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いよいよ開幕間近!新生DIAMOND☆DOGS『White Valentine Show 2025 connect』稽古場レポート!

男性アーティスト集団DIAMOND☆DOGS(以下D☆D)が、第三章スタートと銘打った新体制初となるシアター公演『White Valentine Show 2025 connect』が、3月26日~30日まで銀座の博品館劇場で上演される。

2023年11月、結成20周年を迎えたのを機にチームとしての活動を休止し、個々それぞれの活動で己を高め、吸収するための充電期間に入っていたD☆D。この間に今度は創り手としての道に挑戦していきたいとボーカルの新開理雄が卒業。今後のD☆Dが目指すところをメンバーが断続的に話し合ったなか、事務所の代表に就任した和田泰右の「新しいD☆Dを創りたい」という熱意から、新メンバーオーディションが開催された。

このオーディションを勝ち抜いた矢崎諒、井川拓哉、角野楓真、三瓶賢人、高橋永遠の5人を新たに「D☆D Team Novel」として迎え、現メンバー東山義久、中塚皓平、和田泰右、咲山類、廣瀬真平、Homerの「D☆D Team Original」との2 Team制を擁する「D☆D第三章」となる新たな歴史がスタートした。

その初のシアター公演が、D☆Dの大人気コンテンツである「Valentine Show」シリーズに連なる、『White Valentine Show 2025 connect』として、D☆Dの聖地である博品館品館劇場で開幕するのを前に、「Team Original」と「Team Novel」がconnectを目指す稽古が精力的に続いている都内稽古場を訪ねた。

稽古場に一歩足を踏み入れた瞬間、カーテンが引かれ灯りも絞った状態で、とあるシーンの稽古が続いているのが目に飛び込んできた。おそらく「Valentine Show」に馴染んだ人になら「あっ!」と気づくだろう、特徴的なものが込められた場面で、撮影に適した明るさではなかったこと以上に、あぁこうなるのかという想いにカメラを取り出すのも忘れて見入ってしまう。敢えて非常に単純化した言葉で言うなら格段に人数が増えたことで、円を成し、時に美しくつながってメンバーが創り出すラインがとても長い。それによって、これまでを強烈に想起させる振付でありつつ「D☆Dは11人になったんだ!」という頭で理解していたものが、視覚的な迫力として目の前に一気に現れてきた。中でも、今回の『White Valentine Show 2025 connect』は、6年前のD☆D加入以来多くの振付を手掛けてきたHomerが演出の中心となって創る初めての作品で、Homerの意図するところを、やはりクリエイト面を多く手掛けている中塚皓平はもちろん、リーダーの東山義久がどこに身体の重心を置いて形を作るか、一見できる形は同じでもこうした時と、こうした時では位置が揃わない、などの細かい指示を自ら実践しながら新メンバーに根気よく伝えているのが印象的。この作品のテーマが「connect」Team OriginalとTeam Novelを“繋ぐ”ものなのだということが早くも鮮明になっていく

そこから短いインターバルを挟んだ間にも、Team Novelのリーダーでボーカルの矢崎諒と、同じくボーカルの井川拓哉に、ダンス経験が豊富な角野楓真がリードして振り確認を続けているのをはじめ、稽古場で数か所にかたまりながら、それぞれのチェックに余念がなく、誰もが止まることがない

そんな稽古場に外の灯りも入ってはじまったのがオープニングナンバー。基本的な振付やステージングはひと通りついていたが、まだ全員の身体に入っているという段階ではないようで、位置を揃える、細かい手の置き方、重心のかけ方などを振付の木野村温子が根気よくくり返しながら一つひとつ確認していく。特に振付が三組に分かれていて、振りに入るタイミングが少しずつズレていき、それがある地点で全員揃う、という流れでは、例えば二組目はここでツーカウント待つ、などが必要になり、自分のことは覚えていても、いざ目の前にいるメンバーが違う振りを踊っている折には、どうしてもツラれるという現象が起こってしまい、かなりの根気が必要。廣瀬真平が「大丈夫?」とひとつずつ三瓶賢人や、高橋永遠に声をかけ確認している最中、外から「ところで類さん、ほとんど踊ってなかったね」と、Originalボーカルの咲山類にいきなりツッコミが入り「自分のパートは覚えてるんだけど(前にいる)真平と違うから…」「えっ、違ってないよ」「そういう意味じゃなくて」等々、ワーワーと言い合う姿に、場の空気が一気にほぐれていく。Team OriginalもTeam Novel も隔てなく、賑やかに笑い合う姿に、良い雰囲気で稽古が進んでいるんだなとの実感があった。

そんな振り確認では非常に細かい指示が飛び交い、発展途上を感じさせた場面が「一度通してみましょう」となった時には一気に流れるように動き出したのには驚かされた。先ほどさんざんやりとりしていた何組目がどう動くか、という振りも難なく進んで一瞬にして総踊りに突入していくのに感嘆させられる。Team Original がそれぞれソロでも踊るなかに、Team Novelが颯爽と入ってくるなど、ここからショーがはじまる!という高揚感と躍動感にあふれる場面にワクワクする。

とは言え、一度ポーズで決まったあとは、再び細かい精査がはじまる。このカウントでもう1歩進んでいて欲しい、移動が間に合うか?など、小返しが繰り返され、その度に場面が引き締まっていくのがわかる。「もっと大きく踊りたい」「前後に気をつけて」などの確認のあとに、Homerと木野村が良いんじゃないか、と話しあったあとも中塚皓平から「もう1回やらせて欲しい」と要望が出るなど、誰もが非常に積極的。「このポーズはどこで止まるか、どう見えているのか、左の人に一人ひとり見てもらって!」という東山からの指示もあり「最初のキメボーズだから絵面をしっかり決めたい」という「見せ方」へのこだわりも噴出。どう見せるかはある程度個々に委ねられてもいるようで、センターの東山を挟んで、上手、下手のメンバーが個々高い位置のポーズで決める、低く腰を落として決める、などを、それぞれが実践した時、バランスを見ていた木野村の「下手側もう一人低くなって欲しいかな」との言葉に、和田がパッと低い位置にポーズを変えると、突然東山が「じゃあ…」と自分も低くなり「センターがそれはおかしいから!」と、ほぼ全員から総ツッコミが入り、爆笑が広がった。稽古に集中する時間、思いっきりふざける時間の緩急が非常にハッキリしているD☆Dの稽古場らしさが、11人になっても全く変わらないことが頼もしい。咲山、矢崎、井川の新ボーカルの三人が、何度も声を合わせている姿も印象的で、ここから本番に向けての積み重ねで、新生D☆Dがどんなステージを見せてくれるのか、大きく期待が膨らむ時間だった。

最後に、Team Original の面々が、Team Novel を迎えての稽古場でいま感じることや、11人になった新生D☆Dの目指すところ、公演への抱負を語ってくれた(Team Novel メンバーの抱負は現在発売中の「えんぶ」2025年4月号に掲載されているので、併せてお楽しみいただきたい)。

Homer D☆Dに入って6年経って、振付はこれまでもたくさんさせていただいてきたのですが、企画から演出にトータルで関わらせてもらうのは今回が初めてで。D☆Dが1年間充電をした、その期間に得たものを込めた演出と、更に新しく入ってきた子たちとconnectしていくというのが、この『White Valentine Show』のコンセプトなので、古き良きものに対してはきちんとリスペクトしつつ、新しい子たちが来たからこその、今までできなかったことをミックスアップしていけたらなと、責任を感じながらやってきました。でもOriginalメンバーはもちろんですが、新メンバーもとても頼もしいので、僕一人が頑張るというのではなくて、皆で積み上げていく、特にタイトルのconnect、繋がりを大切にやっていけたらいいなと思っています。

中塚皓平 僕がD☆Dに入った時には、一番年下だったんですが、いまTeam Novel で1番年下の子が二十歳で、十八歳違うんですよ。だからまず初々しさがありますし、僕が築き上げたものを彼らに色々と教えるだけでなく、まだ稽古中ですが全然世代が違う彼らと一緒にやることで起きる化学反応も楽しみながらやっています。「いまの子ってこういう感じなんだ。だったら僕がどう包んであげられるか」ですとか、彼らが“花”だったら僕がどんな“茎”になれるのか、それを模索しているのが楽しいですね。今回はHomerが先頭を取ってやってくれているので、それにも今までにない新鮮さを感じてやっていますから、全く新しいValentine Showを楽しみにしていただきたいです。

和田泰右 新メンバーがこれだけの人数一気に加わりましたので、どう観ていただいてもまず新鮮に見えると思うのですが、そのなかでD☆Dが守ってきたもの、ブレなかったものを舞台上で表現できればと思います。まず表現を楽しむ、というのがD☆Dの原点なので、それをまっすぐに見せられたらなと。新メンバーとの稽古は刺激があってとにかく楽しいんですよ。「この子にはこんな面があったんだ」という新しいもの、個性に気づく瞬間が毎日あって、稽古場の空気感が良い意味で常に動いているので、是非本番を楽しみにしていただきたいです。

咲山類 (Team Novelのメンバーと)意外と話が通じるんだな、とまず思いました(笑)。なんせ一番下、二十歳の子とかいるんで、世代的には二回りくらい違いますから、稽古に入るまではジェネレーションギャップが心配だったんですけど、意外とスッと入れて良かった!と思いました。みんな純粋だし、真っ直ぐで、あぁ自分もこういう時期を通ってきたんだなと、僕たちOriginalのメンバーにも良い刺激になっています。歌も教える立場ではあるのですが、教え過ぎると僕の表現になってしまうので、核の部分はしっかり固めつつも「その歌い方も意外とアリだね」という、彼らのオリジナリティを大切にすることを心がけています。僕の教科書にはなかった歌い方だけれど、確かに最近の歌い方でいいな、僕も今度何かで使おうかな?という感覚で絶対にいたいなと。だから声を合わせていても楽しいですし、皆さんにも是非新しいハーモニーを聴いていただきたいなと思っています。

廣瀬真平 僕は6年前2019年にD☆Dのメンバーの一員になって、その時にも歴代のメンバーだった小寺利光さんから引き継がせていただいた振付や、これまでの楽曲がたくさんあって、皓平さんや泰右さんから様々なものを教えていただいてきました。その当時を思うと、僕が伝える側になるとは想像もしていなかったので、いますごく責任を感じます。しっかりと伝えたいという気持ちと、ある意味先輩たちの立場に自分がなったんだなという重みを感じていて。本番に向けても前列で踊る時には背中を見せて「一緒に行くよ!」という気持ちですし、僕らが後列で見ている時は、LIVEとはまた違ったものを新メンバーに発揮してもらって、楽しみたいなという気持ちでやっているので、お客様にも楽しみにしていただきたいです。

東山義久 今まで7人だけでやってきたショーですし、もちろんゲストに入っていただくこともありましたが、それはあくまでもゲストとD☆Dで創っていくという形でしたので、一気に11人でというのは新鮮ですね。今はまだ稽古途中なので、Originalメンバーと新メンバーが分かれて見えると思いますが、本番を迎えるまでにはD☆Dが11人になったんだという、絶妙に混ざり合った居方が出来たらいいなと思っています。真平やHomerが入ってきた時にもそうだったんですが、新メンバーは得意なジャンルと、全く初めて接するジャンル、得手不得手がハッキリしている段階ですし、ボーカルも類と三人になりましたが、声のバランスなども含めて、本番に向けて調整していきたいです。芝居要素もあるひとつのステージを創っていく上で、僕らが彼らに合わせていくというよりは、彼らにきっちりついてきて欲しいですし、11分の1だけれども、1分の11にもなるというのがD☆Dの基本なので、皓平やHomerだけではなく、僕らOriginal全員で気づいたことは言っていきながら、ひとつになっていけたらなと。とにかく皆熱心で、今日の稽古は終わりとなったあとも、自主的に遅くまで残ってずっと皆で稽古しているので、これが積み重なっていけば本当に良い初日を迎えられるんじゃないかと思います。今回は彼らの為のValentine Showだと思って創っていますので、D☆D第三章のスタートに相応しいステージを是非ご期待いただきたいです。

【公演情報】
DIAMOND☆DOGS presents 『White Valentine Show2025 connect』
構成・演出・作詞・振付:D☆D
作詞・作曲・音楽監督:TAKA
作曲:サカノウエヨースケ
振付:木野村温子
出演:DIAMOND☆DOG Team Original
東山義久
中塚皓平 和田泰右 咲山類 廣瀬真平 Homer
DIAMOND☆DOG Team Novel
矢崎諒 井川拓哉 角野楓真 三瓶賢人 高橋永遠
Musician:
蛇石徹(Bass)三輪達宏(Guitar)井上順乃介(Drums)吉田蒼(Keyboard)
●3/26~30◎博品館劇場
〈料金〉10.000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉博品館劇場 03-3571-1003
〈公式サイト〉https://www.hakuhinkan.co.jp/theater/archives/event/pr_2025_03_26

【取材・文・撮影/橘涼香】

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