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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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絶賛上演中!宝塚月組シアターオーブ公演『NINE』鳳月杏&天紫珠李囲み取材レポート!

フェデリコ・フェリーニ監督の自伝的作品「8 1/2(はっかにぶんのいち)」をもとに、アーサー・コピット脚本、モーリー・イェストン作詞・作曲によるミュージカル『NINE』が、初めて宝塚歌劇の舞台に登場。月組トップコンビ鳳月杏、天紫珠以下、月組選抜メンバーによって、渋谷の東急シアターオーブで上演中だ(27日まで)。
『NINE』はり1982年にトミー・チューン演出によりブロードウェイで初演されたミュージカル。その年のトニー賞10部門でノミネートされ5部門で最優秀賞を受賞した。スランプに陥った有名映画監督のグイード・コンティーニが、新作の撮影が目前に迫るも構想がまとまらず苦悩するなかで、妻ルイーザをはじめとした彼を取り巻く女性達との関係や、亡くなった母、そして彼自身の心にいまも大きな楔を残している「NINE」=9歳の自分と向き合っていく、現実と幻惑の世界が交錯して描かれていく。
そんな作品にあまりにもピッタリの9月9日通し舞台稽古が行われ、グイード役の鳳月杏、ルイーズ役の天紫珠李の囲み取材が行われ、二人が異色の作品への取り組みや、指田珠子潤色・演出による宝塚版の特色や、役創りへの想いを語った。

【囲み取材】

──通し舞台稽古を終えての感想を。

鳳月 本日はお越しいただきましてありがとうございました。稽古場からすごく盛りだくさんで、お稽古期間もタイトだったので、色々やることに追われて、今日も不安のあるなかで迎えた舞台稽古だったのですが、シアターオーブという素敵な劇場の世界観や空間に助けていただいて、また新たな発見がある舞台稽古だったかなと思っています。このまま千秋楽まで観に来てくださるお客さまに宝塚版『NINE』をお楽しみいただけたらと思っております。

天紫 稽古中から『NINE』という作品の大きさにプレッシャーを感じていたのですが、今日舞台稽古をさせていただいて、改めてこの世界にいられることの楽しさをすごく感じました。明日から誰一人欠けることなく、走っていけたらいいなと思っております。

──男役さんが鳳月さんお一人という、宝塚歌劇としてはとても斬新な舞台ですが、お稽古はどのように?

鳳月 今回は普段男役をしているメンバーも女性役として舞台に立っているのですが、宝塚の娘役が挑戦するにはかなりハードルが高い(役柄も多い)作品だと思うので、やはり男役がやる女性役のダイナミックさ、女性らしさ、色っぽさ、イタリア人女性の香りをまとえるようにというのを、毎日模索しながらお稽古してきました。(女性役の)ひとり一人が魅力的になっていくなかで、グイードという人が作られていく印象があったので、視覚的にも初めて見るような体験を皆さまにしていただけたらいいなとシンプルに思っています。男役がひとりという、今までの宝塚にない作品の楽しさを皆様に味わっていただけたらいいなと。私は前から観ていないので(笑)皆様にどう思っていただけるかわからないのですが、楽しみです。

天紫 出演者のほとんどが女性を演じているなかで、娘役である私がどうやってこの役を演じたらいいのかというのは、お稽古場からすごく悩んだのですけれども、より女性らしく、でも強さもある、いつも宝塚でやっている娘役とはまた違ったところで、よりナチュラルにひとりの女性を演じられたらいいなと思いながらやって参りましたので、明日からももっともっと成長していけたらいいなと思っております。

──演じる役柄の魅力は

鳳月 グイードは自分が演じる前はアーティスティックで変わった、私たちが理解できない人かと思っていましたが、演じてみると、自分の中にある細胞で組み立てることができる人だなということがわかりました。人間らしい部分、良くも悪くも大人になって忘れてしまっている部分を持ち続けている少年のようなところと、女性に対して、普段男役は包容力や男らしさを持ってやる役が多いと思うのですが、今回はそこに甘さや女役さんに委ねるところが新しい男役の魅力、グイードの魅力だなと。ちょっと放っておけない部分がある人ではないかと思っています。

天紫 ルイーザは自立している部分、強い部分も第一印象としてあったのですけれども、創っていくなかで、その中に母親のような優しさや繊細さ、またイタリア人なのでやはりチャーミングさなどいろいろな面があるのが、この人の魅力なのではないかと思っています。

──宝塚としては珍しい題材で腐心されたことはなんですか?

鳳月 たくさんあるんですけれども、『NINE』という作品は、色々な演出家の先生によって結末が違ったり、舞台の見せ方、使い方も違うのですが、今回は宝塚の指田先生が作ってくださった『NINE』で。私たちもはじめは芝居のテイストがいままでやったことのないものだったり、構成だったりしたので、宝塚でやり続けてきたことと違うことをするということに、すごく時間がかかりました。でもその魅力を理解してお稽古できたつもりなので、難しいですが、宝塚で見たことのない新しいお芝居という感じで。もっと宝塚らしくやることもできたと思うのですが、指田先生の創り方がすごく独特で面白いなと思い、そこを信じてやってきたので、宝塚版の「宝塚らしくない『NINE』」が魅力なのかなと思います。

天紫 この作品はすべての楽曲が美しくも難しくて、そこに全員とても苦労したのですが、簡単に理解できない作品を、全員でそれぞれ生き抜いていくところが見どころかなと思っています。

──退団発表をされた段階で、この作品だったという点については?

鳳月 『NINE』に必死過ぎて、最後(の外箱公演)だからとは思わなかったのですか、私個人としては「あぁ、こんなに台詞覚えられない!」ですとか、とにかく(創作に悩んでいる)グイードの気持ちがわかるくらい、多忙な日々だったんです。でもそれを乗り越えられたのは、宝塚人生でこんな経験を得られる、これをやれることはそうないんじゃないかとの思いだったので、それに関してはいまだからこそ打ち込めたところがあるかなと思います。でもそれ以外は、作品と役に(取り組むことに)必死で、あまり考えられなかったのが正直な気持ちです。

天紫 私も『NINE』という作品に追われて、全く意識はしていなかったんですけれども、鳳月さんと同じく、とにかく何でも挑戦してみようという気持ちで、いまだからできることをどんどん毎日自分でやっていこう、そういう思いでお稽古をしていました。

──グイードは「女の敵」ともいえる役柄かと思いますが、そこをどうアプローチしていったのですか?

鳳月 指田先生から言っていただいたのが、映画監督だからですとか、アーティストであるが故に、女性スキャンダルが多いというよりは、彼自身が愛を模索していることが根底にあるところが1番かなと思っていて。そこに共感していただくのは多分難しいと思いますが、ずっと満たされない何かを探しているんだなと思いながら演じていると、あまり違和感がないと言ったら不思議なんですけれども、気持ちがわかるというわけではないながら、私はすごく寄り添えるところがありました。それがショーアップされて、パフォーマンスとして女性との絡みが多いので、それはそれで舞台として素敵に見えていたらいいなと思っています。

──そういうグイードに対峙していかがですか?

天紫 今まで出演した作品の中で、娘役でこんなにも激しいぶつかり合いは、あまりなかったのではないかと思うんです。でもそこは流れに身を任せて、安心して毎回お芝居させていただいているので、ナチュラルに作りすぎず舞台の世界に入っていけている感じはしています。

日本初演の1983年東宝製作版に映画プロデューサー役で元宝塚トップスター上月昇が。直近の上演である2020年の梅田芸術劇場製作版では、妻・ルイーズ役で元宝塚トップ娘役・咲妃みゆが出演するなど、これまで様々なプロダクションでの『NINE』上演史には、宝塚OGたちが多く関わっている作品とは言え、宝塚歌劇での本編上演はちょっと想像していなかったビッグサプライズ。鳳月杏、天紫珠李への質問も、異色の作品への挑戦や稽古の過程に集中したが、その一つひとつに二人が率直に、ある意味言葉を飾らずに答える姿が非常に印象的。互いがきちんと自立していつつ、共に並び立った時に特別な魅力を発する大人のコンビである鳳月と天紫が率いる、いまの月組だからこそ叶った野心作に構えすぎることなくぶつかっていった二人の表現者としてのナチュラルな姿勢が際立つ会見で、羽もスパンコールもない、普通のスーツ姿で十二分に男役のカッコよさを伝えられる鳳月と、このまま渋谷の街を歩いても特段違和感がないだろうワンピースで、凜としながらもちゃんと娘役の天紫の、ある意味究極の男役・娘役芸が『NINE』を宝塚化する原動力になっていることを感じる時間だった。

公演情報

『NINE』
Book by ARTHUR KOPIT
Music and Lyrics by MAURY YESTON
Adaptation from the Italian by MARIO FRATTI
潤色・演出◇指田珠子
出演◇鳳月杏 天紫珠李  ほか月組
●9/10~27◎東急シアターオーブ
〈公式サイト〉https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2026/nine/index.html

LIVE中継・LIVE配信情報

〇9/26(土)15:30公演
〇9/27(日)13:00公演[千秋楽]
ライブ中継に関するお問い合わせ
<チケット関連>
チケットぴあ ヘルプ
URL:https://t.pia.jp/help/

<イベント関連>
宝塚クリエイティブアーツ カスタマーセンター
TEL:0797-83-6000(月休10:00~18:00)
E-mail:info-tca@takarazuka-revue-support.jp

ライブ配信に関するお問い合わせ
<Rakuten TV>
Rakuten TV カスタマーサポートセンター
TEL:0570-033002(10:00~19:00)
URL:https://tv.faq.rakuten.net/s/detail/000001647

<U-NEXT>
U-NEXT 宝塚歌劇専用ダイヤル
TEL:0570-060-112(11:00~18:00)
URL:https://help.unext.jp/

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

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