【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第155回「昼公演と夜公演の間」

怒濤のブシプロ「BURAI3」を無事に終えた粟根です。スケジュールのキツい2作品が続いたのでちょっとノンビリしている粟根です。ノンビリしすぎてこの連載の締切を忘れていた粟根です。今慌てて書いている粟根です。ええと、皆様いかがお過ごしでしょうか。ゴールデンウィークで連休の方も、カレンダー通りで忙しい方も、気温の乱高下にお気を付けてお過ごし下さいませ。

さて、今年に入りましてdopeⒶdope「バンピーラダーズ」とブシプロ「BURAI3」と、二本続けて小劇場作品に出演しました。どちらもほぼ全日が2ステージというキツめのスケジュールでして、舞台稽古を含めれば約一週間に渡ってベッタリ劇場に籠もることになります。
そんなハードな小劇場公演をやりながら気付いたことがあります。それは「昼公演と夜公演の間が長い」というコトです。気付いたというより思い出したんです。そうだったそうだった、小劇場公演ってこうだったよな。昼夜公演の合間のこのノンビリした時間が好きだったんだよな。なんてコトを思い出したりしておりました。

小劇場での公演スケジュールにはよくあるパターンというのがありまして、上演時間が2時間前後で昼公演が2時から、夜公演が7時から、というケースが多いのです。いやもちろん全てがこうというワケではありませんが、このパターンのタイムスケジュールが多い、という話です。
となれば、昼が終わってから夜が始まるまでには3時間ほどの合間があるのです。もちろん片付けをしたり準備をしたり食事をしたりと様々な制約はありますけれども、まあ割とノンビリとした時間が発生するのです。コレがね、実に貴重な時間なのです。

ノンビリとはいっても、もちろんスタッフさんは忙しかったりします。特に衣裳さんは大変です。衣裳を乾かしたり補修したりアイロンを掛けたり大忙しです。そして制作部も受付周りの精算やら物販やら会場準備やらでこちらも大変です。
ですが、俳優部は比較的ノンビリしたもんです。まあ、本番中には全力を出し切っていますから、身体を休めたり精神を整えたりする必要はありますが、その過ごし方は人それぞれです。
一番多いのは寝る人ですかね。楽屋やロビーの片隅で横になって眠る。人によってはそれ用のマットレスやアイマスクを持ち込む人もいます。とにかく疲れた身体を休めたい。何しろ連日の公演で疲れ切っていますからね。ガッツリ寝る人は一時間ぐらい寝てしまいます。ちなみに、私はあまり寝ない方です。気持ちが昂ぶっているのか、寝ようとしても中々寝付けないし、せいぜい10分程で起きてしまうんですよ。
また、ストレッチをする人もいます。昼公演が終わって食事して、少し休憩した後に夜公演に向けて身体を伸ばします。マッサージガンとかストレッチポールとか、様々な器具を使って筋肉をほぐしたり血流を良くしたりします。
後はまあ、本を読んだりゲームしたりスマホで動画を見たり、ホントに人それぞれの時間の使い方をしています。いずれにしても、興奮した身体を鎮めてベストな状態で夜公演を迎えるためのそれぞれのルーティンですので、その人に合った過ごし方をすればいいのです。そして当然といえば当然なのですが、みんなそれぞれ毎回同じように過ごしていますね。まあ儀式みたいなモノですからそうなるよね。
カンパニーによってはお弁当が出ないこともありまして、となればそれぞれ勝手に近所の食事屋さんに食べに行きます。毎日同じだとつまらないので色んなお店に行くのですが、夕方でも営業している店となれば限られてしまうので、食べに行った先で共演者に会ってしまったりするのも「あるある」です。

まあとにかく、俳優部にとってこの昼夜の合間というのは重要な休憩時間なので、おのおの勝手に過ごしながら夜公演に備えているのです。小劇場ではヘアメイクが簡単な場合が多く、衣裳も着やすい現代服だったりするので準備も少なくて楽なのがいいですね。

ただ、これが大劇場での公演になりますと上演時間が3〜4時間(休憩含む)もあったり、スケジュールがタイトだったりして、昼夜間が2時間弱ほどしか無い場合が多いのです。しかもメイクやカツラが大仰だったり衣裳の着付けが大変だったりするとその準備の時間も必要になります。ですので、昼公演が終わって衣裳を脱いでお弁当を食べて一息ついたら、もう準備の時間になっていたりします。休む暇なんかありゃしない。
場合によっては合間が1時間あるかないかって時もありまして、その場合は昼公演の出番が終わった人からカーテンコールまでの間にお弁当を食べたり、カツラも外さずに被ったまま床山さんに直して頂いたり、衣裳を脱いだと思ったら汗取りの下着だけ替えて、すぐにまた衣裳を着たりします。まあ、めったにそんな現場はありませんが、それほどに大変なケースもあるってコトですよ。

ですので今年の小劇場の二作品は、連日2ステージというスケジュール自体は大変でしたが、久しぶりにノンビリした昼夜間を過ごすことができて嬉しかったのです。ちょっと懐かしい気持ちになったりしてね。やっぱり休憩って必要なんだなとか思いましたよ。次の劇団☆新感線「バサラオ」は上演時間が短ければいいなとかも思いました。多分ムリだけど。

本文とは関係ありませんが、こないだ日本橋辺りで見つけた「街燈」のマンホール。これは珍しい。

プロフィール

粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み

【出演予定】
劇団☆新感線「バサラオ」
7/7(日)〜8/2(金)博多座、その後大阪東京公演あり
http://www.vi-shinkansen.co.jp/basarao/

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