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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第百八十回「稽古場の広さ問題」

 長々と稽古して参りました劇団☆新感線「アケチコ!」の幕がいよいよ上がります! まずは東京の新しい劇場・THEATER EX ARIAKEから、8月まで掛けて福岡・大阪を巡りますので、日本全国の暑い夏をさらに熱くしていきたいと思います。

 今作では生バンドによる演奏もありますので、バンドと合わせるために稽古期間がいつもよりちょっと長めに設定されていました。ですので、稽古期間中に同じスタジオ内での稽古場移動があったのです。やや小さめの部屋から一番大きい部屋へと移動しました。いや、小さいといいましても通常の演劇稽古場としては充分な広さです。ただ、大劇場の舞台の広さに対応したり、出演者がやたらと多すぎたり、小道具がやたらと大きかったりする新感線の現場ではやたらと広い稽古場が必要なのです。

 演劇の稽古に於いて、稽古場の広さは重要です。なぜならば舞台の実寸(もしくはほぼ実寸)が取れるかどうかというのは、舞台稽古や本番でのクオリティに直結しますので広いにこしたことはないのです。役者の立ち位置や動きをミザンス(ミザンセーヌ)といいますが、それは舞台のアクティングエリアによって決まってきます。客席からの見え方も含めて、ミザンスを決めるためには実際の舞台の広さが必要なのです。もちろん、ダンスやアクションも舞台のサイズで変わってきますので、稽古場の広さは重要なのです。
 しかし、広い稽古場の賃料は高い。まあそりゃそうでしょうとも。予算だって限られています。ですので、カンパニーとしてはできるだけ安い稽古場、つまり必要最小限のサイズの稽古場を使用したいのです。
 以前にも書きましたが、小劇場で上演される小さなカンパニーでは、安く借りられる区民センターや公民館などの会議室を転々としながら稽古する場合だってあるのです。劇団☆新感線だってかつての大阪時代には10畳程度の狭い部屋を稽古場として使用しており、稽古終盤には青少年会館などの公共施設を渡り歩いて稽古しておりました。稽古場を確保するというのはそれほどまでに大変なのです。

 演劇稽古の場合、稽古期間の途中で稽古場が移動するのはよくあることです。稽古中盤までは狭くて安いスタジオで稽古をし、終盤には舞台実寸が取れる広めのスタジオに移動するなんてケースもたくさんあります。狭い方の稽古場ではダンスやアクションはもちろん芝居だって少し小さめで我慢をしておき、広い稽古場に移ってから実際の舞台で想定される動きへと変換していくのです。もちろんそのサイズになってから発覚する問題点などもあるので、広い稽古場で修整していきます。そうすることで、劇場に入ってからの舞台稽古をスムースに展開できるようにするのです。
 大道具だけでなく小道具も仮のモノで済ましたりしているので、劇場に入ってから本物の大道具や小道具を使う時になってトラブルが発生したりもします。ああ、こういうセットなんだ、なんて驚いたり感心したりするのは日常茶飯事です。舞台映像なんて劇場に行かなければ見られませんので、ああ、こういう映像なんだ、なんて毎回驚いています。シーンによっては映像を一度も見られないまま終幕し、DVDになってから驚くなんてことまであるのです。
 広い稽古場に移るのはもちろん嬉しいことなのですが、そこがちょっと遠い土地の、駅からちょっと離れた場所だったりすることも多いので、通うのがちょっと大変だったりもするのが残念なところ。でもね、そんなワガママは言っていられません。何よりも広い稽古場が一番重要なのですから。

 ちなみに、今回の「アケチコ!」での稽古場移動は予算の問題ではなく、様々なカンパニーが稽古している大人気のスタジオなので、一番広い部屋が順番待ちになっていたからです。小劇場だけでなく大劇場でのカンパニーでも稽古場問題は発生するんです。いやあ、色々と大変なのですよ。
 「アケチコ!」では出演者も多く、しかも6人の大所帯バンドが演奏します。その楽器スペースだけでなくバンド用音響チームも入りますので、かなりの占有スペースが発生します。ですから全出演者と多くのスタッフが居る通し稽古の時なんて、そりゃもう大混雑さ。居場所がないくらいさ。でも生バンドは盛り上がるのさ。
 そんな大変な稽古場から生み出される「アケチコ!」です。この夏、どうぞお楽しみ下さいませ!

本文とは関係ありませんが、秋葉原駅ちょっと北の高架線。白い部分は延伸の計画でもあったのでしょうか。

PROFILE

粟根まこと
あわねまこと│64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。

【出演予定】
劇団☆新感線「アケチコ!」
【東京公演】
6/12〜7/12◎EX THEATER ARIAKE
【福岡公演】
7/24〜8/8◎キャナルシティ劇場
【大阪公演】
8/20〜30◎フェスティバルホール