

【プロフィール】
たかしまれいこ○神奈川県出身。1988年、テレビ時代劇「暴れん坊将軍3」で俳優デビュー。93年、「さまよえる脳髄」で映画初主演。01年、映画「長崎ぶらぶら節」で日本アカデミー賞優秀助演賞。映像や舞台で幅広く活躍中。最近の主な出演舞台は、『ハロルドとモード』、ミュージカル『東京ラブストーリー』、舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』、石井ふく子 白寿記念公演『かたき同志』、シンフォニー朗読劇『ベートーヴェン〜魂の交響曲〜』など。

【公演情報】
「新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演」
『お種と仙太郎』
作:茂林寺文福
脚色:平戸敬二
演出:齋藤雅文
出演:久本雅美 藤山扇治郎 曽我廼家いろは 曽我廼家一蝶 曽我廼家桃太郎 渋谷天笑 瀬戸摩純 井上惠美子 渋谷天外  波乃久里子
『明日の幸福』
作:中野實
演出:石井ふく子
出演:高島礼子 三田村邦彦 春本由香 丹波貞仁 村岡ミヨ 喜多村一朗 瀬戸摩純 田口守 久本雅美 渋谷天外
5/9〜19◎新橋演舞場
〈問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489(ナビダイヤル 10:00-17:00)
またはチケットWeb松竹
〈公演サイト〉https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202605_enbujo/
 

【取材・文:榊原和子 撮影:松山 仁 ヘアメイク:佐々木大輔(TRINE) スタイリスト:村井 緑 衣装/ワイズ アクセサリー/アビステ】