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株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.138「なつのだいぼうけん」

ぼうやが おとまりにいった
5さいのぼうや
パパも ママも いない はじめてのおとまり
おなじとしの おともだちと 3にんで
おともだちの おねえちゃんふうふのおうちに おとまり
ぼうやは しっかりと ひとりっこらしく しっかりと あまいあまいでそだったので
パパとママは しんぱいだった
ママのおっぱいを さわれないと おこりだしたり 
えほんを よんであげないと ねむれなかったり だったので
すごく しんぱいだった
けど ぼうやにとっては はじめてのだいぼうけんだ
いってらっしゃい! 
いってきます!もないままに おともだちのくるまにのって はしりさった
パパとママは よる おさけをのんだ
じっとしていると ふあんで おさけをのまずには いられなかった
こうして ふたりで いざかやでのむのは ぼうやが おなかにとうじょうするまえ いらいだ
たくさん おはなしを したよ 
たのしかったよ 
おはなしのほとんどは ぼうやのことだけどね
なにかあったら れんらくくるから ないということは ぼうやも きっと たのしんでいるんだね
つぎのひ すこしふつかよいの パパとママ
ぼうやのきたくを まちわびる
おひるすぎに くるまでとうちゃく
ママにとびついてくるかな? とおもったけど
おおきな カビゴンのぬいぐるみを かかえて ゆったりと おりてきた
カビゴンは そのおねえさんの おうちにあったのを おねだりしたらしい
パパとママは あわてて へんきゃく!
でも いいよあげるよ!って・・ごめんなさい・・ありがとうございます
こんどは トランクから おおきな むしかご
虫かごの つちのなかには クワガタが7ひき はいっているって
おにいさんが よる カブトムシとクワガタとりに つれていってくれたって
ながしそうめんも すいかわりも したってね
ちなみに おおなきしたり わがままいって あばれたり は 
なかったってね
パパとママ びっくりしたぞ
いちにちで ずいぶん おにいちゃんになったように みえた
そしていま 
7ひきのクワガタさんは パパがいっしょうけんめい めんどうみてる
ぼうやは ママの おっぱいのなか

著者プロフィール

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。

【今後の予定】
 
・モチロンプロデュース「ボクの穴、彼の穴。W」
翻案・脚本・演出:ノゾエ征爾 翻訳:松尾スズキ 
原作:デビッド・カリ、セルジュ・ブロック
9月17日〜9月29日@スパイラルホール(東京)
10月4日〜10月6日@近鉄アート館(大阪)
https://otonakeikaku.net/stage/5055/
 
・世田谷パブリックシアター「ロボット」
潤色・演出:ノゾエ征爾 原作:カレル・チャペック
11月16日〜12月1日@シアタートラム(東京)
12月14日・12月15日@兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(兵庫)
https://setagaya-pt.jp/stage/15694/

▼▼前回の連載はこちら▼▼
https://enbutown.com/joho/2024/08/14/nozoe137/

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