
つかこうへいをして 「この作品だけは活字化できない」と言わしめたほど、“肉体で語る” つかこうへい初期の代表作『スト リッパー物語』。再演を重ねるごとにガラリと姿を変え、いくつものバージョンが作られてきた。そして今回上演されるのは、1982年に田中邦衛・根岸季衣主演で上演され たバージョンで、今となってはほぼ上演されることがなく幻となった作品。この作品を一切の脚色なしで、つかこうへいの戯曲そのままに、つか存命中よりその文才を認められ、氏のもとで様々な作品の脚色・演出を任されてきた渡辺和徳が、原点を見つめ直す!
渡辺和徳(演出)からのメッセージ

この「ストリッパー物語」は、2014年の9PROJECT旗揚げ公演の演目です。「つかさんが元気だった頃には挑戦できなかった、初期作品をやってみよう」と選んだ作品でしたが、まだ不条理演劇の色が濃い初期の作品は、2000年代のつか芝居に慣れ切っていた僕たちには衝撃的で、毎日頭が沸騰するような思いでひたすらに戯曲を読み解きながら、稽古を重ねていたことを覚えています。
口立てを重ね、“役者”で書いていくつかさんの言葉は、一読しただけでは無茶苦茶に見えることもあります。しかし、役者の感情が乗ると、たしかに繋がっていく。それは、つかさんにセリフをつけられた瞬間の高揚感を、解き明かして再現していく過程のようで、苦しいながらも楽しい時間でした。
その私たちの原点とも言える作品を、7年ぶりに上演します。たくさんの作品を上演してきた今だからこそ、新たに見える景色もあるのではないかと思います。ここまで重ねてきた時間を注ぎ込んで、つかこうへいの言葉の海にどっぷり浸かってみようと思います。

STORY
「…あたし、踊れなくなるのかな」
明美は盛りを過ぎたストリッパー。お腹には醜い手術痕が残り、子供の産めない体になっている。かつてはブロードウェイのステージに憧れ、貨物船で密航しようとしたこともあったが、客を沸かせた踊りも、今は見る影もない。落ち着いた暮らしをしたいと思うこともあるが、腐れ縁のヒモのシゲさんは、のらりくらりとかわしてばかりいる。
その明美の前に、一人の少女が姿を現した。劇場の片隅から、明美の踊りに羨望の眼差しを送るその少女こそ、シゲが家に残してきた、娘の美智子だった。
「私、アメリカに行くんです。踊りの勉強がしたいんです」
キラキラとした瞳で夢を語る美智子の姿に、いつしか明美はかつての自分の姿を重ね合わせていた…。
虐げられるが故により深く愛し合う、ヒモとストリッパーの真実の愛の物語。





