
次代を担う若手新進演劇ユニットが、様々に価値観のくずれゆく現代に向け、性差、家族、他者を描く意欲作。シアタートラム・ネクストジェネレーション公演、yoowa『GARDEN』のビジュアル、作・演出コメント、公演詳細が公開された。
次代を担うアーティストの発掘と育成を目的として、世田谷パブリックシアターで2008年より始まった「シアタートラム・ネクストジェネレーション」。18回目となる今回は、yoowa『GARDEN』を2026年12月に上演する。
2021年結成の「yoowa」は、⼤⽉リコ(主宰・演出)、草⽥陸(劇作)を中心に、「ここが、あなたとわたしの融和地点」をテーマに活動するクリエイティブプロジェクト。今回が4作品目の上演となるyoowaは作品ごとに演劇性、演劇の在り方を提示するとともに、演劇における音楽の挿入手法、さらにはミュージカル・音楽劇の可能性を探究している。“「yoowa vol.0“ミュージカル・ミーツ・現代アート”『スプリング・スプリング』」(23年)では新進気鋭の演劇団体の登竜門である佐藤佐吉賞で優秀主演俳優賞、優秀音響賞、優秀宣伝美術賞を受賞。EPAD 2024年度セレクション作品に選出されるなど、今後のさらなる飛躍が期待されている。
今回上演される『GARDEN』は、シアタートラム・ネクストジェネレーションのために書き下ろされた新作で、高台にある裕福な男一家の「血」の匂いが充満する広い庭を舞台とした、世代を越えて受け継がれる喪失と帰属、暴⼒と愛情を描いた物語。
劇作の草田は、これまで女性が主人公となる作品を手掛けてきたが、シアタートラム・ネクストジェネレーションに挑戦するにあたり男性を主人公に本作を描く。演出を手掛ける大月は、「⼥性演出者が、男性作家の描く『男ばかりの家族の物語』を劇場で立ち上げることで、いま一度『男性』『⼥性』という『⼆者』、そして『他者』に対する視線について考えてみたい」と語る。音楽は、yoowaの前作『LAST EVER EVE』に引き続き、Motoiが担当。
大月も参加する音楽プロジェクトで、親しみやすいメロディとユニークな世界観を生み出してきた彼の楽曲にダンスを織り交ぜ、音楽と身体の両面から生命が交錯する「庭」を描き出す。

遊屋慎太郎 田島 亮 笹川幹太 大谷亮介
庭師の楠木を演じるのは、音楽劇『コーカサスの白墨の輪』をはじめ、阿佐ヶ谷スパイダースにも所属し数々の舞台作品に出演する実力派俳優、⼤久保祥太郎。山野辺家の次男・丈一郎の婚約者・奈緒美役には、長塚圭史演出『花と龍』や映画『ビリーバーズ』などで幅広く活躍し、近年は舞台出演も続く北村優衣。山野辺家の三男・冬馬を、繊細な演技力でドラマや映画を中心に活躍する福崎那由他。次男・丈一郎には、ドラマ・映画をはじめ劇団ハイバイ、ゆうめいなどの舞台作品でも個性を発揮する遊屋慎太郎。長男・火呂輝は、ドラマ・映画への出演のほか情熱的な演技で舞台でも活躍する⽥島亮。また、3兄弟の父である山野辺を「東京壱組」の座長として長年活躍した後も様々な作品で存在感を放ち、世田谷パブリックシアター主催公演では『岸 リトラル』以来の出演となる⼤谷亮介が演じる。世代の異なる実力派俳優が集結し、新たな才能が放つ本作『GARDEN』を濃密に描き出す。
さらに、笹川幹太、安座間絆、イトウレイ、勝又貫太、川端優典、倉元奎哉、鈴木竣翔、髙澤礁太の8名が出演。劇団趣向などに出演し、俳優だけでなくダンサーとしても活動する笹川、本作のダンスクリエイションも担当する安座間をはじめ、それぞれの身体性を生かしたパフォーマンスで作品世界を立ち上げる。また、本作の上演にあたってはパフォーマーオーディションも実施。8名が、作品世界の中心にある「庭」に息づくその気配やうねりを身体で立ち上げる“男たち”として作品を彩る。
《GARDEN』ストーリー》
──庭は家の一部、庭は家の全て
高台に建つ山野辺家の庭。
庭師の楠木(大久保祥太郎)は、いつからか、この庭の木の剪定をしている。
この家には父(大谷亮介)と、次男・丈一郎(遊屋慎太郎)、三男・冬馬(福崎那由他)がいるが、長男・火呂輝(田島 亮)は家を出て長く行方がしれない。
山野辺家には今も、亡き母の影と、もう一人の母をめぐる記憶があり、家族の関係は歪み続けている。
ある夜、丈一郎の婚約者・奈緒美(北村優衣)がこの家に迎えられ、祝宴が開かれる──。
【選出コメント】
世⽥谷パブリックシアター芸術監督・白井 晃
26年度に上演を行う「シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.18-演劇-」へ多くの応募をいただいた中から、厳正な選考の上「yoowa」を選出しました。
「yoowa」の特徴は、演出の大月リコさんが生み出す空間と音楽、身体を重視した世界の中に、草田陸さんの文学性が拮抗しながら存在するところです。特に、演劇における言葉と音楽の関わりを、二人の共同作業の中で丹念に模索しているように思えるのです。私たちを取り巻く現代社会の中で、家族や他者との関係やジェンダーの課題を見つめる視線は新鮮で、一見不条理に思える世界の中に、独特のリアリティを感じさせてくれます。若い二人の織りなす世界が、シアタートラムという空間でどのような「次なる現在」を生み出してくれるか期待しています。
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【コメント】
作:草⽥ 陸
ある一家の庭を舞台に、男が潜在的に持つ弱さ、脆さについて描きます。これまで社会がつくってきた性別の役割は崩壊しつつありますが、それでもなお男が男である理由はどこにあるのか。庭がそれを炙り出すさまに、ご期待ください。
演出:⼤⽉リコ
「男女」という社会的記号と、それが先行することで覆い隠されてしまった、ひとりひとりの身体、欲望、呼吸、生命に眼差しながら、作品をつくりたいと思っています。キャスト・スタッフの皆さんとともに、力強い身体と音楽をもって、シアタートラムに、人間と生命が交錯する「庭」を立ち上げます。
【公演情報】
シアタートラム・ネクストジェネレーション vol.18 -演劇-
yoowa『GARDEN』
作:草田 陸
演出:大月リコ
出演:大久保祥太郎 北村優衣 福崎那由他 遊屋慎太郎 田島 亮
安座間絆 イトウレイ 勝又貫太 川端優典 倉元奎哉 鈴木竣翔 髙澤礁太
笹川幹太 大谷亮介
●12/18〜20◎シアタートラム
〈公演サイト〉https://setagaya-pt.jp/stage/32278/



