バロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサート、石井一孝・矢田悠祐インタビュー

作曲家ヴィヴァルディの父子の物語を名曲「四季」とともに贈るバロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサートが、5月8日~11日、新国立劇場 小劇場にて上演される。
ヴィヴァルディの「四季」は、誰もが聞き覚えのあるヴァイオリン協奏曲で、春夏秋冬それぞれに3楽章ずつ計12楽章から成り立っている。 この曲が産まれるまでには、作曲家のアントニオと、父ジョヴァンニの父子で育んだ栄光と希望、挫折や葛藤の感動秘話があった。 今作では、その父子の物語をドラマ仕立てのコンサートとして、歌と生演奏で名曲の誕生をひも解いている。
この舞台で、父ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ役の石井一孝と彼の自慢の息子アントニオ・ヴィヴァルディ役の矢田悠祐のインタビューが届いた。

時代を超えても父と子の関係は変わらない
――稽古が始まり、作品に対して印象の変化などお聞かせください。
石井 もう楽しみしかないですね。イメージはできてたんですけど、想像以上にみんな上手くて、いい声の人ばっかりだよね。すごく彩り豊かだし、感情が入ってくるし、出演者は5人だけど、何役もあるんですよ。特に北翔さんと宮原さんがいろんな役を演じられるので人物相関図が欲しくなりました(笑)うちの息子(矢田)が美形な上に優れているので、2人で頑張って紡いでいきたいです。
矢田 最初にお話をいただいた時、クラシック音楽のお話なので固いイメージを想像して、ひとりで台本を読んだ時も想像しながらけっこう難しい印象でしたが、演じる方が読んでくださると全く違いました。
ファンの方にどんな舞台ですか?と聞かれた時に、音楽があるから初めて観る方でもわかりやすいと思いますって、言っていた通りになりそうです。家族の歴史を追うとともに、音楽と皆さんのお声を存分に楽しんでいただけると思います。
――稽古でパパの圧をとても感じました。
石井 (笑)親子の確執が出てきて、お父さんが果たせなかった一流の作曲家になるという夢を息子に託します。親のありがたさと鬱陶しさと腹立つ感じ、でも本当は父のことをちゃんと思ってくれていたり。これは時代を超え、今でも普通にある話で、父と子の関係って変わらないよね。
――お互いの印象はいかがでしょうか。
石井 ビジュアル撮影の時は赤い髪の美形の若者と思っていたんですけど、先日歌稽古をさせてもらって、今日本読みをして感じたのは、すごくセクシーな俳優さんだなって。声も色っぽいって言われない?色気があるよね。いくつだった?
矢田 34です。そうですね。ありがたいことに(照)そう言っていただくこと多いかもしれない。
石井 俺57だから、実際の親子の年齢でもおかしくないね。役者にとって色気はすごく大事で、この色っぽい声も魅力だと思う。
矢田。嬉しいです、ありがとうございます。僕も初めてビジュアル撮影でお会いした時に、「息子よ!」っていう感じで迎え入れてくださったんです。大先輩に会えるんだと思ってちょっと緊張したんですけど、もうお父さん!ていけるような雰囲気で、とてもホッとしたのを覚えています。そして父と息子としてお芝居させていただいて、すごく包容力があって、深みのある声で導いてくれる。でも物語の中ではぶつかり合ったりもしないといけないんです。
そうなるにはやっぱり親しくなるところからはじめないと、と思いますので、よろしくお願いいたします!

いろんな役を演じる北翔さんと宮原さんは要チェック
――本作では書き下ろしの曲がたくさんあり、楽曲も見どころになると思いますが、稽古に入り、ご自身が見てほしい部分や注目して欲しいところは?
石井 やはり親子の関係と、他の3人の方々も見てほしくて、宮原さんがフランコや興行主とかいろんな役を演じますが、声色を変えられて演じていて、それは面白くて!俺が客席にいたら、きっとクスッとなったりすると思うよね。役者の腕を見られる。矢田くんと俺は基本的に1役しかやらないけど、いろんな役をやってる北翔さんと宮原さんは見どころだと思います。
矢田 カタカナの名前の方がいっぱい出てきます。今日セリフを言った後に、あ、この人あんまり好きな人じゃなかった、言い方間違ったっていうのがありました(笑)。
石井 そうそう!(笑)それ俺もある。演じ分けも面白いと思いますね。役者はこういうの大好きなんで、とっても楽しい。
矢田 北翔さんは男性の役を演じてきた方ですし演じ分けが見どころです。
石井 そしてね、後半に彗星のようにやってくる辰巳真理恵ちゃんが演じるアンナ・ジローという、実在のプリマドンナ歌姫もまたすごい重要。真理恵ちゃんのソプラノの歌を早くフルで聴きたいですね。今回クラシック経験があるのは、彼女と宮原さんかな。いろんなジャンルの方々の化学反応が楽しみだね。あとはね、アンナ・マリアとアンナ・ジローのアントニオをめぐる悲喜こもごも、息子を取り巻く女性関係が面白くって、ここも見どころだよね。
矢田 ぐいぐい推しに強いアンナ・ジローと、控えめなアンナ・マリア。裏主役みたいな2人です。
石井 矢田くんが素敵なことが罪という(一同笑)。

矢田 (笑)ヴィヴァルディって音楽の教科書で見る人物で、ちょっと高尚なイメージがあるんですけど、何百年経っても人間と人間のお話。石井さんもおっしゃっていましたが、現代に通じるテーマでもあり、人間ドラマとして面白く観られると思うので、そこは楽しみにしていただきたいです。音楽が時を越えて、この現代でも素敵だなと同じ感性で聞けることが不思議です。生演奏は僕も楽しみですね。
石井 楽しみだよね。まだピアノがないチェンバロの時代だよね。チェンバロ演奏を生で聞けるっていうのが楽しみだね。
――では最後にメッセージをお願いいたします。
矢田 実はヴィヴァルディの音楽劇をやりますって言われて、はじめヴィヴァルディの四季に合わせて歌うのかな?と思ったんですがそうではなく、こんなにたくさん書き下ろしてくださっていて驚きました。四季の曲自体はシーンを彩っています。ヴィヴァルディを知らなくて迷っている方、歌唱曲は新しい楽曲なので歴史を知らなくても大丈夫です。
そして何百年経っても人間と人間のドラマ、親と子の関係も、アントニオを取り巻く嫉妬や称賛とか、そういうものは時代を超えて現代でも変わることはありません。肩の力を抜いて観ていただけるものになると思います。新しいアプローチの作品になると確信しています。ぜひ劇場にいらしてください。
石井 中村さんの音楽がとても素敵です。美しくてドラマティックで、バロック感もそこはかとなく漂うアレンジにしてくださっています。この時代の空気もまとっていながら、ヴィヴァルディらしさも感じる楽曲で、素晴らしい才能だと思いました。
メロディアスで歌いがいのある曲がいっぱいあって、それを歌える喜びをまず感じています。きっとこの作品のチラシを見て、どんな作品なのかまだわからないと思いますが、まず曲がすごくいいですよってことはお伝えしたいです。
そして、めちゃくちゃ歌が上手い人ばっかり。この歌ウマメンバーが甘いバラードから、コミカルな楽曲までガッツリ歌います。
芝居としては、親子の愛や確執、愛しても結婚することもできない刹那、いろんな喜怒哀楽が描かれています。楽しい稽古場で、実力のある人たちと紡いだ作品が悪くなるはずないからね、楽しみにしてください。ご来場していただけたら幸いでございます。


【公演情報】
バロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサート
原案:伊藤 大
上演台本・演出:岡本さとる
音楽:中村匡宏
出演:石井一孝、矢田悠祐、宮原浩暢、辰巳真理恵、北翔海莉
演奏:花井悠希、林 愛実、山本有紗
●5/8〜11◎新国立劇場 小劇場
〈料金〉S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)
〈チケット取扱〉アーティストジャパン、イープラス、ローソンチケット
〈お問い合わせ〉アーティストジャパン 03-6820-3500 https://artistjapan.co.jp/
〈公式サイト〉https://artistjapan.co.jp/vivaldi-drama-concert2025/
〈公式X〉https://x.com/aj_vivaldi
【撮影:山副圭吾】

