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『ラブ・ネバー・ダイ』で大役を演じる ! 星風まどかインタビュー

楽曲からもインスピレーションを得ながら役を生き抜いていきたい

半世紀に渡り数々の名作を世に送り出してきたミュージカル界の〝生ける伝説〟アンドリュー・ロイド=ウェバーが、自身最大のヒット作『オペラ座の怪人』の後日譚として生み出した『ラブ・ネバー・ダイ』が、1月17日に、日生劇場で再々演の幕を開けた。(2月24日まで)

オペラ座の地下深く忽然と姿を消したファントム、手を取り合って光のなかへと戻っていった歌姫クリスティーヌとラウル、そして縁の人々が10年後に意外な形で再会を果たしたことによって起こる怒涛の顛末が、豪華絢爛な装置と衣裳、何よりロイド=ウェバーの楽曲に彩られて、『オペラ座の怪人』が日本初演を果たした日生劇場に登場する興奮は、三演目のいまなお大きなものがある。

その作品で、ファントムの経てきた運命を知るオペラ座のバレエ教師マダム・ジリーの娘である、メグ・ジリーを演じるのが星風まどか。宝塚歌劇団のトップ娘役として数々のヒロインを演じてきた彼女にとっても「挑戦」だという新たな役柄への想い、さらに退団後の出演作で感じた一俳優として稽古場に立つ姿勢を聞いた「えんぶ2月号」のインタビューを公開する。

作品のなかでは描かれていない年月を掘り下げて

──まず『ラブ・ネバー・ダイ』のメグ・ジリー役のオーディションのオファーを受けた時の気持ちと、出演を決めた思いから教えていただけますか?

『オペラ座の怪人』の続編として、この作品が上演されていることはもちろん存じ上げていましたし、楽曲も何度も聞いていたのですが、ご縁がなかなかなく、実際の舞台は拝見できていなかったんです。でも調べていくと『オペラ座の怪人』の登場人物たちが10年を経て、いまこういう状況になっているという設定もとても面白いですし、セットやお衣裳の豪華絢爛さ、煌びやかな魅力が素晴らしくて。そんな作品のなかでメグ・ジリー役はとても重要な大きなお役だと伺っていて、緊張もしましたけれども、退団して間もないタイミングでせっかくお話をいただけのだから、挑戦したいと思いました。ご縁を大切に精一杯務めたいと思っています。

──いまの時点でメグ・ジリー役のここが大事だなと感じているところはどうですか?

この物語のなかで、また彼女の人生のなかで、とても感情の振幅が激しい人で。私自身とは過ごしてきた人生も、性格的なものも離れているので、メグ役を演じさせていただくのは、私にとって大きなチャレンジになると思っています。彼女を突き動かしているものは何なのか、『オペラ座の怪人』から10年、作品の中では描かれていない年月で彼女がどんな思いを抱えて、どう過ごしてきたのかというところもどんどん深めていきたいなと思います。何より楽曲の譜面にあたっていると、彼女の性格や心の不安定さなど、様々なものが立体的に浮き出てきているのを感じるので、楽曲からも役作りのヒントやインスピレーションをいただきながら、精一杯生きているメグの姿をちゃんとお届けしたいと思っています。

──その役柄の性格さえもにじみ出ていると感じられる、ミュージカル界の巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲を、いま実際に歌われてみてどんな印象を?
 
ひと言で言うなら難しいです。やっぱり聞いていてなんて素晴らしいんだろうと感じていたのと、実際に歌うのとでは全然違っていて。特にやはり音楽で物語を進めていくミュージカルなので、どの曲も言葉としてきちんとお届けしないといけませんし、時々の心情や状況も読み解いていかなければいけない。一筋縄では歌えない楽曲ばかりだなという感覚があります。でもそれは私だけでなくて、皆様が歌われる楽曲もみんなそうなので、経験者の方たちや、ミュージカル界の先輩方からもたくさん学んで吸収して、歌えるようになっていきたいです。

生で歌声を浴びることで心も耳も幸せになる錚々たる共演者

──また素敵な公演ポスターも出来上がっていますが、こちらのビジュアル撮影をされた時はいかがでしたか?

それまで写真や映像で見てきた、メグの華やかなお衣装に身を包んだ瞬間に、作品の世界観にぐっと没入できた感覚がありました。この衣裳は最初のレビューシーンで着させていただくものなのですが、カメラマンさんをはじめスタッフの方々のお力もお借りしつつ、ショーアップしたイメージで撮らせていただけてすごく楽しい撮影でした。やはりお衣裳の持つ力ってすごいなと思いましたし、メグに一歩近づけた気持ちになりました。

──そのメグ役が今回Wキャストということで、小南満佑子さんとご一緒されますね。

私は宝塚時代も含めてWキャストの経験がなく、今回が初めてなんです。お稽古場で自分の役を別の方が演じているのを客観的に観られるのも初めてですし、実際に自分が立っている舞台のセットやライティングが客席からどう見えているのかを知ることもできますから、小南さんとたくさんお話をさせていただきながら積み上げていけたらいいですね。

──ミュージカル界の錚々たるメンバーが揃っている共演者の方たちについては?

製作発表とその準備ではじめてご一緒させていただきましたが、その時間だけでも心も耳もすごく幸せだったんです。ですから実際に舞台上でメグの人生を歩む時に、皆様の歌声を生で浴びられるのは、なんて贅沢なことなんだろうと。組み合わせによっても様々な変化があると思いますから、ひとつでも多くのことを吸収できるように、日々を柔軟に過ごしていきたいです。

──お母様役の香寿たつきさんと春野寿美礼さん、クリスティーヌ役のおひとり真彩希帆さんは宝塚の先輩の方々ですね。

大先輩の香寿さん、春野さんとご一緒させていただけるということで緊張もありますが、母と娘という関係性なので、良い意味で委ねて、お二人の娘として生きていきたいと思っています。真彩さんとは宝塚の現役時代、同じ時期にトップ娘役をさせていただいていたこともあって、在団中もすごくお世話になっていたんです。退団されてから様々な舞台で大活躍されているのも拝見してきましたので、ミュージカル界の先輩としてもご一緒できるのはとても嬉しく、心強いです。

柚香さんはドレス姿でも柚香さんでした

──星風さんご自身の宝塚退団後のお話も伺いたいのですが、まずトップコンビとして相手役を務められた柚香光さんのファーストコンサート『TABLEAU』へのゲスト出演がありました。お互いに宝塚を退団してから初めての共演はいかがでしたか?

宝塚を退団されてありのままの姿になられたと言いますか、様々に背負っていらしたものを脱ぎ捨てた柚香さんと初めてご一緒するということで、自分がどう思うのかが、はじめは未知数だったんです。でも柚香さんはドレス姿になられても全く変わらない柚香さんでした。

──あ、その感覚は客席から拝見していてもよくわかります。

そうですよね! かっこよくて、女性らしさもありつつ颯爽としていらして、やっぱり素敵だなぁと改めて思いましたし、懐かしい楽曲をまたご一緒できて、とても光栄でありがたい機会でした。お客様もすごく盛り上がってくださったので、私も一緒に盛り上がらせていただいて、あっという間の時間でしたがとても楽しく過ごさせていただきました。

──退団後デュエットダンスをまた拝見できるとは思っていなかったので、大変感動しましたが、現役時代とは違う感覚も芽生えたりしたのでしようか。

現役時代にも踊った曲でしたが、振付が新しいものになっていたので、懐かしいというよりも新たなものを作っている感覚でした。でも時間もしばらく空いたなかで、いざ振付がはじまったら、フィット感と言うのでしょうか、柚香さんと踊らせていただける時の安心感にパッと戻れたんです。これまでずっと積み上げてきたもの、二人で積み重ねさせてもらったお稽古での関係性や、舞台上でのコミュニケーションの取り方、感じ方は退団しても全く変わらない、失われないものなんだなというのが、とても嬉しかったです。実際に過ぎた時間以上に、すごく時間が経ったようにも感じていたのでそう実感できたのが特に嬉しいことでした。

一俳優としてシンプルに役に向き合っていく

──舞台上に多幸感が広がっていて、客席にいても本当に幸せな時間でしたが、そこから退団後初のミュージカル『ニュージーズ』では、ヒロインのキャサリンを演じられました。新しい作品、カンパニーに入っていかがでしたか?

退団後初のミュージカルだったので、ワクワクドキドキする気持ちと同時に、大変緊張もしたのですが、いざ集合すると、お一人おひとり一流の皆さんが、舞台を良くしたいと日々高みを目指されていたので、私もその波に乗らせていただき、良い舞台を創りたいという気持ちで過ごすうちに、緊張感を忘れてただ作品に没頭できたありがたい時間でした。これから全国での公演に向かいますが、やはりディズニーの作品で、アラン・メンケンさんの楽曲を毎日聞けて、歌うことができることが幸せで、毎日をウキウキしながら過ごしています。

──ディズニーのヒロイン像は『白雪姫』の「いつか王子様が」からはじまって、きちんと時代に即して変化し、自立した姿になっているのが素敵ですが、今回のキャサリンについてはどうですか?

私としてはかっこいいなと憧れる女性でした。この時代にはなかなか難しかったきちんとした記事を書ける新聞記者になりたいという信念と、すごい行動力を持っている女性なので、ひと公演で全てのパワーを出し切っていて、二回公演の後はこういう感じで(脱力しきったポーズをして笑い)もうどっと疲れ果てています。エンジン全開で挑まなければいけない役であり、歌わせていただく曲も全て素晴らしい楽曲ばかりですので、このタイミングでキャサリン役に出会えたのは本当にありがたいです。

──センターでタップダンスを披露されるシーンもありますが、タップは『TOP HAT』以来ですか?

そうですね、久しぶりのタップでしたし、共演者の皆様もタップのプロの方ばかりなので、必死でくらいついて、お稽古場から汗だくになってたくさん練習しました。

──やはりセンター力と言うのでしょうか、たくさんの方々を率いていく経験値の高さが素晴らしいなと思いましたが、ここまでの舞台やお稽古で、宝塚時代との違いを感じた、或いは変わらないなと思ったなどの感覚はいかがですか?

二作品に取り組んでみて、やはり自分の心の立ち位置というか、居どころが宝塚時代とは違うので、ありのままの姿でお稽古に取り組むことができる、役を演じるにあたっての最短ルートを通って芝居ができる感覚が、お役にもよるのかもしれないのですが少し違うのかなと感じました。

──やはり宝塚では、組のトップ娘役という立場に対する責任も大きくおありになったのでしょうか。

そうですね。当時の私なりに、トップ娘役を務めさせていただく限りは、その責任を全うしなければならないという気持ちはありました。いまその部分が外れて、一人の俳優として役に向き合うシンプルなところにいるので、「はじめまして」の方々とご一緒させていただいていることも含めて、新鮮な気持ちで舞台に取り組めています。

──今後の舞台も発表されていて、楽しみは尽きませんが、星風さんご自身が抱いている夢やビジョンで教えていただけるものはありますか?

自分の中で枠を決めたくはないのですが、やはりミュージカルが大好きなので、色々なミュージカル作品に出演したいな、という気持ちがあります。でもどんな作品であっても、一番大切なのは芝居心だと思いますので、お芝居の勉強は絶対続けていきたいですし、この勉強の方法は舞台に限らず色々な形があると思うので、様々なことにチャレンジしていきたいです。あとは歌うことは是非続けていきたいので、もっともっと勉強して成長していきたいと思っています。

──それではいずれ歌のライブなども?

させていただけたらいいでしょうね! 実現できるように頑張っていきます!

──そんな星風さんのご活躍を楽しみにしていますが、まずはこの舞台『ラブ・ネバー・ダイ』を待たれている方達にメッセージをお願いします。

今まで演じたことのないようなお役なので、お客様にも私の新たな一面をお観せできるのではないかと思っています。楽しみにしてくださっている方々の期待を裏切らないように、しっかりお稽古して参りますので、是非劇場にいらして下さい。お待ちしています!

■PROFILE■
ほしかぜまどか〇東京都出身。2014年4月100期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台直後から注目を集め17年に宙組トップ娘役に就任。その後専科を経て21年花組トップ娘役に就任。『うたかたの恋』『哀しみのコルドバ』など宝塚の財産演目から『アナスタシア』『TOP HAT』などの海外ミュージカルで数々のヒロインを務めた。24年『アルカンシェル~パリに架かる虹~』にて退団後、柚香光ファーストコンサート『TABLEAU』へのゲスト出演、『ニュージーズ』でヒロイン・キャサリン役を演じるなど躍進を続けている。2025年4月『1789~バスティーユの恋人たち』オランプ・デュ・ピュジェ役での出演が控えている。

【公演情報】
ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』
作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
歌詞:グレン・スレイター
脚本:アンドリュー・ロイド=ウェバー ベン・エルトン グレン・スレイター フレデリック・フォーサイス
演出:サイモン・フィリップス
出演:市村正親/石丸幹二/橋本さとし(トリプルキャスト)
平原綾香/笹本玲奈/真彩希帆(トリプルキャスト)
田代万里生/加藤和樹(ダブルキャスト)
星風まどか/小南満佑子(ダブルキャスト)
香寿たつき/春野寿美礼(ダブルキャスト)ほか
●1/17~2/24◎日生劇場
〈お問い合わせ〉ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (平日11時~18時、土日祝休)
〈公式サイト〉https://horipro-stage.jp/stage/loveneverdies2025/

【インタビュー◇橘涼香 撮影◇中村嘉昭 スタイリスト◇TAKURO ヘアメイク◇宮内宏明(M’s factory)】

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