KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて、KAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオによる『外地の三人姉妹』が、11月29日に開幕した。(12月10日まで)

演出は、古典から現代戯曲、ダンス、パフォーマンス作品まで幅広く手がけ、現代社会に於ける当事者性をアクチュアルに問い続ける多田淳之介。翻案・脚本は韓国の劇団<第12言語演劇スタジオ>芸術監督で、平田オリザ氏や野田秀樹氏ら日本の劇作家・演出家と数々の作品を共にし、日韓の現代演劇の架け橋として活躍するソン・ギウン。

二人はこれまでも数々の作品で日韓共同制作を重ねてきた。なかでも、2013年にチェーホフの『かもめ』を日本統治下の朝鮮を舞台に翻案し、日韓共同製作にて上演した『가모메 カルメギ』(翻案・脚本:ソン・ギウン/演出:多田淳之介)は、韓国で最も歴史と権威のある東亜演劇賞において「作品賞」「演出賞」「視聴覚デザイン賞」の3賞を受賞。演出の多田は50年の賞歴で初の外国人演出家による正賞受賞となり、KAAT神奈川芸術劇場での日本公演でも大きな反響を呼んだ。

2020年再びタッグを組んだ二人が挑んだのは、チェーホフの三大戯曲に数えられ人気の高い『三人姉妹』。その翻案、『外地の三人姉妹』では、舞台をロシア帝政末期の田舎町から1930年代の朝鮮北部に置き換え、日本軍の亡くなった将校の娘たち三姉妹は「モスクワへ」ではなく、生まれ育った「東京へ」望郷の想いを募らせる。日本語・韓国語に加え、エスペラント語・英語・ドイツ語が飛び交う舞台上で、時代に翻弄され人々を日韓俳優陣の競演で描き大きな話題となった。

3年ぶりとなる今回の再演では、小劇場を中心に活躍し多田淳之介からの信頼も厚い日本側キャストに加え、舞台・映像とジャンルを問わず幅広く活躍し、『焼肉ドラゴン』などの日韓共同作品にも出演経験のある佐藤誓が新たに参加。韓国側キャストには、劇団SCOTへの在籍経験もあり、ディズニープラスで配信中のドラマ「カジノ」への出演など、ミュージカル・演劇・映画・ドラマと多彩な経験を持つイ・ソンウォン、舞台を中心に活躍しながらも近年、映画「悪の偶像」など映像作品にも進出しているアン・タジョンの二人を再び迎える。

《あらすじ》
1930 年代、朝鮮半島の北部にある日本軍が駐屯している都市、亡くなった将校の息子と三人姉妹が住んでいる屋敷。息子は朝鮮の女性と結婚し、姉妹はいつか故郷である東京に戻ることを夢見ている。戦争へ向かう帝国軍人達の描く未来像、交差する朝鮮人の想い、姉妹達の日本への望郷の想いとは……。

【コメント】 
ソン・ギウン[翻案・脚本]
初日が無事に開けて、感慨無量です。三年前、初演の際は新型コロナウイルスの影響で、ソウルからここ KAAT 神奈川芸術劇場まで来ることが出来ませんでした。再演にあたって、ついに本物の『外地の三人姉妹』を拝見することができました。
韓国では、日本のことを「近くて遠い国」とよく言います。私が台本を書いたこの物語は、演出家の多田さんと十四名の俳優、大勢のスタッフの皆さんの丁寧でありながらスマートなお仕事により「遠くても近い話」になっていると思います。
国際間の合作のお芝居はいつも奇跡的に実現されます。この奇跡的な舞台をどうか近く、深く楽しめることを祈っております。

多田淳之介[演出]
無事に三年ぶりの再演の幕が開きました。今作のアントン・チェーホフ『三人姉妹』の日帝朝鮮時代への翻案は、遠くロシアの物語を驚くほどに身近に、自分ごとに感じさせてくれます。日常から離れ少し足を止めて歴史を見ることは、1910 年から続く時間、2023 年現在のウクライナやパレスチナの状況、そしてこれからの私たちの未来を想像するために大切なことだと思います。2009 年から続けているソン・ギウンさんとの創作は、近年は日韓の歴史を扱う事が多いですが、私たちの世代の日韓演劇交流の未来を作ろうと意気投合して始まりました。ソンさんも、韓国の俳優、スタッフたちも、もちろん日本のチームも、日本の観客との出会いを楽しみにしています。ぜひ劇場で一緒に未来を想像してもらえたら嬉しいです。

【公演情報】
KAAT×東京デスロック×第 12 言語演劇スタジオ
『外地の三人姉妹』  
原作:アントン・チェーホフ『三人姉妹』
翻案・脚本:ソン・ギウン 演出:多田淳之介 翻訳:石川樹里
出演: 伊東沙保 李そじん 亀島一徳 原田つむぎ アン・タジョン 夏目慎也
佐藤誓 大竹直 田中佑弥 波佐谷聡  松﨑義邦
イ・ソンウォン  佐山和泉  鄭亜美
●11/29~12/10◎KAAT 神奈川芸術劇場<大スタジオ>
・日韓二ヶ国語上演/日本語字幕付き
〈料金〉一般 5,500 円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※各種割引あり
〈チケット取扱〉チケットかながわ0570-015-415(10:00~18:00) https://www.kaat.jp
〈公式サイト〉 https://www.kaat.jp/d/ThreeSisters2023

【舞台撮影/宮川舞子】