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株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第166回「ベースフィールドの違う俳優」

 春なのに、やたらと暑くなったり急に寒くなったりする不安定な気候の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。三寒四温とはいいますが、それにしてもちょっと極端なんじゃありませんかね。どうぞご自愛くださいませ。
 現在、私は劇団☆新感線「紅鬼物語」の稽古中です。不安定な気候にもめげず、ガンガンと物語が出来上がっていっておりますよ。今作では具体的な鬼が出てきます。そう、あの角の生えた鬼ですよ。虎のパンツを履いているかどうかは劇場でお確かめください。

 今回の「紅鬼物語」にも豪華なゲストをお招きしております。宝塚退団後、初の演劇公演となる柚香光さん、大衆演劇界のスターである早乙女友貴さん、ヴィジュアル系エアーバンドの喜矢武豊さん、スーパー戦隊出身で初舞台となる一ノ瀬颯さん、元乃木坂46の樋口日奈さん、演出家でもあるベテラン俳優の千葉哲也さん、そして2.5次元界のプリンスである鈴木拡樹さん。
 ご覧の通り、実に多彩なゲストにお集まり頂きました。多彩すぎると言った方が良いかもしれません。今回はそれについて書きたいと思います。要するに、寄って立つベースとなるフィールドがバラエティに富んでいるなあ、という話なんですよ。

 もちろんそれが悪いと言っている訳ではありません。それが故に華やかな色合いの舞台をお届けできるのですから、むしろ積極的に多彩なゲストをお迎えしたい所です。最終的には新感線流の作品に仕上がるのですけれども、それぞれの持ち味を生かして切り口ごとに異なる色合いが出せれば、それだけカラフルな作品になるのですから。
 ただね、新感線流の、というかいのうえひでのりさんの演出がちょっと特殊なもんですから、人によっては戸惑ってしまうのではないかなとか思ってしまうんですよね。

 俳優にはそれぞれの個性がありましてそれぞれの表現があります。もちろん個人としての資質もあるのですが、それとは別に演技のクセのようなものもあると思うんですよ。そして、そのクセを醸成するのはやはり育ってきたベースフィールドに寄るものが多いのではないかって話なんですよ。それが劇団でも、映像でも、学校でも、バンドでも何でも良いのですが、最も多く仕事をしてきたフィールドによる色が出てしまうのは当然の事でしょう。
 例えば私の場合はもう40年ほど劇団☆新感線に所属しておりますから、どうしても新感線の色が出てしまいます。なんか派手な動きで、大仰な芝居をしてしまうってヤツです。よそのカンパニーの作品に出た時でも「やっぱり新感線の人だね」とか言われてしまうのです。
 もちろん私も無駄に芸歴だけは長いので別のスタイルの演技だってできなくはないのですが、まあ大体は「新感線の粟根まこと」として呼ばれているので新感線流の演技を要求されることも多いのです。まあ、どうせそうなっちゃうし。俳優として育ってきた環境の影響はどうしたって出てきてしまうものなのです。

 今年の2月に出演いたしました「FOLKER」にも、元宝塚の紅ゆずるさんや吉本新喜劇の座長だった内場勝則さん、コント師の男性ブランコのお二人、そして小劇場俳優やらダンサーやら、まあとにかく色んなフィールドの人々が出演しておりました。もちろん演技という点ではいずれも同じなのですが、育ってきた環境から来る色あいのようなものはどうしても滲み出てきてしまうと思うんですよね。個人的意見ですが。何度も言いますが、それが悪いと言っているのではなくて、それが個性として表出してしまうのだと思います。
 だったらねえ、それぞれの個性を生かした作品を作りましょうよ。宝石だってただの石のままじゃなくて様々にカッティング(面取り)をすることで輝くのだし、カット面が多いほど美しさを増します。そんな切り口の多い作品を目指しましょうよ。
 それぞれの特技というか得意技というかクセを生かして研ぎ澄ませていけば、それはもう必殺技のように効果的になります。「波動拳!」みたいに声に出してもいいくらいです。出しちゃダメだけど。
 まあ、もちろんそんな様々な方向を向いた必殺技を制御しながらバランス良く配置して一方向を向かせるのは演出家の腕の見せ所なのですがね。今回もいのうえさんには頑張って頂きたいと思います。

 さあ、「紅鬼物語」では多彩なゲストがそれぞれどんな必殺技を繰り出してくださるでしょうか。それもまた劇場でお確かめ頂ければと思います。なんだかクセのある作品になりそうですよ。どうぞお楽しみに。

本文とは関係ありませんが、西麻布の好きなY字路。それぞれがずっと一方通行で並行して長く続きます。

プロフィール

粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み

【出演予定】
劇団☆新感線「紅鬼物語」
【大阪公演】
2025年5月13日(火)~6月1日(日) SkyシアターMBS
【東京公演】
2025年6月24日(火)~7月17日(木) シアターH

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