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八代目尾上菊五郎襲名披露・六代目尾上菊之助襲名披露「團菊祭五月大歌舞伎」「六月大歌舞伎」特別ビジュアル公開&お練りレポート

五月『京弁天娘女男白浪』特別ビジュアル
五月『京鹿子娘道成寺』特別ビジュアル
五月『京鹿子娘道成寺』特別ビジュアル

松竹創業百三十周年を迎える令和7(2025)年、5・6月歌舞伎座において、尾上菊之助改め 八代目尾上菊五郎襲名披露、尾上丑之助改め 六代目尾上菊之助襲名披露「團菊祭五月大歌舞伎」(5月2日~27日)、(6月2日~27日)「六月大歌舞伎」がいよいよ開幕する。
その襲名披露の「團菊祭五月大歌舞伎」、「六月大歌舞伎」の特別ビジュアルが公開された。

六月『寺子屋』特別ビジュアル
六月『連獅子』特別ビジュアル
六月『車引』特別ビジュアル

また3月31日には、この襲名披露に先駆けて、「八代目尾上菊五郎襲名披露・六代目尾上菊之助襲名披露 お練り」が行われた。そのレポートもご紹介する。

【お練りレポート】
朝から花冷えで小雨のぱらつくなか、神田明神の一角だけは熱気にあふれていた。歌舞伎座での「團菊祭五月大歌舞伎」「六月大歌舞伎」にさきがけて、八代目尾上菊五郎襲名披露・六代目尾上菊之助襲名披露の「お練り」が行われたからである。お練りの始まる1時間以上前から、神田明神の参道にも境内にも多くの見物客がひしめき、人気と注目ぶりがうかがえた。

お練りは神田明神の鳥居前からスタート。出発前に記念撮影が行われた。新菊五郎・新菊之助のほか、一門のお弟子さんや家族(もちろん寺島しのぶも)も一緒にカメラに収まり、みんな嬉しそうな表情を見せていた。

いよいよお練りが出発。御神輿が出る時の発声と拍子木の合図は、新菊五郎。親子ふたりと一門・関係者の列を、お祝いに駆けつけた総勢250人ほどが先導する。伸びやかな木遣りに纏もち、軽快な祭囃子に威勢のいい御神輿、華やかな新橋芸者衆…まるで、音羽屋のための神田祭である。見物からの大きな拍手や歓声とともに「音羽屋ァー!」「待ってましたッ!」「よっ、日本一!」の大向うも飛び交った。

お練りは隨神門を越えて境内へ。山部泰嗣の大太鼓の音で、新菊五郎・新菊之助のふたりが改めて門のところに姿を見せる。ここで特別出演のラッパー・Zeebraが、神田明神の御祭神の一人・平将門に扮し、「トーザイ、everyone!」という印象的なフレーズから始まる口上と、音羽屋代々の歴史を軽快なラップに乗せて語り出す。御神殿で泰然と待ち受ける当代(七代目)菊五郎と、まっすぐ向かい合うふたり。現代の姿に戻ったZeebraの「いざmove on!音羽屋 襲名披露! ここから未来へ行こう!…」のライムにあわせて、親子が七代目のもとへ一歩ずつ歩んでいく。師匠であり、大先輩であり、父であり、祖父である、大きな存在に少しでも近づこうとするかのように。

3人が対面し、揃ったところでそれぞれから挨拶があった。挨拶の間も「八代目―!」「六代目―!」などの大向うのエールが掛けられた。

現(七代目)・菊五郎 本日は桜満開のなか、神田明神様のお許しを得て、八代目菊五郎、六代目菊之助の襲名を祝うお練りを催したところ、大勢の方にご見物いただき、まことにありがとうございます。御神輿、木遣り、そして纏を手伝ってくれた頭の皆さん、担ぎ手の皆さん、本当にありがとうございます。お練りに華を添えてくださった新橋のお姐さん方、ありがとうございます。神田囃子の皆様、ありがとうございました。そして只今は、軽妙な語り口でZeebraさんが紹介してくださいました。本当に面白かったです(笑)。このお練りをもって、八代目菊五郎、六代目菊之助の誕生です。どうか皆様、末永く両人をご贔屓お引き立て、ご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。

新・菊五郎

新・菊五郎 隨神門から父・七代目菊五郎が待つ本殿へ一歩一歩倅と歩みを進めるとともに、八代目菊五郎、六代目菊之助になる決意が固まり、高潔な気持ちで、身が引き締まる思いで、この場所に立たせていただいております。神田明神様の歴史は1300年、音羽屋の歴史は300年。「変わらないために変わり続ける」という言葉が、神田明神様にはあります。それは音羽屋も一緒です。本道(ほんどう)を守り、異なる文化と交流することで起きるエネルギー。伝統と革新から生み出す力。代々の菊五郎は力を蓄え、歌舞伎に貢献してきました。本日も、私と同じ生まれの年代であるヒップホップでZeebraさんが音羽屋の歴史を語ってくださり、太鼓奏者の山部さん、劇団音楽部の鳴物、異なる分野が同じ時代に同じ場所で融合する。これは歴代菊五郎が様々なことを試みてきたことと繋がり、新しい時代の菊五郎にとってこのような喜びはございません。これからも攻め続ける歌舞伎の精神、かぶく精神を忘れず、先人たちの教えを守り、力強く、八代目菊五郎、六代目菊之助として進んでまいります。

新・菊之助

新・菊之助 このたび、祖父と父が名乗っておりました菊之助の名跡を、六代目として襲名いたすことになりました。本日のお練りで、菊之助になる決心が固まった気がします。これからもいっそう努力をして、名前に負けない役者になります。どうぞよろしくお願いいたします。

続いて御神殿のなかで、すがすがしい緊張感のなか成功祈願が粛々と行われ、その後、新菊五郎と新菊之助によって奉納舞踊『七福神』が演じられた。新菊之助は「名前に負けない役者に」との約束を果たしてくれるだろうと思わせる、堂々とした踊りをみせた。

お練りがすべて無事終了した後、新菊五郎・新菊之助の囲み取材が行われた。

【囲み取材】
──お練りが終わって、どんなお気持ちですか?

新・菊五郎 八代目菊五郎、六代目菊之助、これからがスタートです。本興行が始まってからが本当のスタートですが、今日は御神前に報告させていただき、心の準備を整わせていただきました。

新・菊之助 御神前で『七福神』を踊らせていただき、神様も喜んでもらえたと思います。襲名への菊之助になる決心が固まった気がします。

──お練りの前は緊張しませんでしたか?

新・菊之助 大勢の方の前で踊るのが、とても緊張しました(隣でふふ…と笑う新・菊五郎)。

──今日は寒いのにたくさんの人々が来てくださいました。

新・菊五郎 一昨日に開花宣言ということで、桜がきれいで…。天候が心配で、お客様もお寒い思いをさせてしまいましたが、本当にたくさんの方がおいでくださり、「八代目」「六代目」と声をかけてくださったのが励みになりました。

──八代目と皆さんに呼んでいただけるのはどうですか?

新・菊五郎 七代目もまだまだ元気ですし(笑)、七代目と八代目が並び立って、音羽屋一門で頑張っていきたいと思います。

──たくさんのファンの方が来てくださいましたが、どうですか?

新・菊之助 雨の中でもこんなに大勢のお客さんたちがいらっしゃったのは、本当に嬉しかったです。

──Zeebraさんのパフォーマンスもすごかったですね。

新・菊五郎 最初、お練りに来てくださったお客様に音羽屋のことなどをどなたに説明していただいたらと、父から提案がありました。友人の小橋賢児君にアドバイザーに入ってもらったのですが、小橋君からラップで音羽屋の歴史、お練りについて語っていただいたらとご提案いただき、それから事が進みました。Zeebraさんは、私の父とZeebraさんのお母様が昔から交流があり、私も小さい頃にZeebraさんとお会いしたことがあるようで、弟さんとよく遊んでいたのですが、時を経て襲名の折にZeebraさんに来ていただいた。太鼓の音も着到(ちゃくとう)といって、歌舞伎が始まる30分くらい前にアナウンスの太鼓をたたくのですが、それで音羽屋の歴史を語っていただきました。文化と文化の掛け合わせ、ただ目立ちたいからでなく、「ノリ」も歌舞伎から発生した言葉ですし、韻を踏むのも歌舞伎の台詞でよくあることで、伝統と現代のラップという意味のある掛け合わせでお客様に楽しんでいただいたことが、良かったのではないかなと思います。

──七代目が待つ本殿へ歩いていく時の気持ちを改めて教えてください。

新・菊五郎 父が七代目で、本殿で待っていてくれましたが、そこに向かってZeebraさんが「さあ行こう」と言ってくださり、ふたりで歩いていく時は気持ちが引き締まったし、これから自分が八代目を継ぐんだなという実感が出てきました。

──お祖父様のほうに向かって歩いていく時の気持ちは?

新・菊之助 Zeebraさんのラップのなかで歩くのは、自分がすごい人のように勇気が出ました。迫力があってすごかったです。

──神様の前ではどんなことをお祈りした?

新・菊之助 やはり襲名が今年の5月から来年の6月まで無事に終われることを、成功祈願しました。

新・菊五郎 初代さんが菊五郎を名乗ってから約300年。この年に松竹130年のメモリアルでもありますし、タイミングが重なった時に襲名させていただき、5月から始まる公演に向けて親子で稽古を重ねて、お客様に良い舞台をお届けできるよう、多くの方が日本の伝統「歌舞伎」を知り、楽しんでいただけるよう舞台づくりをしたい。

──お祖父様とお父様が名乗った名前を受け継ぐと仰っていましたが、プレッシャーは?

新・菊之助 父と祖父がここまで大きくしてくれた名跡なので、私も色んなことに挑戦して、大きくしていきたいと思います。

──『七福神』を観たら、すごく頼もしい後継ぎではと思いました。ご自身の名乗ってきた菊之助を引き継ぐ気持ちは?

新・菊五郎 私は、父・菊五郎が菊之助だった時代がとても偉大だと感じていて、その父に少しでも近づきたく、自分でも努力研鑽してきました。その名を倅が受け継ぎ、菊之助という名前をどう育ててくれるか。倅と一緒に修業しながら育てていきたい。

──ご自身はどういう八代目になりたいですか?

新菊五郎 初代さんからの歴史、功績をすべて受け継ぐつもりで、そして父・七代目が大きくした名前をさらに大きくできるよう、古典を守りつつ、新作も作りながら、家の芸で途絶えているものを復活しながら、大きくしていきたいと思います。

──お練りを皮切りに、團菊祭など襲名披露が続きます。意気込みをお願いします。

新・菊五郎 襲名披露とは、先人たちから名跡を受け継ぎ、技や心を受け継ぐものです。しかし、私たちだけではどうにもならない。諸先輩方、同輩の皆様のお力をお借りして、そしてご来場いただくお客様のお力をお借りして、1年間の襲名披露を頑張ります。

新菊之助 今回の演目は、梅王丸(『車引』)や『道成寺』など、数々の大役がありますが、子どもだからといってその役を崩さず、ちゃんとお稽古をして、役に入り切ることを目標にしています。

──ファンの方へメッセージを。

新・菊五郎 本日、神田明神にてお練り、成功祈願をさせていただきました。團菊祭において、八代目菊五郎、六代目菊之助がスタートします。ぜひ劇場にお越しください。そして我々親子を末永くお見守りください。よろしくお願いいたします。

また、同じ日の夕刻から、ホテルオークラ東京で「襲名を祝う会」が催された。高円宮妃久子様をはじめ、各界の後援者、歌舞伎俳優たちも含めて多くの人々がパーティーに集まり、当代(七代目)菊五郎、新菊五郎、新菊之助の門出を祝した。

【公演情報】


松竹創業百三十周年
尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
「團菊祭五月大歌舞伎」
2025年5月2日(金)~27日(火)◎歌舞伎座
昼の部 午前11時~
夜の部 午後4時30分~
【休演】12日(月)、22日(木) 
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/890

松竹創業百三十周年
尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
「六月大歌舞伎」
5月14日(水)チケット発売予定
2025年6月2日(月)~27日(金)◎歌舞伎座
昼の部 午前11時~
夜の部 午後4時15分~
【休演】10日(火)、19日(木)
【貸切】昼の部:6日(金)、夜の部:4日(水)、8日(日)、20日(金)[※幕見席は営業]
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/891
  

 
【レポート取材・文/内河 文  写真提供(C)松竹】

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