『ダンスカンタービレ2025 ~VIOLET~』まもなく開幕! 中塚皓平・彩凪翔・有栖妃華 インタビュー

独特の色と香りがあふれる美しい舞台を!
男性パフォーマー集団DIAMOND☆DOGSの一員として、流麗なダンスはもちろん多彩なパフォーマンスを繰り出すだけでなく、近年は振付家、演出家としても活躍の場を広げている中塚皓平。彼が構成・演出・振付・出演を務める『ダンスカンタービレ2025 ~VIOLET~』が、7月30日〜8月6日、銀座の博品館劇場で上演される。
戦国の世を駆け抜けた織田信長と明智光秀を主軸とした人間模様が、中塚と宝塚OGを中心とする女性メンバーで描かれていく。そんな舞台に集う彩凪翔、有栖妃華が、中塚とともに作品と役柄への想いを語り合ってくれた。(えんぶ8月号より転載。)
中塚ワールドと共に居たい
──今回『ダンスカンタービレ』を創られることになった経緯からお話しいただけますか?
中塚 2年前にプロデューサーから『ダンスカンタービレ』を創ってくれないか、というお話をいただきまして、正直即答はできずかなり悩みました。『ダンスカンタービレ』は森新吾が立ち上げた、ダンスだけでドラマを伝える素晴らしい作品で、初演の翌年にすぐ再演もした大人気作品だったんです。それを僕が引き継ぐことで初演を汚してはいけない、という思いもあったんです。でもこういう機会をいただけることはそうあることではありませんし、自分への挑戦の意味も込めてやらせていただこうと決心しました。
──シリーズとして続くことで、初演が財産として残り続けるということでもあるでしょうから。そのなかで中塚さんがダンスカンタービレ』として、どんな特色を?
中塚 色々考えたなかで、和のテイストを入れていこうと。男性が僕一人で、宝塚OGの方々を中心とした女性陣と、という大枠は決まっていたので、ずっと好きだった「織田信長が実は女性だった」という設定を使いたいな、と思ったところからどんどん発想が広がっていきました。
──ではキャスティングも中塚さんのお考えで?
中塚 そうです。彩凪翔さんは僕が振付家として初めて宝塚に携わらせていただいた時にご一緒した方で、舞台での存在感、独特の色がとても印象的だったので、この方とならきっと美しい世界が創れると思って最初にオファーしました。有栖妃華さんはダンスより、まず歌の方だと皆さんおっしゃるんですけど、舞台人として有栖さんからにじみ出る彩や香りが、舞台上に充満したらいいなと思ってお願いしました。
──いまのお話しを伺ってお二人はいかがですか?
彩凪 とても嬉しいです。宝塚在団中は振付の先生と生徒という関係性だったので、今回はまずその中塚さんと一緒に踊らせていただくことにドキドキしています。大丈夫か私と。
中塚 そんな、大丈夫、大丈夫!
彩凪 ご出演されている舞台も拝見しているので、もうバリバリ踊っていらっしゃる印象が強烈ですから。でも自分のなかで「大丈夫か?」と思うことに立ち向かうのは、自分が一番成長できる、変われる瞬間だと思うので、その気概で臨んで、中塚さんが創られる新しい世界に私も一緒に挑戦したいと思います。
有栖 私は宝塚を退団したあと、かなり早いタイミングでこのお話しをいただけたので、まずそれがとても嬉しかったです。宝塚時代には中塚さんの振付のシーンでは、私はコーラス担当だったので、まさに踊り狂うという感じの場面を皆さんが集中して踊っている姿を見て「いいなぁ、私も入りたい」と思っていたんですよね。もちろん今回錚錚たるダンサーの方々ばかりなので、私にとっては挑戦でもあるのですが、皆さんと汗を流して中塚ワールドの一員になれることがすごく楽しみです。
それぞれの信念を持って役に生きて欲しい
──それぞれの役柄についてもお伺いしたいのですが。
中塚 彩凪さんが織田信長。僕が明智光秀で有栖さんが濃姫です。ただ、先ほどもお話ししたように「信長が実は女だった」という設定なので、その信長が光秀を傍に置く意味が、あくまでも上司と部下の信頼関係なのか、友情なのか、或いは愛情もあるのか? というところで、濃姫が嫉妬を覚える瞬間、三角関係になるシーンもあります。
彩凪 織田信長は宝塚時代に演じてみたいと思っていた人物でもあるので、とても楽しみですし、いまのお話しを伺うと、光秀との信頼関係にも微妙な彩がありますし、三角関係の場面はすごく白熱しそうですね!
中塚 間違いなく見どころのひとつになると思います。
有栖 頑張ります!
中塚 信長と光秀と言えば「本能寺の変」に至るのはハッキリしているので、光秀が何故決起に出たのか、愛憎なのか、信長の暴走を止める為の愛なのか、という辺りはまだハッキリ決めていないので、実際に稽古をしていくなかで固まっていくと思います。
彩凪 台詞はないと伺っていますが、歌は入りますか?
中塚 入れようと思っています。ダンスでご覧になる方に自由に解釈していただく部分は残しながら、やっぱり状況や世界観を説明する為には、歌詞は大きな要素になるので。有栖さんには濃姫として歌ってもらいます。
有栖 私は物語のなかで役として存在することをすごくやってみたかったので、今回ヒロインの濃姫として作品のなかに居られることがとても嬉しいです。彩凪さんとは同じ雪組生でしたが、私にとっては雲の上の方だったので。
彩凪 学年が離れていたからね。でもこの間ありすのディナーショーにゲストとして呼んでもらって、グッと距離が近づいたので。
中塚 有栖さんが彩凪さんをとてもリスペクトしていて、憧れの人で大好き! というオーラが出ていたから、あぁ、これこれ、と思った!まさにこの作品の信長と濃姫の関係性に通じるので。
有栖 本当ですか? 嬉しいです。
彩凪 在団中はお芝居で絡んだこともなかったものね。
有栖 彩凪さんの後ろでメイドとして立っていたことがあるくらいです(笑)。
中塚 じゃあ初の夫婦役で楽しみだな。今回は他にも様々な女性が出てきます。皆さん個性的で、独特の色を持った方たちに集まっていただいているので、その化学反応から生まれるものもたくさんあると思うし、全ての登場人物が信念を持っていることは大事にしたいんです。それが愛でも出世でもお金でもいい。必ず信念を持っている役として生きて欲しいですね。
彩凪 クライマックスに向けて自分の感情がどうなるのかが、私にとっても未知の部分なので新たなチャレンジですし、おかげ様でポスターもすごく評判が良くて、楽しみにしてくださっている方たちのお気持ちに応える為にも頑張っていきたいです。ありすは退団後の初舞台だよね?
有栖 はい! 男性の方と共演させていただくのもはじめてなので、貴重な経験の場になりますから、有栖妃華としても次につながる舞台になるように頑張ります。
中塚 いま役の信念の話もしましたが、僕も来年40歳になるので、人としても表現者としても創り手としても、ステップアップできる作品に必ずするという信念を持って取り組んでいきます。皆さんに「楽しかった!」と思って帰っていただけるように、物語のあとにフィナーレとして役を離れて踊る、盛り上がるシーンも用意していますので、是非楽しみに劇場にいらして下さい!

【プロフィール】
なかつかこうへい〇3歳からモダンバレエを始め、数々のダンスコンクール受賞歴を持つ。2007年、DIAMOND☆DOGSに加入。長身を活かしたしなやかな躍動感のあるダンスで活躍し、近年は振付家、演出家としても活動の幅を広げている。主な出演作に、舞台『サイボーグ009』、『BOLERO -最終章-』、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stageシリーズ、『CLUB SEVEN』シリーズなど。
あやなぎしょう〇2021年に宝塚歌劇団を退団後、セルフプロデュースコンサートを手掛ける他、舞台・映像に多数出演。主な出演作に、舞台『刀剣乱舞』禺伝 矛盾源氏物語、『フルーツバスケット』シリーズ、ミュージカル『憂国のモリアーティ』大英帝国の醜聞 Repriseなど。今年9月に、ヒロインを務めた映画『男神』が公開予定。
ありすひめか〇2016年宝塚歌劇星組公演『こうもり/THE ENTERTAINER!』で初舞台を踏み、雪組に配属。フィナーレの幕開きを飾るエトワールを何度も務めるなど、歌唱力に秀でた娘役として活躍。2024年『ベルサイユのばら─フェルゼン編』で退団後はディナーショーを開催するなどの活動と共に、2025年4月慶應義塾大学環境情報学部に入学。学業と舞台活動を両立させながら活躍中。本作が退団後初の本格的な舞台出演となる。

【公演情報】
『ダンスカンタービレ2025 ~VIOLET~』
構成・演出・振付:中塚皓平
出演:彩凪翔/泉まいら 留依まきせ 有栖妃華 音波みのり 沙弥音 白峰ゆり(五十音順)/篠本りの 松本ユキ子/中塚皓平
●7/30~8/6◎博品館劇場
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
〈チケット取扱〉博品館1F TICKET PARK (03-3571-1003)
〈公演お問い合わせ〉博品館劇場 03-3571-1003
〈公式サイト〉https://www.hakuhinkan.co.jp/theater/archives/event/pr_2025_07_30
【インタビュー/橘涼香 撮影/中村嘉昭】