宝塚月組トップコンビ月城かなと&海乃美月 初日前囲み会見レポート!

宝塚歌劇月組公演ミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』(作・演出/正塚晴彦)と、レビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』(作・演出/中村一徳)の二本立て公演が、東京宝塚劇場で上演中だ(7月7日まで)。

月組トップコンビ月城かなとと海乃美月の卒業公演でもあるこの公演は、過去からの呼び声を聞くことのできる男女がメアリー・スチュアートの遺品とされる首飾りを介して運命的な出会いを果たし、自分たちがなぜそうした能力を持って生まれたのか?を探しながら、陰謀の渦中に巻き込まれていく様を描いたミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』と、 宝塚歌劇が110年に亘り培ってきた歴史と伝統を受け継ぐと共に、新しい時代、歴史への始まりを祝い、永遠なる宝塚レビューへの想いを綴るレビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』の、趣深い二本立て公演となっている。

そんな作品の初日を前に通し舞台稽古が行われたのち、月組トップコンビ月城かなとと海乃美月が囲み取材に応えて、公演への抱負を語った。

【月城かなと、海乃美月挨拶】

月城 本日はお集りいただきありがとうございます。私たちの退団公演となるこの公演が明日からスタート致します。心をこめて務めて参りたいと思いますので、どうぞ千穐楽までよろしくお願い致します。

海乃 皆様本日はありがとうございます。明日からはじまるこの公演、一瞬、一瞬を大切に、そして月組の皆様と過ごす時間もかけがえのないものだと大切に思いながら、精一杯務めたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

──宝塚ならではの二本立てで、最後の公演ともなりますが、それぞれどう楽しんで舞台に立っていらっしゃるのでしょうか?

月城 (二人で顔を見合わせて笑ってから)オリジナル作品ということで、いまの月組のメンバーだったり、そして私たちの退団ということに、先生方がすごく愛情をもってあてて書いてくださっているので、下級生の時からお世話になってきた先生方や皆様への感謝の気持ちを込めて、最後まで一生徒として、挑戦し続ける姿勢を忘れずに。そういう作品をいただいたなと思うので、一生懸命務めたいと思います。

海乃 私も退団公演なんですけれども、毎日毎日がまだまだ成長できる瞬間だなと思いながらお稽古をしておりまして、大劇場公演中も1回、1回の公演を大切にできたらいいなと思いながら過ごしておりました。東京公演も月城さんや月組の皆様と、その時創り上げるものを大切に、演じていけたらいいなと思いながらやっております。

──お芝居のお役柄を演じる上で大切にしているところは?

月城 お芝居はやはりその時本気で感じてから喋るということ。台詞が難しかったり、台詞数が多かったりするので、どうしてもそれを伝えなければという思いで喋ってしまうのですが、この二人の役柄と言うのは、第六感と言うのか、感じ取れる人なんですね。ですから、それを説明する時に、やっぱり自分の肚に落ちた、しみついた感覚を敢えて言葉にするならば、こういう気持ちで……ということなので、先生からも「あまり急がず、ゆっくりでいいから、しっかり喋って欲しい」とおっしゃっていただいたので、そこを意識したいなと思っています。

海乃 私もお芝居ではその場で生まれる感覚というのを大切にしていて、アデーレとユリウスさんはお互いにしかわからない気持ちだったり、感覚を持っているので、そこはれいこさん(月城の愛称)とこれまで積み上げてくることのできた時間と言うものも重ねながら、演じられたらいいなと思っています。

──ショーでお好きな場面を教えてください。

月城 私はやはり黒燕尾の場面がとても好きで。下級生時代から男役の黒燕尾というものには憧れがありましたので、自分の退団公演で飾りのない黒燕尾で(踊る)曲が途中から「宝塚我が心の故郷」という、聞くだけで自分がいた世界に、自分が思っている以上に愛着を持って過ごしてきたんだな、というものを毎回新鮮に感じながら踊らせていただいております。

海乃 私はデュエットダンスの場面が一番好きです。今までれいこさんとデュエットダンスをさせていただいた時の振りが、要所要所に散りばめられていて、その瞬間を観ているお客様にも思い出していただけたら嬉しいなと思いますし、何よりその瞬間は場面を創るというよりも、お互いの気持ちをすごく感じ合いながら踊らせていただいておりますので、私自身とても楽しく踊らせていただけていますから、その気持ちがお客様にも伝わったらいいなと思っております。

──宝塚への思いと、月組への愛着を語ってください。

月城 (お先にどうぞ、と海乃に促す)

海乃 どうしよう……宝塚のキラキラした世界に憧れて入った場所ですので、自分が残りあと1ヶ月と少しこの舞台に立てる幸せを噛みしめながら務めたいと思いますし、この場所は本当に愛情にあふれた素敵な場所だと感じております。月組の皆様は本当に舞台に対して真摯に向き合っていらっしゃるとても素敵な方たちなので、皆様と過ごす時間、そして月城さんと過ごす時間を大切にしながら千秋楽まで頑張りたいと思っております。

月城 ひとことで言うのは難しいのですけれども、退めるいまになって思うのは、退めてからも「宝塚出身」というのは一生背負っていくものであって、それがいまこんなにも自分を励ましてくれるものになるとは、入った時には想像していませんでした。退めるいま、自分が宝塚にいたんだということを恥ずかしくないように、それに誇りをもってこれからの人生を歩んでいけるように、ここでの仕事をきっちり終えて、そしてこれからの人生も生きていきたいなと思います。月組の皆様に対しては、私は雪組から(組替えで)来ましたけれど、いまは「私がいた組は月組です」と心から言えるので、その環境を作ってくださったのは、迎えてくださった月組の皆様だと思うので、こんなにも「月組の月城かなとです」と思いながら、そしてこれからもそれを胸に置きながら生きていくんだろうな、という、それだけ大きな一生を懸けた場所だったんだなと思っております。

海乃が一番好きな場面として挙げたレビューのラスト、大階段のデュエットダンスの衣装で登場した二人は、終始穏やかに微笑みあいながら、作品に対して、そして自らの卒業に対して真摯に、丁寧にひとつひとつの質問に答えてくれたのがとても印象的だった。それぞれから「私たち」「この二人」「れいこさんと」などの言葉が何度も出るのが耳に残る。お互いをリスペクトしながら支え合い、共に舞台を務めてきた、緻密で文学的な芝居をする美しいトップコンビを改めて惜しむ思いが広がり、1回、1回の公演が輝かしいものになるようにと願う時間になっていた。

【公演データ】
宝塚歌劇月組公演
ミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』
作・演出◇正塚晴彦
レビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』
作・演出◇中村一徳
出演◇月城かなと、海乃美月 ほか月組
●6/1~7/7◎東京宝塚劇場
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター[東京宝塚劇場]0570-00-5100

〈公式サイト〉https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2024/eternalvoice/index.html

【東京公演ライブ中継・ライブ配信情報】

★全国映画館でのライブ中継

【東京宝塚劇場公演】
■日時:7月6日(土)15:30公演[サヨナラショーあり]
■料金:4,700円(税込/全席指定)
■会場:全国各地の映画館
■配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

【東京宝塚劇場公演 千秋楽】
■日時:7月7日(日)13:30公演 千秋楽[サヨナラショーあり]
■料金:5,200円(税込/全席指定)※来場者特典「メモリアルチケット」付き
■会場:全国各地、台湾・香港の映画館
■配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

★ライブ配信

【東京宝塚劇場公演】
■日時:7月6日(土)15:30公演[サヨナラショーあり]
■販売期間:6月29日(土)10:00~7月6日(土)16:00
■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信
■視聴料:3,500円(税込)

【東京宝塚劇場公演 千秋楽】
■日時:7月7日(日)13:30公演 千秋楽[サヨナラショーあり]
■販売期間:6月30日(日)10:00~7月7日(日)14:00
■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信
■視聴料:4,000円(税込)

【東京宝塚劇場 新人公演『Eternal Voice 消え残る想い』】
■日時:6月13日(木)15:30開演
■販売期間:6月6日(木)10:00~6月13日(木)16:00
■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信
■視聴料:2,500円(税込)

詳細 https://www.tca-pictures.net/haishin/live/#eternalvoice-tokyo

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

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