明治座「中村雅俊芸能生活50周年記念公演」間もなく開幕! 中村雅俊インタビュー  

俳優、歌手として長きにわたり第一線を走り続けてきた中村雅俊。その芸能生活50周年記念公演が明治座にて上演される。第1部はハートフルなコメディ仕立ての昭和歌謡音楽劇、第2部はヒット曲を中心に明治座ならではの趣向を凝らした演出によるコンサート。二本立てで贈る芸能生活50年の軌跡を振り返る特別なエンターテインメント公演となる。デビュー50周年を迎え、ファン待望の記念公演に臨む中村雅俊に、今の思いを聞いた「えんぶ6月号」のインタビューをご紹介する。

賑やかな音楽劇とライブステージの二部構成

──50周年おめでとうございます。記念公演の第1部は音楽劇ですが、どのような舞台になるのでしょうか。

芝居と歌と踊りで構成されて、笑って、泣いて、楽しんで、とお客様も最初からテンションが上がって見られるような、シンプルで賑やかな音楽劇になると思います。

──上演台本・演出・振付の玉野和紀さん、脚本の堤泰之さんとは、これまでご一緒されたことはありましたか。

お二人とも今回が初めてです。玉野さんと堤さんの間では最初から「音楽劇をやろう」と話していたそうですが、正直最初は「昭和歌謡で音楽劇ってどんな感じなんだろう?」と、まったく想像できませんでした。でも台本を読んでみたら、非常にシンプルな構成で、楽しいものになりそうだなと思いました。ストーリーはちょっと切なく悲しいところもあるのですが、全体的には笑えるものになっています。

──あらすじを読むと、中村さんの出身地である宮城県の女川町をモチーフにしていたり、そこに東日本大震災の話も出てきたりして切なさや郷愁を感じますが、出演者がコロッケさん、久本雅美さんをはじめ、賑やかなメンバーが集結した印象です。

いろんな出来事が起こるけれども、前向きになれる物語ですね。コロッケとマチャミは特に、悲しい場面でもなんだかふっと笑えるような感じもあったりして、それでいて押さえどころは今までの経験でしっかりわかっている人たちだし、他の出演者の皆さんも舞台経験豊富な方が多いので、俺なんかよりもしっかりしているんじゃないですかね。

──第2部はライブステージですが、副題の「look back with smile , look ahead with pride.」という言葉がとても素敵です。

「Look Back in Anger(怒りを込めて振り返れ)」というフレーズから拝借しました。別に怒りを込めて振り返るものは持っていないので(笑)、過去に対しては笑みを持って振り返って、未来に対しては「今までやることやってきたぞ」というプライドを持って前を見よう、というような思いを込めています。

──現時点でどんなステージにしたいと思っていますか。

なるべくヒット曲を歌おうかな、と思っています。ずっと応援してくれているファンの方から、俺の曲はあまり聞いたことがない方まで、様々な方が来るのであれば、少しはヒットしたような曲を歌えば、「この曲知ってる」と思ってもらえるだろうから、今回はそういう感じでいいのかなと思います。

──曲を聞くと当時の思い出がよみがえるという方も多いと思いますが、中村さんは曲と共に思い出すことなど何かありますか。

デビュー曲の『ふれあい』や『俺たちの旅』がヒットした頃は文学座に所属していたのですが、なにしろ劇団ですから「歌うやつが出てきたぞ」とちょっとした事件だったんです(笑)。最初のツアーのときなんて、劇団の担当者が誰も音楽のことを知らないものだから、名古屋の会場はコンサートホールではなくて御園座でした。演劇のノウハウしか知らなかったんですね。でも俺が歌う役者の先駆者になったことで、劇団の後輩の渡辺徹もドラマと歌手で売り出しました。プロデューサーも、曲を作るチームも、バックバンドも俺と全く一緒でしたから、俺がうまく道筋をつけられてよかったかな、と思っています。

自分を褒めたたえる気持ちに初めてなれ

──芸能生活50周年、これまでを振り返ってみてどのように感じますか。

「そうか、俺50年もやってきたんだ」という思いですね。あのときあんなことがあったな、と掘り返せばいろいろ思い出すものもありますが、ふと振り返った50年は本当にあっという間だったなと。でも、何となく「お前、よくやってきたな」というような、自分を褒めたたえるような気持ちに、今回初めてなりましたね。

──この50年ずっと第一線で活躍されて来た中村さんに、伴走してきたファンの方たちにとっても感慨深いものがあると思います。

本当にそうですよね。デビュー当時からファンクラブに入っている人も結構多いので、よく一緒に付いてきてくれたな、と褒めてあげたいですよ。まあ、浮気した子も中にはいるだろうけど(笑)、でも今でもファンクラブに入ってくれていることは本当にありがたいですし、50年近くもファンであり続けるって、なかなかできないことじゃないかなと思います。だからファンの人たちに「ありがとう」と言いたいですね。そしてこの公演で「私たちが育てた雅俊が頑張ってやっている」というのを見てもらいたいです。

──改めてファンの方に何を伝えたいですか。

今まで支えてくれてありがとう、ここまで来たからにはこの先もよろしくね、という感じですかね。気がついたらお互い長い道のりを歩いてきたので、また一緒に歩いていきたいですね。

──45周年の記念公演も明治座でした。当時の思い出は何かありますか。

 演出の鴻上尚史さんが「明治座にはこんなものがある!」と花道とかフライングの装置とか廻り舞台とかに感動して、「雅俊を飛ばそう」とか言ってフライングのシーンをわざわざ作ったり、明治座にあるものは全部使っちゃえ、みたいな感じでしたね(笑)。

──50周年記念公演が終わったあと、今後の展望は何かありますか。

 特にはないですね。今までやってきたことをこれからもずっとやれたらいいなと思っています。自分の人生を振り返ってみると、役者と歌手としてこの世界で意外とやることをやってきているな、と思うんです。これからも、何か新しいことをやるというよりは、これまでやってきたことの延長みたいな感じでやれたらいいなというふうに思っています。

──今回の公演を楽しみにしている皆様へのメッセージをお願いします。

楽しい時間を過ごした、と心の底から言えるような場所を提供しますので、ぜひとも来ていただきたいと思います。

【プロフィール】なかむらまさとし○宮城県出身。1973年、慶應義塾大学在学中、文学座附属演劇研究所に入所。74年、NTV「われら青春!」の主役に抜擢されデビュー。挿入歌「ふれあい」で歌手デビューし、売り上げが100万枚を超える。役者として、TV連続ドラマの主演数は34本。歌手としても、現在シングル55枚、アルバム41枚をリリース。デビューから毎年行う全国コンサートも1500回を超える。またCM、ナレーターなどでも活躍中。

【公演情報】

 中村雅俊芸能生活50周年記念公演  

〈第1部〉『どこへ時が流れても~俺たちのジュークボックス~』

上演台本・演出・振付:玉野和紀 

脚本:堤 泰之

出演:中村雅俊 コロッケ 久本雅美

林 翔太  土生瑞穂・小川菜摘/松田悟志/玉野和紀/

田中美佐子(特別出演)ほか

〈第2部〉『MASATOSHI NAKAMURA LIVE -look back with smile,look ahead with pride.-』

●6/2~18◎明治座

〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)

HP:https://www.meijiza.co.jp/info/2024/2024_06/

【インタビュー◇久田絢子 撮影◇中田智章 ヘアメイク◇鈴木佐知 スタイリング◇奥田ひろ子】

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