KAATで山本卓卓・作、益山貴司・演出による音楽劇『愛と正義』開幕!
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KAAT神奈川芸術劇場で岸田國士戯曲賞受賞の劇作家・山本卓卓による新作音楽劇『愛と正義』が、益山貴司演出で2月21日に幕を開けた。(3月2日まで)
今作は、人を助けることを生業とするヒーローたちの世界を舞台とした音楽劇。人を助けることを諦めそうになるヒーロー。人を愛することをやめようとする人間。もうすでにそれをやめている怪物。戦うことは傷つけることとわかっているのに戦わなければならない立場。戦うことを放棄する者。死ぬ者。生き残る者。「愛と正義」が両立しない時、人はどうするか。深い愛の正体は、闇深い狂気なのかもしれないという疑心暗鬼。打ち勝って立つのはなにか。あるいは勝たないことが愛なのか。現代の「争い」に言葉と物語と暗喩と愛で応答する。
山本はこの物語を三部作として構成する予定であり、本作は第二部にあたる。主人公となるコチを演じるのは、KAATキッズ・プログラム2023『くるみ割り人形外伝』や『鋼の錬金術師』など幅広い役柄で魅了する一色洋平。コチの妻ソチ役にE-girlsで活躍後ミュージカル『SPY×FAMILY』などで活躍が目覚ましい山口乃々華。コチの相棒カレ役に福原冠、カレのパートナー、カノ役に入手杏奈、さらにコチのいとこであり、後にコチと敵対することになるウチ/アク役に木ノ下歌舞伎や映像作品などで圧倒的な存在感を放つ坂口涼太郎が出演している。
コチは「私」ソチは「あなた」カレは「彼」カノは「彼女」アクは「悪」という、人間の関係のあり方を抽象化した物語を、神話性を持った壮大な戯曲をイメージしながら描き、語り(歌)と対話で展開する。
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この作品の初日を迎えた作の山本卓卓と演出の益山貴司からコメントが届いた。
【コメント】
山本卓卓
たぶん子供の頃から、ずっと憧れて、あたためて、育ててきた作品だったんだなと、ゲネプロを観て思いました。無意識や有意識、人間に感じ取れるあらゆる要素が7人のパフォーマーと、力強くも繊細な演出、振付、音楽、堅実で色彩豊かなスタッフワークによって、いよいよみなさまの目に触れます。どうかこの宝箱を持って帰ってください。何年後かにこの思い出があなたを構成していることに、期待と願いを込めて。風よ吹け!
益山貴司
初日の舞台が、観客の皆様の拍手とともに終わったあと、しばらく私は席を立てなかった。途中まで、演出家の最後の仕事として、感想のメモをとっていたのだが、それもやめてしまった。ただただ目の前で繰り広げられる、壮大な愛と正義の物語にのめり込んだ。今、私は気の利いたコメントが書けずに悩んでいる。ただただ、多くの人々に、この物語を、この舞台を体感して欲しい。そんな願いだけが私の心に沸き立っている。そして、なによりも、あの時の私、高校2年の春、初めて演劇を始めた頃の私に見て欲しい。演劇は、こんなに豊かで楽しいものなんだよ、と言う言葉とともに。
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【公演情報】
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
音楽劇『愛と正義』
作:山本卓卓
演出:益山貴司
音楽:イガキアキコ
振付:黒田育世
出演:一色洋平 山口乃々華 福原冠 入手杏奈 坂口涼太郎 大江麻美子(BATIK) 岡田玲奈(BATIK)
●2/21~3/2◎KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
〈公式サイト〉https://www.kaat.jp/d/aitoseigi
【撮影: 宮川舞子】