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株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.160「十割蕎麦」

「豪華客船タイクツニック号沈没」の松本公演にて。
(それにしてもタイタニック号と読み間違えている人の多かったこと)
せっかくなので美味しい蕎麦を食べたいと思い、劇場入り前に開いてる、良さげなお店に行ってみた。
人気店ぽいので開店前に行くも、すでにちょっと行列。でも、なんとか一巡目で入れて、迷いなく十割蕎麦の大盛りをお願いした。
丁寧に茹でているのだろう、思ったより待ち時間は伸びて、小屋入り時間がちょっと心配になってきた頃に、来ました、いかにも美味しそうな十割蕎麦。
最初は、塩を少しつけて麺だけを、そのあとは、二種のつゆでお楽しみください的な説明を受けて、少し急ぎめに食べるも、まあそりゃ美味しいですわな。
大盛りでは足りないくらいあっという間に平らげて、蕎麦つゆを楽しんで、ごちそうさまです。
お会計のおばさまが、「八割蕎麦ですねー」とおっしゃるので、あ、十割蕎麦ですと、正直に告げる。十割蕎麦の方が500円ほど値段がするわけだし。
おばさんは、一瞬戸惑いを見せて、もう一度言う「八割蕎麦ですねー」
「え・・、あれは八割蕎麦でしたか?」
「八割蕎麦です。え、十割蕎麦をご注文されました?」
「はい。」
「きゃーごめんなさい!」
ああ美味しいなあと染み入りながら食べたお前は、八割蕎麦だったのか。
言われてみれば、十割蕎麦の割には香りが少々弱めかなとは思ったけど、でも、十割と信じていただいたさ、最後の切れ端まで。
おばさんは「どちらから?東京?ごめんなさい!機会あったらリベンジしてください!」と蕎麦茶のパックをくださった。
その蕎麦茶が何よりも、最高の香りの蕎麦だった。
でもまた是非行きたい、美味しくて庶民的なよいお店でした。

いい公演と美味しいご飯。最高のご褒美でした。

あ、「りんごが落ちる」も、素晴らしかったです。一回しか観れなかったのがとても無念でしたが、皆さんブラボーでした。

著者プロフィール

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。

今後の活動

・脚本・演出
KAAT キッズ・プログラム2026
「子どものための美しい国」
原作:ヤヌシュ・コルチャック(訳:中村妙子)
作・演出:ノゾエ征爾
音楽・演奏:田中馨 振付:熊谷拓明
出演:小日向星一、佐々木春香、串田十二夜、熊谷拓明、池谷のぶえ
2026年8月16日(日)〜23日(日)

▼▼前回の連載はこちら▼▼
https://enbutown.com/joho/2026/06/17/nozoe-159/