舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』まもなく開幕! 美弥るりかインタビュー
個性を生かし、明治座創業150周年ファイナル公演を盛り上げたい!
娯楽の殿堂として確固たる地位を築き150周年を迎えた明治座が、その周年記念公演のファイナルとして、舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』を2月6日より上演する。(3月3日まで)
1981年の発表以来、爆発的な人気を博し、時を超えて愛され続けている北条司の漫画「CAT’S♥EYE」を基に三姉妹が明治時代を翔け抜けるという、明治座ならではの趣向にあふれた150周年の集大成に相応しいオリジナル作品だ。
そんな舞台で、三姉妹の傍近くにいる謎めいた人物を演じるのが美弥るりか。宝塚退団後、ジェンダーの垣根を越え、美弥にしかない個性を発揮し、様々な役柄で輝き続けている。そんな美弥るりかに、明治座節目の公演に臨む思いを聞いた「えんぶ2月号」インタビューをご紹介する。
舞台オリジナルの謎めいたキャラクター
──明治座創業150周年ファイナルを飾る、『メイジ・ザ・キャッツアイ』にオファーを受けた時はいかがでしたか?
明治座さんの創業150周年の最後を飾る公演だとお聞きして、劇場として様々な演目を上演し続け150年の歴史を重ねるって本当にすごいことじゃないですか。その最後を盛り上げる熱い思いが詰まった作品に出演できるのは光栄ですし、私にとってもきっとやりがいのある、充実感にあふれた作品になるに違いない、是非参加させていただきたいと思いました。
──作品についてはどうですか?
まず「キャッツアイ」と伺って、歴史ある作品を数多く上演されている明治座さんで、この題材は新しいなと思いました。こうした様々な試みを積極的にされているからこその150周年なんだなと。その上で、今回の台本を読ませていただいて、「キャッツアイ」の皆さんの活躍には、原作やアニメで有名なイメージ通りのものがしっかりとありつつ、時代が明治時代、明治座と絶妙にコラボしている部分がすごく面白くて。きっとお客様にもくすっと笑っていただけるんじゃないかな?と、想像できる要素が散りばめられているのも素敵ですし、私自身が演じる役柄は、『メイジ・ザ・キャッツアイ』のオリジナルキャラクターなので、とても謎めいた人物です。実はもうビジュアル撮影もしているのですが、せっかく原作にない役柄なので、どんな人なのか?は是非舞台をご覧になるまで楽しみにしていてもらえると嬉しいですが。宝塚時代の私をご存じの方には、懐かしいと思っていただけるのではないかなと思っています。
バランス感に優れた河原雅彦演出
──そう伺うとますます期待が膨らみますが、美弥さんは2023年8月に、『ヴァグラント』で明治座に出演されています。歴史ある舞台に立たれていかがでしたか?
楽屋に入ったのも初めてだったので、色々な方がこの楽屋で過ごされてきたんだと思うと身が引き締まりましたし、舞台に立って見える客席の景色に、想像していた以上の重みを感じました。客席に回って色々な席にも座ってみたのですが、1階席の後ろもですし、2階、3階、特に2階席は舞台にとても近くて見やすい印象がありました。『ヴァグラント』ではコラボカフェで私がプロデュースさせていただいたメニューや、好きなおかずを入れたお弁当を用意してくださって、考えている時間もすごく楽しかったですし、お店も充実していて、休憩時間もずっと作品に浸れる。劇場全体で作品を盛り上げて、観劇されるお客様にその一日全てを楽しんでいただきたいという心意気が本当に素敵だなと。中でも出演者としては自分の名前が入ったのぼりが立つのが、すごく嬉しかったので、今回もどんな趣向があるのか今から楽しみにしています。
──演出の河原雅彦さんとは、これまでにも何度もご一緒されていますね。
河原さんの創られる舞台がすごく好きで、作品もよく観に行かせていただくのですが、ご自分のこだわりとお客様が求めるものを、演出のなかで表現されるバランスが絶妙なんですよね。ですから河原さんの作品を観終わったあとは、いつも演劇って楽しいなと思えるので、今回も河原さんが作られるエンターテイメントにとても期待しています。いつもすごく温かい言葉をかけてくださって、私の個性や持ち味を必ず活かしてくださるという安心感も大きいので、早くご一緒にお稽古をしたいなと思っています。
ジェンダーフリーな表現者でいたい
──ご自身の個性というお話で、美弥さんは宝塚退団後ジェンダーにこだわらずに常にフラットでいたいと、非常に幅広い役柄を演じられていますが、そのスタンスについてはいまも変わらず?
そうですね。今回の役もまだ詳しくは言えないのですが、すごくフラットなポジションになると思うんです。こういう役柄をいただけるというのも、自分がジェンダーに垣根を作らずに演じたいと思ってきたからこそなのかな、と感じていて。その気持ちは自分のなかで全く変わりませんし、自分にしかできないもの、自分の個性ってなんだろう、と突き詰めた時に、ジェンダーフリーな表現者でいたいという思いが強くあったので、今後もきっと変わることはないと思います。例えばこの先すごく女性らしい役を演じるかもしれないですし、でも次の作品では男装しているかもしれない。そういった意味でも、皆さんから様々な役柄を任せられると思ってもらえる役者を目指したいです。
──そうした美弥さんならではの役柄を楽しみにしています。では、改めて公演を待っている方々にメッセージをお願いします。
まず「キャッツアイ」三人姉妹を演じられる藤原紀香さん、剛力彩芽さん、高島礼子さんが絶対に素敵だろうと思います。まだお会いできていないのですが、ビジュアルを拝見しても皆様それぞれに個性的で、キャリアも豊富な方たちばかりで、この作品をどう紡いでいかれるのか、私も近くで拝見できることで大きな刺激をいただけるだろうと思っています。そのなかで私の今回の役柄が謎の人物ということなので、皆様に負けないようにちゃんと個性を出していって、作品の味となるような、観終わって印象に残る役者でいられたらいいなと思っています。明治座150周年のお祝いの気持ちを持って、明治座に長年携わってきた方々とご一緒に作品を素敵に盛り上げていきたいので、是非楽しみに明治座にいらして下さい!
■PROFILE■
みやるりか〇茨城県出身。2019年宝塚歌劇団退団後、俳優・アーティストとして始動。舞台だけでなくファッション、ビューティ、ライブなど様々なフィールドに活動の幅を広げている。近年の主な出演作品にTRUMPシリーズ ミュージカル『ヴェラキッカ』、Musical『The Parlor』、音楽劇『クラウディア』by地球ゴージャス、SHOW-ismXI『ベルベル・ランデヴー』舞台『キングダム』など。
【公演情報】
明治座創業150周年ファイナル公演
舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』
原作:北条司「CAT’S♥EYE」
脚本:岩崎う大(かもめんたる)
演出・共同脚本:河原雅彦
出演:藤原紀香・剛力彩芽/染谷俊之
上山竜治/長谷川初範/美弥るりか/高島礼子
●2/6~3/3◎明治座
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)
〈明治座公式サイト〉https://www.meijiza.co.jp/?post_type=info
【取材・文/橘涼香 撮影/中田智章】