小宮璃央・押田岳

愛せるキャラクターしか出てこない優しい作品!

豪華キャストで描く令和版『西遊記』。本年11月から大阪、福岡、名古屋で公演、2024年1月6日からいよいよ東京・明治座で上演される。孫悟空役に片岡愛之助、三蔵法師役には小池徹平、猪八戒役は戸次重幸、沙悟浄役には加藤和樹、玉竜役は村井良大が扮する。そんな三蔵一行と彼らの前に立ちはだかるさまざまな妖怪たちとの闘いを、演出を手掛ける堤幸彦ならではのLEDや映像技術、フライング、特殊効果などを駆使して魅せる大型アクションスペクタクル作品だ。

物語の中で三蔵一行に次々に襲いかかる妖怪たちもさまざまなキャラクターが顔を揃えている。なかでも松平健と中山美穂が演じる是空国の国王・牛魔王とその妻・鉄扇公主は、三蔵一行との不思議な因縁もあり、その闘いは見どころとなっている。

そして牛魔王の手下として登場する三大仙、虎の化身の虎力大仙、鹿の化身の鹿力大仙、羊の化身の羊力大仙も見逃せない存在だ。その三大仙の中から、虎力大仙を演じる小宮璃央と鹿力大仙を演じる押田岳に、この作品に挑む思いを聞いた「えんぶ12月号」のインタビューをご紹介する。

真面目にやるとけっこう戦える三大仙
 
──『西遊記』という作品との出会いを語っていただけますか。

小宮 僕にとってはずっと身近にありました。マンガの「ドラゴンボール」もそうですが、小さい頃、マンガ版の「西遊記」を、全42巻あるんですが、誕生日に親に頼んで買ってもらいました。そのぐらい身近にあったものなので、出演できるのが本当にうれしいです。

押田 僕もドラマで観ていました。今回、出演が決まって、原作はいつ頃できたんだろうと思って調べてみたら、16世紀頃と書かれていて、そんなに歴史ある作品なんだ!と。それに今まで沢山の人たちがいろいろな形でリメイクしているすごい作品ですから、今回自分たちが、新しいかたちで作れることがとてもうれしいです。

──おふたりが演じる役ですが、三大仙という三人組で、それぞれ動物の名前がついていますね。

小宮 僕は虎の化身、つまり妖怪です。虎をオマージュした動きなども付くと思いますが、自分なりに虎を想像しながら演じたいです。

押田 僕は鹿力大仙で、鹿なんです。

小宮 鹿は難しいよね。

押田 うん(笑)。あと1人、桜庭大翔くんの羊力大仙がいて、三大仙は松平健さんが演じる牛魔王の臣下という役どころで物語に絡んでいきます。

──三大仙の見せ場はどんなところになりそうですか?

押田 けっこうズッコケ三人組なんですよ。でも真面目にやると「けっこう戦えるじゃない?」みたいになるので(笑)、そこは見せ場だと思います。

小宮 この三大仙なら遊べる部分もわりとあるかなと思うので、いろいろやってみたいですね。

──三人がフォーメーションを組んで戦う場面などもありますか?

小宮 あります。基本的に三大仙はセットで出てくるので。

押田 金角銀角と同じようにチームなんです。だからチームとして息を合わせるのがすごく大事だと思います。

小宮 この物語自体テンポが必要なので、三人で良いテンポを刻みたいですね。

──おふたりは今回が初共演だそうですね。

小宮 でも岳くんとは出身が一緒なので、出演している作品は気にしていました。

押田 出身というのは「ヒーローもの」ということで(笑)、僕も毎回どんな若手が出ているのかなとチェックしているので、小宮くんのことも目がキラキラしてて純粋そうな子だなと。そのままで来ているのでよかったです。

小宮 ありがとうございます(笑)。

──ヒーローもの出身でしたらアクションとか得意ですね?

小宮 いえ僕は出演するまで全然やったことがなくて。スポーツもほとんどやってなかったんです。

押田 僕はスポーツは好きでした。でもスポーツでのバネみたいなのは使えましたけど、アクションはまたちょっと違うんです。芝居と一緒に覚えるものなので。

──お芝居の延長としての動き、みたいなことですか?

押田 そうですね。たとえばお芝居の緩急でいえば、殺陣がシリアスにできないと笑いどころまで死んでしまうとかあるので。結局は芝居部分との組み合わせなんです。

小宮 僕は殺陣は映像でしかやってないのですが面白いです。実際には当たってないんですけど、当たっているように見せる迫力感とか。舞台ではそこをどう見せるのか楽しみです。

大人が本気で真面目にふざけにいきます!

──プレ稽古もあったそうですが、感触はいかがですか。

押田 毎日稽古を積み重ねているなかで、どんどん手応えが出てきているので、お客様に喜んでもらえるものになっているんじゃないかと。

小宮 うん! 確信がありますね。見どころも沢山あって、悟空と三蔵さんの絆が芽生えるシーンだったり、牛魔王夫妻の場面だったり、ただ面白いだけじゃなくて愛もあるし、感動します。

押田 どのキャラクターも愛せるんです。愛せるキャラクターしか出てこない。なんか優しい作品ですね。いつも稽古しながら「いいな!」と思っています。 

──押田さんは『巌流島』にも出演しましたが、堤さんから無茶ぶりの経験などは?

押田 『巌流島』は、いきなりぶっ込んでくることはわりと少なかったんです。でも一度だけ、台本になかったセリフを「これ言ってみて」というのは経験してます(笑)。

──今回、舞台経験の多い押田さんが一緒ということで小宮さんは心強いのでは?

小宮 本当にそうです。僕は大きな舞台は二度目なので、すごく頼りにしています。すでにずっと前から一緒に舞台に出ているような安心感があります。

押田 いや、僕がなにもしなくても小宮くんはコミュニケーション能力が高くて、すぐみんなの懐に入っていけるので、すごく可愛がられるんです。

──70公演という長期の舞台ですが、どう乗りきりますか?

小宮 先日、鍼に行ってきました。人生初の鍼です(笑)。稽古が始まったら体のあちこちに負担がかかると思うので、鍼でメンテナンスをしようと。

押田 そうなんだ。僕は筋トレとか走ったりして備えてます。筋トレでは羊力大仙の桜庭くんがすごい筋肉になってて。

小宮 大千穐楽には脱ぐ気まんまんですよね(笑)。

押田 ガチムチは桜庭くんにまかせます(笑)。

──最後に、この『西遊記』を観に来てくださる方へのメッセージを。

押田 何も考えずに楽しんでいただける作品にしようと、スタッフの方もキャストのみんなも、一生懸命作っています。大人が本気で真面目にふざけにいきますので、楽しみにしていてください。

小宮 笑いも沢山あるのですが、その中に悟空と人間の絆もあるし、愛の物語も出て来ます。笑って、感動していただいて、もう一度観たいと思っていただけるような作品です。劇場でお待ちしています。

小宮璃央・押田岳

こみやりお○2002年生まれ、福岡県出身。2020年『魔進戦隊キラメイジャー』で主役の熱田充瑠/キラメイレッド役でテレビドラマ初出演。最近の出演作は、【ドラマ】『土曜はナニする!? イケドラ』、【映画】『グランギニョール』、【舞台】「Shuffle!~まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』~」『GRAVITY』など。10月からドラマ『18歳、新妻、不倫します。』(朝日放送テレビ・テレビ朝日)に出演中。

おしだがく○1997年生まれ、神奈川県出身。2018年、特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』に明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ役を務める。最近の出演作は、【映画】『嗚呼、かくも牧場は緑なりけり』、【ドラマ】『その結婚、正気ですか?』『トリリオンゲーム』、【舞台】『巌流島』『ラヴ・ミー・ドゥー!!』など。映画『水平線』が2024年3月1日より全国公開予定。

【公演情報】
日本テレビ開局70年記念舞台『西遊記』
脚本:マキノノゾミ 
演出:堤 幸彦
出演:片岡愛之助 小池徹平 戸次重幸 加藤和樹 村井良大
藤岡真威人 田村心 曽田陵介 小宮璃央 柳美稀 押田岳 桜庭大翔
山口馬木也 藤本隆宏 中山美穂 松平健
●2024/1/6~28◎東京公演 明治座 
〈お問い合わせ〉東京公演 明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)
〈公式サイト〉https://saiyuki-ntv.jp/

【構成・文/宮田華子 撮影/中村嘉昭】