私が今稽古している劇団☆新感線「アケチコ!」は久しぶりの生バンドによる怪奇骨董音楽劇ですので歌の巧いゲストの方たちにお集まりいただきました。ところで私も歌うのでしょうか。どうでしょうか。それは本番でのお楽しみ。
さて、今年の頭には劇団ホチキス「ベイビーブラフ」とプロジェクトKUTO-10「三大劇作家の世界大冒険」で二本続けて三都市公演を行ったことはこれまでにも書きましたね。東京・大阪・名古屋といった大都市以外にも、それぞれ長岡リリックホールシアターと山形市民会館小ホールでの公演も行いました。
でね、こういった地方にある公立劇場での公演には様々な嬉しいことがありますよって話を書きますよ。
演劇公演では東京・大阪・名古屋・福岡などの大都市にある駅近の劇場で行われることが多いのです。そりゃそうだ。できるだけ多くのお客様にお越し頂きたいので、できるだけ交通の便の良いところで公演したいんですよ。で、そういった大都市の駅近の一等地となると繁華街ですから、劇場だけで単独の建物には中々なりません。大規模な複合施設の中に劇場がある場合が多く、しかも劇場はかなり上層階に追いやられてしまいます。そりゃそうだ。そんな良い立地ならばお店などの商業施設がメインになりますからね。また、シャワー効果(大勢のお客様による上から下に降りながらの商業効果)を狙ってもいるのでしょう。
いや、それはまあいいんです。我々だって駅に近い方が嬉しいんです。だって通いやすいから。ただ、一等地ですから詰め込みすぎてどうしてもせせこましくなるんですよね。舞台ソデが狭いとか、楽屋が階層式に積み上がっているとか。
そして何よりも大変なのが搬入作業です。搬入口が一階や地下にあって、そこからエレベーターで舞台のある階まで上げなければならないのです。大きなエレベーターとはいってもなにしろ舞台セットは大きいですからね、何度も何度もエレベーターを往復させて大量の資材を搬入しなければなりません。劇場専用のエレベーターがある場合はまだ良いのですが、他のテナントさんとも共用する場合には譲り合いながら搬入することになります。それもまた大変。
ところが、地方にある県立や市立などの公立劇場の場合は割と楽なのです。地方の公立劇場は繁華街から少し(あるいは物凄く)離れている場合が多く、敷地が広くて余裕のある作りをしています。会議室やカルチャーセンターなどが併設されている場合もありますが、その建物のメインとなるのはあくまで劇場なので、劇場として使いやすいように設計されているのです。
舞台面が地上というか一階に設置されており、搬入口だって屋根の付いた一階に用意されていて、トラックの荷台と同じ高さのプラットフォームがあって荷下ろしがしやすく、しかもそのまま舞台ソデに繋がっているので台車を使ったままで搬入できます。ああ便利!
楽屋も舞台面と同じフロアにあって移動が楽で、しかも広くてゆとりがあって嬉しいのですが、ゆとりがありすぎて舞台ソデまでの廊下が長くなっちゃったりする場合もあります。嬉しいやら悲しいやら。
もちろん地方公立劇場の全てがそうだというワケではありませんし、大都会の劇場の全てが狭っ苦しいというワケでもありませんが、おおむねそういう傾向があるという話です。でもまあ、たまに地方の劇場で上演すると、その使いやすさとか居心地の良さに嬉しくなっちゃうんですよね。「これぞ劇場!」って思ったりします。
「アケチコ!」の東京公演は今年できたばかりのEX THEATER ARIAKEです。全く初めての劇場ですからどのような使い心地なのかはまだ判りません。使いやすければ良いなあ、とか思っておりますよ。
ところで、これだけ地方公立劇場の良さを書いておいて恐縮ですが、搬入出が楽なのは主に「大ホール」だけです。長岡も山形もいわゆる「小ホール」での公演でしたので、搬入出はそれほど楽ではありませんでした。ぎゃふん。

本文とは関係ありませんが、大阪名物・ビルの真ん中を突っ切っている阪神高速梅田出口。

粟根まこと
あわねまこと│64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。
【出演予定】
劇団☆新感線「アケチコ!」
【東京公演】
6/12〜7/12◎EX THEATER ARIAKE
【福岡公演】
7/24〜8/8◎キャナルシティ劇場
【大阪公演】
8/20〜30◎フェスティバルホール





