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情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
公演チケットで広告掲載

Web版シバイのミカタ(2026年6月)

2025年11月より、えんぶ本誌に「シバイのミカタ」が復活!
本誌に載せきれなかった公演のご紹介もこちらに掲載いたします。

エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
舞台『悪の花』

原作◇「悪の花」(製作:STUDIO DRAGON 脚本:ユ・ジョンヒ) 脚本・演出◇鈴木勝秀 出演◇五関晃一/海乃美月/和田優希 久保廉/安西慎太郎 久保田秀敏 宮下雄也/みのすけ 水夏希/羽場裕一

2026/3/6〜15◎IMM THEATER 、3/28・29◎森ノ宮ピロティホール

©舞台『悪の花』2026/撮影◇Ayano Tomozawa

終始緊迫感のある見事な舞台


14年前に出会い、恋に落ち、結婚して幸せに暮らしていた夫婦。だが夫が名乗っていた姓名も過去も全く他人のものだった……そんな衝撃の展開から怒涛のように進む舞台『悪の花』が鈴木勝秀の脚本・演出で上演された。原作の全16話からなる同名韓国ドラマを約2時間ノンストップの舞台に落とし込むにあたり、鈴木は主人公夫婦を演じる五関晃一と海乃美月の決して揺るがない「愛」にフォーカス。複雑な人間模様が整理され、五関のミステリアス、海乃の一途な懸命さを始め、キャスト陣がそれぞれの個性で役柄を際立たせた様が鮮やか。なかでもキーマンを演じた和田優希が役柄の狂気を体現し、終始緊迫感のある見事な舞台に仕上がった。

writer/

ACO沖縄 戦後80年企画
『国防まんじゅう顛末記』~ここは日本の端っこか、はたまた世界のはじまりか~

演出◇藤井ごう 脚本◇伊波雅子 出演◇当銘由亮 城間やよい 知花小百合 齋藤慎平 比嘉崇貴 宮城はるの 演奏◇寺田英一 伊波はづき

2026/3/21〜26◎ひめゆりピースホール(那覇市)

まんじゅうは国境を越えて

自衛隊のミサイル配備で島が賛成派と反対派に割れる中、田原家は田原一夫(当銘由亮)を中心に、生き抜くため島土産「国防まんじゅう」に家族総出で挑む。反対派として署名を集める由美子を城間やよいが軽妙に演じ、田原里子役の知花小百合は家族を支える一心さを刻む。ほぼオール沖縄の俳優陣が物語にうちなーの息遣いを与え笑いと活気に包まれる。客席には三上知恵監督の映画「戦雲」に登場した与那国島の畜産家・小峯博泉氏の姿もあり、現実と舞台が交差する。終盤、一夫が饅頭を国防でなく「国境まんじゅう」へ変えることで、国境は世界への始まり、人同士が境界を越え世界へ開き繋がれという脚本・伊波雅子の祈りと願いが静かに広がる。

writer/林周一

『ガチゲキ‼』実行委員会 座・高円寺 春の劇場32 日本劇作家協会プログラム
ガチゲキ‼Part3

2026/3/6〜14◎座・高円寺

シェイクスピアをテーマに6団体が40分の新作を上演。エンニュイ、ほしぷろ、
露と枕、劇団鋼鉄村松、
劇団だるめしあん、ZURULABOが参加。2団体ずつの総当たり戦形式で観客投票によって勝敗決定するガチバトル公演!

かけがえのない価値がある6作品

演劇は上演それぞれにかけがえのない価値があり、好き嫌いはあっても、良し悪しはない。そんな野暮な言説をぶっ飛ばす「終演後には観客投票を即開票し、勝敗が決する「ガチバトル」公演」。6団体の総当たり戦ということで悲喜こもごもドラマが生まれており、優勝した劇団鋼鉄村松は12年ぶりの雪辱とのこと。もはや勝敗が演劇よりもドラマになってない? という疑問も野暮なんだろう。演劇は多様であって、見世物小屋のように下世話で外連味のあるものもあれば、数式のように高尚で思慮深いものもあるだろう。シェイクスピアは前者のほうが似合うかもしれないが、懐の深さは折り紙付きである。いずれもかけがえのない上演であった。

writer/黒澤世莉 https://serikurosawa.com/

さかさまのあさ
『遠い故郷から』

作・演出◇宮田みや 出演◇伊藤みさこ 宮越虹海 渥美木綿 きよ氏 八角ちゃん 政井卓実 ませふうか 満 他

2026/3/11~15◎中野スタジオあくとれ

観劇後にタイトルがしみるSF脱出劇

小惑星の墜落が迫り、人類滅亡まで残り数日。脱出船の最終便に乗りそびれてしまった少女・ミチが、思いがけず自分以外の人間たちに遭遇することから物語は始まる。あえて故郷に残った人々かと思えば、脱出を企んでいるカップルもいたりと、メンバーの事情もさまざま。インド映画を彷彿とさせるダンスシーンや、いい意味で「ちゃちい」小道具がコミカルなリズムを与えつつ、自分という命の愛し方、他人という存在の慈しみ方を包容しているように思えた。そんなハートフルさから一転、タイトルに込められた仕掛けにすべての先入観をひっくり返された。フライヤーを読み返して、秀逸な言葉選びに舌を巻かされたことが、もはや心地よい。

writer/ぺぺアジこ https://note.com/ajipepepe

劇団スポーツ
『惑星Bb◉忘れた凡ての時間たち』

作・演出◇内田倭史 田島実紘 出演◇門田宗大 片桐美穂 ヒロシエリ 武田紗保 竹内蓮 田島実紘 内田倭史

2026/2/13~16◎駅前劇場

撮影◇上野哲太郎

優しさ溢れる全力除霊ミステリーコメディ


ある劇団が学生時代の演目「惑星Bb」を上演することに。そこに現れた1人の女性。彼女は当時、上演直前で亡くなった劇団員の幽霊だった! 彼女には本人も気づいていない、何か思い残したことがあるのでは…? 彼らは幽霊の彼女と共に舞台の上演を目指す。忘れたくないこと、思い出したくないこと、それでも思い出してしまうこと。人の頭の中は複雑だけれど、自分が覚えていなくても誰かが覚えてくれているという希望もある。悲しい過去を背負って人生を全うした彼女を、仲間たちは別れの時まで騒がしながらもあたたかく見守り、そしてこの先もずっと思い出すのだろう。コメディタッチながら人の優しさを節々に感じられ、心がふわっと軽くなった。

writer/ひろ https://x.com/hiro165

あるいはエナメルの目をもつ乙女
『墓場、女子高生』

脚本◇福原充則 演出◇イトウシンタロウ 企画・プロデュース・監修◇石澤希代子 出演◇桜木紗瑛 村上弦 星歌 平田ほの香 山田遥野 川勾みち 元山日菜子 石澤希代子 福冨タカラ 谷川大吾 河村凌 ホリユウキ

2026/3/18~22◎テアトルBONBON

撮影◇村山恒平

青春時代の儚さと思い入れの強さ


新米幽霊の女子高生と絶滅危惧種の妖怪ともうすぐ消えるベテラン幽霊のおじさんが墓地でのんきに過ごしていると、女子高生たちがドヤドヤお菓子や飲み物を持ってやって来た。彼女らは新米幽霊の同級生。隣接する学校を抜け出し、何の理由も告げずに命を絶った友人のお墓を囲んで和気あいあい。突然の彼女の自死に対する気持ちの整理がつけられないのだ。どうして成仏できないかと尋ねる彼女に妖怪は「妖怪や幽霊は誰かが思い出してくれるから存在する」とのたまう。オカルト部の活躍により生き返っても、理由を明かさず再び死を選んでしまう彼女。生も死も理由なんてあるようなないような、なんとなくそんな気分、それが青春時代かも。

writer/いちこ

1人の俳優のための5人の演出家による上演V 
桑折現|あごうさとし

『この春に』

作・演出◇あごうさとし 出演◇桑折現

2026/3/14・15◎THEATRE E9 KYOTO、3/18◎まつもと市民芸術館小ホール、3/21・22◎旧宮島村役場、3/26・27◎水性
https://1actor5director.studio.site/ago

撮影◇永原圭介

死者との再会を乞う、儀式的な一人芝居

京都の俳優・桑折現が、5人の演出家が描き下ろした50分程度の一人芝居を、ほぼ隔月で発表する企画の最終公演。現代アート色の強い世界の中でメタフィクショナルな物語を作るあごうさとしの作品は、昨年逝去した音響スタッフにまつわる私戯曲風の舞台だ。彼との思いがけない別れのシーンから始まり、自分の創作を支えてきたのに、いつの間にか疎遠になった彼との記憶が、次々と語られていく。混乱と後悔と懐かしさがないまぜになった心象を、桑折は現世と彼岸の境にいるような、独特のたたずまいで表現。最後に、死者と語らうためにセッティングされたテーブルを見て、演劇というより降霊の儀式に立ち会ったかような厳粛さを感じた。

writer/吉永美和子