ほろびて新作『センの夢見る』ワーク・イン・プログレスとしてリーディング公演上演! 

劇作家・演出家の細川洋平の作品を上演する演劇カンパニーほろびては、来年2月に東京芸術劇場 シアターイーストで上演する新作『センの夢見る』公演に先駆け、ワーク・イン・プログレスとして同作『センの夢見る』リーディング公演を、本年12月10日に吉祥寺シアターにて実施する。

本リーディング公演にあたっては、これまで作・演出ともに細川が担ってきたカンパニー初の試みとして、作品に対する新たな視点の獲得を目指し、演出家を一般公募。多数の応募の中から書類・面接審査を経て、演劇カンパニー・ムニ主宰の宮崎玲奈を演出家に迎えることが決定した。
宮崎は、クィアカルチャーに影響を受け、見ること、演じること、について批評的な創作アプローチを続けており、「これからの演劇界を担う若手 12 人」(『悲劇喜劇』2023年9月号)にも選出された。今回は、音響・照明演出のない素舞台でのリーディング公演として、宮崎が自身の演出手法をダイレクトに生かした形で作品を立ち上げる。上演後には、劇作家である細川、演出の宮崎に加え、出演者や観客も巻き込んだディスカッションも実施し、作品について意見・視点を交わす機会も設ける。

また12月8日〜9日には、本リーディング公演の関連企画として「ほろびてルックバック・シアター&トークサロンextra」を実施。ほろびて代表作である『あでな//いある』(2023)と『苗をうえる』(2022)を無料上映し、各作品上映後には特別ゲストを招いてのトークも実施。12月8日(金)(『あでな//いある』上映回)には、「ケアの哲学」を基盤としたモラハラ・DV加害当事者など団体GADHAを主宰する中川瑛を、12月9日(土)(『苗をうえる』上映回)には、臨床心理士でありながら精力的に執筆活動を行い、多数の著書が話題となっている東畑開人をゲストに迎える。作品内容を出発点に、各ゲストの専門分野からの視点も交えつつ、細川との対談形式でほろびての過去作品を振り返る。

《ものがたり》
戯れは夢の中。
「それじゃ、そこまでいきましょう。
まだ目のさめないうちに」
家は、大きな川に面した場所にあった。そこの住人は当然、目の前の川がなくなるまでを知っている。川がなくなってからの日々も、よく知っている。せせらぎの音が心地よかった、その記憶はときどき鼓膜をふるわせた。カメラを自分に向けた見知らぬ人がやってきて、レンズに向かい熱心に語りかけている。家から出てきた人が、カメラたちには気づかないまま、いまはもうない川の流れに目をやった。うれしそうに、目をやった。ごほっごほっと、おもくるしい咳が響く。いや。すべてはもっとささやかにあった。ささやかに、目の前だけを見ていた。その場所にはありったけの、夢があった。 

【コメント】
ほろびて 細川洋平 
来年2月に上演する新作をまず他者に預ける。この試みを、宮崎さんにお願いすることにしました。その眼差しが必要だと感じています。まだお渡しすらしていない未知なる作品の全体をどのように掴んでいただけるのでしょうか、とても楽しみです。また、リーディング公演当日は観客のみなさんも含めて、作品についてお話できればと思っています。さまざまな視点が現れる、濃密な1日になると確信しています。
また、12月8日には中川瑛さん、9日には東畑開人さんという特別ゲストを招いての過去作無料上映を実施します。中川さんはハラスメントや加害と向き合う活動を行い、他方、アートと社会の関わりについての活動も行っておられます。東畑さんはご自身の経験を基に書かれた『居るのはつらいよ』や『聞く技術 聞いてもらう技術』など多数のすばらしい著書をお持ちの臨床心理士さんです。演劇とは異なる立場で社会を見つめているおふたりと、作品を起点としたさまざまなお話ができればと思っています。
目玉は10日のリーディング公演ではありますが、3日間のすべてがほろびてにとって重要なものになると思います。
ぜひ気軽にお越しください。どうぞよろしくお願いいたします。

【公演情報】
リーディング公演『センの夢見る』 
第一部 リーディング上演
第二部 観客と出演者を交えたディスカッション
(計3時間半を予定)
●12/10◎吉祥寺シアター
〈料金〉一般1000円 アルテ友の会900円 U25:500円(整理番号付き全席自由席・税込未就学児童入場不可)
*アルテ友の会チケットは武蔵野文化生涯学習事業団のみ取り扱い
〈一般発売日〉11月4日(土)10:00
そのほか『センの夢見る』セット割などチケット情報は公式サイトにて確認
〈公式サイト〉https://sen-no-yume-reading.peatix.com

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